木ノ又大日沢

プロフィール
 木ノ又大日沢は、水無川本谷F6の下に出合う南に面する明るく開けた沢である。難しい滝がないので初心者でも比較的安心して沢歩きができる。沢はゴーロ歩きが中心になるが、要所に滝が在り遡行者をあきさせない。戸沢山荘から書策新道を経由して本谷F5上の水無川本谷へ入り、木ノ又大日沢を遡行して塔ノ岳へ至るコースを紹介する。水無川本谷の下流部を遡行して、木ノ又大日沢へ入渓する場合は初級上になる。水無川本谷F3下からF5上までは巻き道を使って回避した方が良いだろう。
ポイントガイド
 沢は明るく開けていてダイナミックだ。ゴーロ歩きが多くなるが本谷F8のような難所が無いのが特徴だ。F3、9mは右を簡単に巻ける。F4、6mは初心者にはやや難しいので無理せずに左を巻いて欲しい。F5、三段10mは岩が脆いので慎重に登りたい。難しいようであれば左から巻こう。奥の二俣の上は傾斜が急で登りにくい。急がずにマイペースで高度を稼ぎたい。木ノ又大日沢に入ってから1時間半ほどで稜線の登山道に出られる。
アクセス
 源次郎沢左俣と同じ。

入渓点
県立戸沢休憩所で登山届けを出してから源次郎沢の入渓と同じコースで進む(源次郎沢左俣を参照)。源次郎沢の一つ目の堰堤を左岸に渡りコンクリート製の急な階段を登る。この先を右に水無川を見て歩くとじきに分岐になり「源次郎沢入り口、本谷F5近道」の看板がある。ここを左折して書策新道へ入る。「源次郎沢入口」の看板がすぐあるが、沢へ降りないで登山道を登る。
 この書策新道を登れば約1時間で水無川本谷F5の上に出る。本谷は沢が開けて明るいため、書策新道を通る登山者の格好の休息場所になっている。一息入れてから水無川本谷の遡行を開始するとすぐ、沢右に3mの滝が落ちている。その上はすぐ3mのゴロタの滝だ。この辺りは水が左右に分岐して流れ沢幅が広くなっている。どこを登っても良い。数分で左から沖の源次郎沢が入る。沖の源次郎沢は涸沢なので二俣に気付かずに過ぎてしまうかもしれない。さらに右へ大きく曲がる本谷を遡ると数分で二俣に出る。本谷へ入渓してからこの二俣までは5~6分だ。左俣が水無川本谷でF6,7mのチョックストン滝を抱えている。右俣、正面に見えるのが木ノ又大日沢だ。急なゴーロの沢を煌く水流が迸っている。二俣の水量はどちらも変わらない。
コースガイド
 木ノ又大日沢出合い~登山道
 木ノ又大日沢の入渓地点は南向きのため、日が差して明るい印象を与える。右俣の急なゴーロを登ってゆくと、段々の滝が前方に見えてくる。これが、三段の滝10mだ。ここはホールドが豊富で、しかも段々になっているので簡単に登れる。三段の滝の上で右から水量のある沢が入る。この上も段々の滝が続き、急な斜面に連続する滝が勢い良く水流を落としている。この辺りが木ノ又大日沢の最も美しい場所だろう。沢が左へ曲がるところがF1、4mの滝だ。ここは問題なく通過できる。この上にもすぐF2、4m滝が現れる。苔が生えた黒い滝だ。水流沿いにホールドを探して行けば難しくない。この滝を登ると、その上はゴーロになっている。急なゴーロにできた段々を水が踊りながら落下する。水の迸る煌きが、明るい沢を一層明るく見せている。ゴーロ歩きは概して退屈なものだが、この水の運動に見とれていると時おり幻惑が掠めてくる。荒い息をさせながら不安定な足元に気をつけてゴーロを歩くと、沢が狭まる地点を通過する。谷が深くないのでゴルジュとは言わないが沢幅が1~2m程になる。
 沢水に気持ち良く足を濡らせて行くと、前方に大きな滝が見えてくる。これがF3、9m大滝である。大滝の手前は沢が開け、右からは涸沢が出合う。大滝は赤い岩でできており岩質は脆い。ここは、右に分かれて細く落ちる傾斜の緩い流れに沿って登れば大滝を簡単に越せる。大滝のすぐ上の3m滝は、水流沿いを登れる。

  F1‐4m                          F4-6m

 F3の上はゴーロが続く。急で足元が不安定なため、息せき切って登ることになる。ゴーロを淡々と詰めて行くと左から涸沢が出合う二俣になる。右の本流はチョックストンが載っているが、左右どちらからでも登れる。二俣で登ってきた沢を振り返ると、秦野の市街がくっきりと遠望できる。かなりの高度を遡った実感を味わうことになるだろう。このすぐ上も二俣で、右から水のある沢が入る。水量は右俣の方が多い。本流左には垂直に近い大きな滝F4、6mが見える。水量が少ないためやや見栄えがしない。ここはホールドの多い滝左端を登るのが良い。しかし、岩が脆く浮いている岩があるために注意が必要である。ホールドが効いていることを確かめてから摑むようにしたい。直登が難しいと感じたら、滝手前左の土の斜面を登り支尾根に入れば滝を小さく巻ける。落ち口の上は左斜面がガレているので滑らないように注意する。
 F4上のゴーロを歩くと5分ほどでF5三段の滝10mに当たる。急な段々を水が糸状に落ちるきれいな滝だ。水量は少ない。F5の左からは大きなガレが落ちて沢を埋めている。F5も崩壊が進んでいるため浮石に注意する必要がある。下段はやや難しいが滝左の窪をホールドを拾いながら登る。その上の二段は特に難しいところはない。F5の巻き道は左だろう。ガレを登るので滑らないように注意したい。F5の上から戸沢のキャンプ場、作治小屋が見える、空気が澄んでいれば相模灘をも望むことができる。


 F5三段の滝 10m

詰め
 F5の上は、ガレた沢を登ることになる。ガレは足元が不安定で登るのに余計なエネルギーを使うので、足元の安定する水流の中を登った方が良い。この辺りは、本谷のF8手前の沢の状況に良く似ている。沢の岩質が脆く細かくひび割れている。水流沿いを忠実に詰めるとやがて奥の二俣に出る。左右とも大きなガレになっていて、どちらもわずかに水が残っている。ここは右へ入り水流沿いを進むが、水が消えるとともに急なガレになり行く手を遮られる。早々に右の支尾根に入り潅木の幹を頼りに登る。急傾斜でなかなかはかどらない。左手にガレを見ながら支尾根を忠実に詰めると、苔の生えたロープが下がっている。今にも切れそうな頼りないロープを掴んで高度を稼ぐ。30mほどロープを頼りに登り、そのまま進むと笹竹の中に踏み跡が現れる。やがて踏み跡は獣道と重なって四散するが、ガレの見える左寄りに踏み跡を探して行く。支尾根を真っ直ぐに詰め笹竹が草地になれば登山道は近い。奥の二俣からロープの上の踏み跡まで15分、そこから15分で登山道に出る。踏み跡を外れなければ藪漕ぎ無しで登山道に出られる。稜線に出てから登山道を20分ほど登ると塔ノ岳だ。
2004年9月中旬)

下山ルート
 書策新道は傾斜が緩く脚に負担をかけずに下山できる。しかもセドノ沢、本谷の渡渉点で休憩ができて楽しい。時間を縮めたければ政次郎尾根を下るのが良い。遡行後、稜線の登山道に出て塔ノ岳へ登らずにそのまま下山するときの所要時間を示す。

・書策新道ルート  約2時間
・政次郎尾根ルート  1時間30
データ
所要時間    2時間40(戸沢山荘~水無川本谷F5上~木ノ又大日沢出合い~登山道)
地図      大山(1:2.5万)

適期      5月~11
コースタイム
戸沢山荘(10分)書策新道入口(50分)水無川本谷F5上(5分)木ノ又大日沢出合い(10分)F1(15分)F3(15分)二俣、F4(15分)F5(15分)奥の二俣(25分)登山道

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遡行図