勘七ノ沢

プロフィール
 大倉尾根の西を流れる勘七ノ沢は、表丹沢の中では最も人気の高い沢のひとつである。水量が多く沢幅が広くて開放的であること、豪快な滝が多いこと、そしてF5の上には小さいながらゴルジュを抱えていること、などが人気の理由だろう。しかし、勘七ノ沢は初心者にとっては手強い滝が多い。他の沢を登って登攀技術をある程度身に付けた後に次のステップとして選択する沢だろう。F1の登攀は初心者にとっては難しく左の巻き道も悪い。ここでは、二俣から小草平(こぐさだいら)に出る登山道を利用して勘七ノ沢F2先の堰堤上に入渓するルートを紹介する。F3、F4、F5はしっかりした巻き道があるので、初心者にとってはゴルジュの通過が課題になるだろう。沢登りでなく沢歩きに徹したいという人にとっては、勘七ノ沢は敬遠した方が良いかもしれない。この沢は滑りやすいところがあるので、渓流シューズやわらじで、足ごしらえはしっかりとしよう。
ポイントガイド
 F3、F4、F5、は巻き道があるので何とかなる。F5上のゴルジュの突破が楽しいが、初心者は難儀するところもある。高度もそう無いので積極的に取り付いてみてほしい。F9、10mは傾斜が緩い水流沿いの窪が登れるが、初心者は少し苦労するだろう。ホールドを良く探して行きたい。
アクセス
 バス 小田急渋沢駅(バス15分)大倉(徒歩90分)二俣
 大倉バス停の周辺は県立秦野戸川公園になっている。バス停すぐ前のT字路角に「表丹沢県民の森」の標識が有る。この標識に従って道路を西に入る。道は登りながら右へ曲がりまた左に曲がる。道なりに歩き次のT字路を右に曲がって坂道を登ると左に入るT字路がある。ここには「表丹沢県民の森」の標識がある。このT字路は標識に従って、来た道をまっすぐ進む。そこから100mほど先にまた左に入るT字路がある。このT字路にも「表丹沢県民の森」の標識が有るのでこれに従って左折する。歩いてきた道路はこのすぐ先で右へ曲がっている。T字路を左折して道路はすぐ未舗装になり細くなる。道なりに5分ほど歩き、途中一箇所、標識に従って左へ曲がればじきに西山林道に行き当たる。ここを右折して二俣へ向かう。大倉バス停から西山林道までは約15分だ。
 西山林道は、左下に流れる四十八瀬川に沿って二俣まで続いている。途中「丹沢大山国定公園」の標識、「表丹沢県民の森」への分岐を経て、一時間ほどで林道の分岐へ出る。左は四十八瀬川を渡って県民の森へ行く林道、右は建設途中の林道だ。いずれも車止めのゲートがある。ここは真ん中の林道を直進する。この分岐の付近には駐車ができる。林道分岐を直進して徒歩10分弱で勘七ノ沢の流れる二俣に到着する。二俣の手前には駐車できるスペースがある。
 マイカー
 渋沢駅から大倉へ至るバス路線の大倉入り口を左折して大倉方面に入る。1qほど走ると右に神社「堀之郷正八幡宮」がある。この神社の前の橋を左折して進むとすぐに道路に突き当たる。ここを右折して進むと集落が現れて、次に道路左に牛舎が見える。道なりに進んで、細い道路に突き当たったら左折する。道路はすぐに右に折れて西山林道となる。この林道は鍋割山への登山者が多く歩いているので注意して走る。左下に流れる四十八瀬川に沿って二俣まで、車のすれ違いも難しい未舗装の細い道を進む。二俣手前の林道の分岐では、左右の林道にはゲートがあるのでまっすぐ進む。勘七ノ沢を左に見て走ると二俣はすぐである。駐車のスペースは、林道の分岐付近、二俣手前、二俣100mほど手前の三箇所にある。

 
  徒歩、車での二俣への順路

 未舗装の狭い西山林道を走りたくなければ、四十八瀬川右岸を走る「みくるべ林道」を利用するのが良い。三廻部(みくるべ)の部落を経由して表丹沢県民の森へ至るみくるべ林道はきれいに舗装されている。渋沢駅から大倉へ至るバス路線を堀川の信号のある交差点で左折する。この交差点には「HONDA」の看板の車屋がある。左折してしばらく走ると信号があるので、ここを直進して道なりに走る。左に大きくカーブするところで四十八瀬川を渡る。すぐ広い道路に突き当たるので、ここは右に折れて進む。200mほどでまた右折して道なりにしばらく進むと右から細い道が入るT字路がある。「みくるべ病院」、「たまご」の小さな標識に従って右折して細い道に入る。見逃しやすいT字路なので注意する。少し走ると「みくるべ病院」になる。病院を右に見て林道を真っ直ぐに進む。ここから表丹沢県民の森までは立派な舗装道だ。県民の森の駐車場は夏のシーズンにはすぐ一杯になるので、林道突き当りのゲート手前の広場や林道の路肩に車を止めることになる。駐車場から二俣までは徒歩20分だ。勘七橋を渡って林道分岐まで歩いてから、左折して二俣へ向かう。勘七橋から沢へ降りて歩いた方が近いように見えるが、途中大きな堰堤があり通過が難しい。

入渓点
 二俣には勘七ノ沢が入っている。沢手前右にあるポストに登山届けを出してから、勘七ノ沢の右にある登山道へ入る。この道は大倉尾根の小草平へ向かう登山道だ。約10分歩くと水の流れる小草平ノ沢に出る。沢は左下へ流れ落ち勘七ノ沢に出合う。小草平ノ沢を渡って急な登山道を進むと小草平ノ沢から5分で登山道から左へ分岐するはっきりした踏み跡がある。ここには、登山者が間違えて沢に降りるのを防ぐためロープが張ってある。左へ踏み跡を進むと左下の沢に大きな堰堤が見えてくる。堰堤の上を目指して踏み跡を進むとあっけなく勘七ノ沢に入渓できる。入渓点は、F3の下で広い河原になっている。天気がよければ日が沢へ差し込む明るい所だ。途中の小草平の沢を少し下ると勘七ノ沢F1を見ることができる。時間があれば見ていけば良い。とても初心者には登れそうにない豪快に水を落とす立派な滝だ。
 二俣付近
コースガイド
 F3下入渓点〜F6
 五月中旬に登ったときにはF3の手前に藤の花が咲いて沢に花房が散っていた。薄紫の小さな花だ。入渓点から数分でF3の滝に出る。斜めに落ちる8mほどの滝だ。ここは左壁をトラバースぎみに登る。中段でホールドを探すことになるが越えることができる。ここは初心者にはやや難しいので、無理しないことだ。水量が多いときは飛沫で滝全体が濡れ、滑りやすくなってくる。このような時は巻いたほうが良いだろう。滝左の巻き道はトラバースも落ち口への下降も良くない。巻くなら右だ。F3を少し戻って滝右にあるヒノキの尾根に入り易い箇所を探して登る。斜面をまっすぐ登ると古い作業道に出るので、この道を滝のある左に向かう。踏み跡を辿ると滝上に出る。落ち口への下降は難しくないが、お助けヒモを出した方が良いだろう。
 F3の上を少し歩くときれいなナメになる。ナメの左から水のある沢が入っている。この沢がF4の巻き道の入り口になっている。本流の沢の両岸は切り立ち前方にはF4が豪快な滝を落としている。この滝は二段になっていて下段の3mの滝は右から容易に越えられる。上段は9mほどあるが右の窪を登るのが良い。窪は滝の下からは見えない。下段を登ってから滝の右端を奥の窪へトラバースする。ここは上へ上がらずに低い位置をトラバースした方が簡単だ。滑りやすいので注意する。窪の登りは中ほどでホールドを探すところがあるが、上部はホールドが豊富だ。

 F3‐7m 斜瀑 水流右を登った方が良い      F4二段滝 下段3m 向こうに上段9mが見える

 初心者はF4の水量と水の落ちる轟音に圧倒されるだろう。F4の登りは高度感があって初心者にはやや難しい。滝を登るのに恐怖を感じるようであれば、迷わず巻き道を使おう。F4手前左の側壁を見ながら登れるところを探して沢を戻ると、左(右岸)から流入する沢まで戻ることになる。この沢が巻き道の入り口だ。その沢を登るとすぐ3mぐらいの滝が有る。この滝を登らずに右のヒノキの支尾根に入る。ヒノキ林の支尾根の勘七ノ沢寄りにルートを取って滝の落ち口に向けてトラバースすると明瞭な踏み跡がある。沢の右岸ぎりぎりを進むと滝の落ち口の位置を越えてさらに沢上方へ向かうように踏み跡が延びている。落ち口の右岸は切り立っているので、滝を越えてもすぐに沢に降りられないが、踏み跡に従って進むと自然に沢に降りられる箇所がある。この巻き道に危険なところはない。
 F4の上は一枚岩の小滝が連続していて水の流れが美しい。その上は一番目の堰堤までゴーロ歩きになる。ここからは沢幅が広く明るくなり堰堤が五つ続く。一番目の4m堰堤は右のリッジを登って沢右をトラバースする。二番目の3m堰堤は左が簡単に越えられる。三番目の7m堰堤は左端の窪を登るが中盤でホールドを探すことになる。ここの巻き道は左岸にある。7m堰堤を戻って右の登りやすい斜面を作業道まで上がって堰堤上へトラバースする。三番目の堰堤の左はヒノキ林になっている。四番目の9m堰堤は手前から伸びる沢右の踏み跡を辿れば堰堤の右上に出られる。この堰堤上右から水の少ない沢が落ちている。五番目の3m堰堤は、左のヒノキ林を小さく巻く。五番目の堰堤を越えてゴーロを歩くと遠方に大きな滝が見えるようになる。これがF5大滝だ。15mほどはあるだろう。F5は水流左が登れるが初心者には無理だ。滝左手前にあるルンゼを5mほど登って落ち口のほうへトラバースする。このルンゼの上には今にも落ちそうな岩があって冷や冷やする。巻き道は途中狭いところがあるが難しくはない。沢への降り口はロープなしでは難しい。落ち口すぐ上の木の幹にスリングが残っているが、ここの下降は失敗すると滝下へ真直ぐ落ちることになるので良くない。ここから少し先のところでロープを出して降りた方が無難だろう。 F5大滝15m

 F5大滝の上を1分ほど歩くと右から沢が出合う。この先はすぐ両岸が狭くなり三つの滝が連続する。いずれも3〜4mの滝だ。一つ目は左のバンドを越えられる。二つ目は、スリングが下がった滝左を越えるがホールドが乏しく初心者は難儀する。巻くとしたら滝右だが、右も一枚岩でホールドが乏しいので一枚岩を巻くルートを選ぶことになるだろう。三つ目の滝は、左の岩の斜面を簡単に登ることができる。

 この上は、本格的なゴルジュになる。ゴルジュには数メートルの滝が六段連なっている。高巻きは難しいので何とかゴルジュを突破しなければならない。一段目の滝は傾斜が緩いので簡単に越えられる。二段目の滝は2mほどだがトラバースがなかなか難しい。左の残置スリングをたよりにスタンスを探りながらのはつりになる。足元が滑りやすいのでバランスを崩さないようにしたい。スリング右下の段差に左足が置ければひとまたぎで落ち口に足を掛けられる。ゴルジュの滝ではここが一番難しい。三段目の3m滝は緩やかなリッジを登る。四段目の5m滝は、水流左の窪を登る。取り付きが難しそうだが比較的易しい。五段、六段目の滝はいずれも左の段々を登る。この上にはすぐ石積みの堰堤が見えるようになる。石積みの堰堤手前にはF6、6mの黒い滝がある。滝には倒木が掛かっている。ここは滝右がホールド豊富で登れる。滝左を巻いても良い。
 F6〜花立山荘
 F6上の石積みの堰堤は右から越える。その上にも小さな石積みの堰堤がある。ゴーロを歩いて行くと左にガレが見えてくる。沢が右へカーブしている先でF7、5mの黒い滝に出合う。ここは左から取り付いて落ち口へ登る。この上にはF8、段々のトイ状の滝が10mほど続いている。落差は3mぐらいだ。さらに進むと右から急な沢が落ちている。水量は左の方が多い。ここは左へ進む。ゴーロを歩いて行くと3mほどの一枚岩の上からナメ滝が落ちている。一枚岩の左にも流れがあって、こちらの方から登れる。このすぐ先で、二段のCS滝に出る。下段は4m、上段は2mぐらいだ。下段は水流沿いが登れるが、上段はチョックストンが塞いでいるのでチョックストンの左を登る。
 
二段CS滝4m、2mが見える

この上で右から沢が出会い二俣になる。左の沢が広く水量も左俣が2倍だ。ゴーロを歩いていくと、沢左正面に大きなガレが見えるようになる。この辺りで沢は伏流になっている。この先で沢の右を岩が塞いでいるところを過ぎると二俣になる。この二俣のすぐ手前には右手にガレ沢が落ちている。沢まっすぐの左俣は沢幅が広く開けているが倒木で沢が荒れている。狭い右俣にはスリング、ビニールテープで目印があり水が少し流れている。ここは目印のある右俣に入る。じきに両岸が切り立ち、水の少し流れる比較的傾斜の緩いF9、10m滝が現れる。ここは、水流沿いの窪を登る。上部は少しホールドを探すようになるが登れる。初心者は少し苦労するだろう。
 F9の上は右と左にガレを見て進むと3mトイ状滝がある。じきに沢の中央に大岩が鎮座する場所に出る。大岩の右にガレた急なルンゼが落ちている。このルンゼを登ると比較的楽に花立山荘へ出られる。
 詰め
 この急なルンゼを落石に注意しながら登って行くと約15分で緩い岩壁になる。この岩を登りきると沢が土に変わる。ここからは沢を離れて、右の支尾根へゆるい土の斜面を5分ほど登る。支尾根に出ると潅木もない開けた草地に出る。ここからは山小屋で休息する人達の歓談の声が聞こえてくるだろう。支尾根に沿って少し登った後、右前方に見える花立山荘へトラバースすると支尾根へ出てから5分ほどで山荘に到着する。大岩からルンゼを登り始めてから約30分で花立山荘に出る。
2004年5月中旬)

下山ルート
 花立山荘から大倉尾根を下り堀山ノ家から二俣方面に下るルート  1時間10
データ
・所要時間    4時間10分(二俣〜花立山荘)
地図      大山(1:2.5万)
適期      5月〜11
コースタイム
二俣 (10) 小草平沢 (5分) F2上の堰堤 (5分) F3 (15) F4 (30) 堰堤1 (30) F5 (50)F6 (20) F8上二俣 (15) 二俣 (15)F9(20)大岩、ルンゼ登り口 (30) 花立山荘


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 F5上ゴルジュ入り口

遡行図