遡行図
葛葉川本谷

プロフィール
 三ノ塔に突き上げる葛葉川本谷は、入門コースとして最も人気がある沢だ。時々、沢登りの初心者向け講習会が開かれている。葛葉川は、水量は少なめだが初心者が登れる小さな滝が次々に現れる楽しい沢である。特に表丹沢林道の上からは手ごろな小滝が連続して沢歩きの楽しさを十分に満喫できる。初心者には登攀が手強い滝もあるが、いずれも巻き道がしっかりしているので行き詰まることはない。 板立の滝までは、晴れていても沢の中に陽が差さないためやや暗い感じがするが、その上からは沢に陽が差し込むようになる。シーズンの12時前後の富士形の滝は、陽が正面から射す明るいスポットになっていて、一休みするには絶好の場所である。葛葉川は、とにかく沢歩きをしてみたいと言う向きには一番のお薦めの沢である。途中で横切る表丹沢林道から引き返すこともできるので、体力に少し自信のない人もトライできる。

ポイントガイド
 初心者には直登が難しいF1、板立ノ滝、富士形ノ滝、F12二段ナメ滝には巻き道があり特に危険なところはない。初心者にとってはF3、F13の滝や巻き道を油断せず注意して登る必要がある。F3、7mの巻き道は右にある。
アクセス
 バス  小田急秦野駅(バス15分)菩提原(徒歩50分)葛葉ノ泉
 菩提原でバスを降りてY字路を右に入る。250mほど北へ歩くと点滅信号のある交差点にでる。交差点には、「野外センター」の標識があるので、これにしたがって直進する。右に葛葉川を見ながらしばらく歩くと点滅信号の交差点から15分ほどでT字路となり、ここは「葛葉野外センター」「くずは学園」の標識にしたがって左折する。すぐに道路が右にカーブする。そこに酒屋がある。道なりに進むとゆるい登りになり、くずは学園、桜沢橋を経て青少年野外センターへ出る。菩提原からここまで40分ほどだ。野外センターにはトイレがあるので利用すると良いだろう。桜沢橋から15分ほど舗装道路を登ると葛葉ノ泉に到着する。葛葉ノ泉には10台ほど止められる駐車場がある。葛葉ノ泉前には近郊から水汲みに来る車が次から次と止まっていく。
 マイカー
 同上ルートで葛葉ノ泉まで車が入れる。泉の前に駐車場がある。たいがい空いているが、もし止められなければ葛葉ノ泉より上の路上へ駐車する。



入渓点
 葛葉ノ泉前の葛葉川に掛かる木橋を渡り右岸の沢沿いの踏み跡を2分ほど登り、踏み跡に従って入渓する。沢への下りは階段状になっているので降りやすい。入渓してすぐは木が被り気味だがじきに開けてくる。葛葉の泉の橋から見える小さな滝から入渓しても良いが、そのすぐ先の堰堤を取り付け梯子で越えることになる。
コースガイド
 
葛葉ノ泉〜林道大平橋
 入渓地点は樹木が沢に被っていてうるさいが次第に開けてくる。葛葉川は比較的沢幅の狭い沢だ。特にF1までは、沢幅が狭く数mほどの小さな滝が連続している。この辺りは、初心者にとっても特に難しい所は無く楽しく沢歩きができる。足元を濡らさないで歩こうとするよりも積極的に水に入っていくようにしたい。その方がバランスを崩さずに歩けるので安全だ。F1までは、沢歩きの準備運動に調度良い。途中、洗濯板のような凹凸のある岩を流れる2mナメ滝、次に5m二段滝がある。この滝は、左が赤い苔の岩で釜がある。夏ならば膝上まで釜へ入って滝の左を直登する。水が冷たい時期ならすぐ右の巻き道を登る。その後に2m二条滝、釜のある3m滝となり、2mのゴロタ滝からゴルジュになる。岩が5、6個載ったゴロタの4m滝が続く。
 釜のある大岩が乗った2mほどの滝の先で両岸が狭まったゴルジュになる。一見して初心者には登れない滝が現れる。落ち口から狭く絞られた水が落ちる直瀑の滝で、これがF1、5m滝だ。直登するには、ずぶ濡れになるのを覚悟しなければならない。巻き道は右のルンゼから入る。沢へ降りるトラバースは特に難しくは無いが、足元に気を付けてバランスを崩さないように慎重に行きたい。F1の上はすぐにF2横向ノ滝で、左右に分かれて水が落ちている。ここは、滝右奥に回りこみ滝右から取り付いて水流沿いを登るのが一番易しい。しかし水流の多いときは左右の滝の間のリッジを登るのが良い。横向ノ滝の上はきれいなナメ滝になっている。
 2m+3m二段トイ状滝は、多少飛沫を浴びるが水流沿いを登れる。巻き道は滝右の一枚岩の後ろを巻いて滝上へ出る。この巻き道は狭い。じきに沢が広くなって幅広の滝が目に入る。これがF3、7m滝で、幅広い滝の右寄りに滝が落ち、その左にも細い流れが落ちている。経験者ならどこでも登れるだろうが、初心者にとっては少々厄介な滝だ。ここは左側の細い水流沿いが登れるが、高度感もあり上部でホールドがやや乏しくなるので初心者は避けた方が良い。初心者はさらに左の乾いた岩を登るのが良い。高度感があるので上部では緊張するかもしれないが、ホールドを良く探しながらいけば登れる。沢登り用の靴を履いていない場合や岩を登るのが恐いと思う時は、無理せずに巻き道を登ろう。滝少し手前右の土の斜面を登り左の岩の縁に沿って登るとホールドが得られる。細い笹竹を頼りに落ち口の高さの踏み跡をバランスを取りながらトラバースする。滝左の巻き道は悪いのでやめたほうが良い。
 F4、5m二条滝はどこからでも登れそうだが、簡単そうなところを選んで登りたい。この辺りでは沢歩きにもなれ身体が沢になじんだ頃だから、力量に応じたルートを自ら選んで登るように努めたい。この滝の右には岩溝があり、滝手前左からは涸れ沢が落ちている。ここは、この涸れ沢を少し上り右の乾いた岩へトラバースして落ち口へ出ると楽だ。右の岩溝を登ることもできるが少し難しい。この上の5m滝は、左の段々の岩を登ってから一度1mほど下がり、そこから滝の左端を、ホールドを探しながら登るのが良い。ただし、水が多ければ濡れるだろう。ここには、左の段々の岩を登った左に巻き道がある。この滝は、右の窪を登ることもできる。

 
F4二条5m                          F5板立ノ滝8m

 この上で左側から沢が出合う5mの黒い滝に出合う。水量は1:3(左:右)ぐらい。左右の沢に挟まれた乾いたリッジを登り右俣へ入る。この滝を越えて行くと、じきに二条になって落ちる大滝F5、7m板立ノ滝になる。F5の直登は、経験者の指導でロープ確保した上でなければ初心者には無理だ。ここは、右の巻き道を登るのが良い。右の傾斜の緩いルンゼを登り落ち口の高さで滝上にトラバースする。トラバースが難しくなるので、ルンゼを登り過ぎないようにしよう。沢に降りるところは慎重に行きたいが、特に難しい所はない。滝右の乾いた岩を登り、突き出た岩の下をトラバースして落ち口に出る方法もあるが、高いので緊張する。右のルンゼから巻いた方が安全だ。F5の上は沢が開けて明るくなる。天気のよい日なら、明るい日差しが水面を輝かせるだろう。
 段差1mほどの段々の滝、ナメが続くF6を過ぎると、9m(3+4+2m)のF7、三段の曲り滝が見えてくる。その上方には葛葉川を横切る表丹沢林道が見える。この滝は、9mだが三段になっているので初心者にも登れる。高巻きをしないで滝を登りたい。一段目は左を、二段目は左右どちらでも登れる。多少水飛沫がかかるが、難しい所はない。曲り滝を登ると林道、大平橋をくぐる。ここで引き返す場合は、橋をくぐって小滝をいくつか越えてから、沢左を橋上へ戻るようにトラバースする。橋へ上がってから林道を東方向、菩提峠方面に数分歩くと道路が左にカーブする位置の右側に、葛葉ノ泉に下る登山道がある。ここには「至 菩提」の看板がある。この降り口が分かり難いので林道の右側をよく見て歩いていく。登山道を30分ほど下ると林道を経て葛葉の泉に出られる。
 林道大平橋〜三ノ塔
 大平橋の下の3mの滝を越えると小さな滝が続いて、4m幅広の黒い滝に出合う。一見難しそうだが、左端がホールド豊富で登りやすい。しかし、恐いと思う場合は無理をしないで、右側の乾いた段々の岩を登り滝上に出る。ここは難しくない。この上は、小滝の続く葛葉川のハイライトである。3m滝、4mトイ状の滝、3mトイ状の滝が続く。トイ状の滝は水流沿いを登れる。さらに、左の岩から清水が湧いているF8,5m二段滝に出る。ここは難しいところは無い。すぐ先で、右から水の少し流れる沢が出合う。その10m先にF9、5mCS滝がある。ここは左の階段状の岩を登る。階段状で登りやすそうに見えるが、岩が逆層気味で滑りやすいので慎重に登りたい。この上は沢がV字状に狭まり水流の中を登れば楽しいところだ。
 ゴルジュになり難しいところも出てくるが、滝が低いので安心してアタックできる。さらに、3mトイ状滝、4m二条滝、トイ状滝、2m二条滝などが続く。沢の幅が広くなりゴーロになると前方に大きな滝が見えるようになる。この滝の10mほど手前に右から涸れ沢が合流している。
 この大きな滝がF1010m富士形ノ滝で傾斜が結構急である。晴れた日は滝全体に明るい陽が差し輝いて見える。沢もかなり登ったので水流は多くない。経験者なら水流の左から入って中段のバンドを水流の右へ移り、クラック伝いに登ることができる。ホールドはしっかりしている。初心者は、無理せず滝の左端の裏を巻いて登るのが良い。階段状で危険なところもなくあっけなく登れてしまう。滝右の窪を登るよりこちらの方が格段に良い。富士形ノ滝の上は、明るくて昼御飯を広げるのに格好の場所だ、ここで一息入れてその先を歩きたい。
 富士形ノ滝の上の小滝、ナメ滝を越えていくと二俣になる。木に看板があり「左」と書かれている。この木のそばに大岩がある。右俣は涸れ沢、左俣は少し水が流れているが狭く見える。ここは左へ入る。二俣の上は藪っぽくなるが、すぐに開ける。この上はF11、6mトイ状滝で右端を登ることができる。ここは水流沿いを、ホールドを探しながら登ることもできる。続いてF12、二段の滝だ。5+3m二段滝は取り付きがやや難しい。下段は、滝下からは取り付けないので、左の巻き道を数歩登った地点から、笹竹をつかんで右の岩に取りつき落ち口へトラバースする。ここはホールドがやや乏しい。上段は左右どちらでも登れるが、左を登れば難しいところは無い。下段の岩に取り付くのが難しければ左の巻き道を、笹竹をつかんで急登する。巻き道は、上段の滝の上に出る。この上で、左から小さな涸れ滝が出合い、続いて右からわずかに水の有る小さな沢が出合うとF13、一枚岩の6mナメ滝になる。ここは右側の乾いた岩を登る。その上は笹竹を頼りに登るが高度感があるので緊張する。下から見ると容易に見えるがトラバースでのホールドが少ないため初心者は慎重にいきたい。この滝は、水流のすぐ右から取り付いて、中段の小さなバンドを水流左へトラバースしてから滝の左端を登ることもできる。ホールドが細かいが選んでいけば登れる。この上で水がなくなる。

  F10富士形ノ滝10m                   三ノ塔頂上から富士山を望む
 

 詰め
 13の上をさらに登ると、二俣になる。どちらも涸れ沢で右の沢の方がやや広いがここは左へ折れる。この二俣からは、秦野市方面の展望が開け気持ちが良い。この上は支尾根の急登になるので、渓流シューズよりもグリップ力の有るシューズに履き替えた方が良いだろう。左俣へ入ってからあまり登らないうちに左の支尾根に上がった方が良い。涸れ沢をそのまま詰められるように見えるが、じきに岩が脆くなり行き詰る。無理に登ると岩を落とすので止めたほうが良い。支尾根は、踏み跡が明瞭だが急傾斜なのでしっかり潅木をつかみながら登っていく。枯れ木をつかまないように注意しよう。初心者でも木の根を頼りに登ることができるのでそう危険な所はないが、この急登には驚くだろう。息を切らせてここを登るとヒノキ林に出る。ヒノキ林の右端に沿って登れば、10分ほどで登山道に出る。二俣から登山道に出るまでは25分ほどだ。登山道を右へ折れて、階段状の道をさらに15分登ると三ノ塔の頂上に出る。登山道に出てから頂上まで、支尾根の急登を登ってきた脚にとってはかなり苦しい。ゆっくり行こう。
2004年5月上旬)

下山ルート
 二ノ塔から葛葉の泉に降りるルートと二ノ塔からヤビツ峠方面に下りて林道を利用して葛葉の泉へ降りるルートがある。二ノ塔尾根の下りは急傾斜なので膝に負担がかかる。下りに弱い人は後者のルートが良いだろう。
 二ノ塔の頂上に「葛葉の泉、菩提」方面への看板がある。頂上の狭い広場の隅から菩提方面へ右に降りる。降り口が狭く見つけ難いので注意する。下りの途中で2箇所左へ入る分岐が有るが左へ入らないでまっすぐ尾根伝いに降りる。左は、「日本武尊の足跡」の標識を経て菩提峠へ下る道である(この道は地図に載っていない)。 
 林道利用の場合は、二ノ塔の頂上からヤビツ峠方面へ下る。最初の林道へ出たら右に折れ菩提峠へ降りる。菩提峠には大きな駐車場がある。ここから右の林道へ入り、葛葉の泉、菩提方面に下る。時間がやや余分に掛かるが、行程の23は林道歩きで膝に負担が掛からない。
二ノ塔尾根を葛葉ノ泉に降りるルート  1時間15
・ヤビツ峠方面へ降り、林道を葛葉の泉まで下るルート  1時間40
データ
所要時間    3時間10分(葛葉の泉〜三ノ塔)
地図      大山(1:2.5万)
適期      4月下旬〜11
・コースタイム葛葉の泉(20分)F1(10分)F3(15分)F5板立の滝(10分)F7曲り滝(20分)F9CS20分)富士形の滝(10分)二俣(35分)二俣(30分)登山道(15分)三ノ塔

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