遡行図
春岳沢

プロフィール
 大山の南面を流れる春岳沢は、これから沢歩きを始める人にぴったりの沢だ。髭僧ノ滝以外は登攀の難しい滝や危険な箇所も無いため初心者が安心して遡行することができる。遡行時間も短く体力にそう自信の無い人にも薦められる。髭僧ノ滝から入渓して三俣に至るまで、20幾つもの手頃な滝が途切れることなく現れて沢歩きの楽しさを満喫できる。沢が初めての人にとっても、殆んどの滝が登れるので岩や滝の登り方の基本を体得するのにちょうど良い。春岳沢は沢に樹木が被っているので曇りの日では薄暗い。晴天の日に登りたい。裏参道と繋いで大山の登山に利用しても面白いだろう。大山の頂上には阿夫利神社(雨降り神社)が在るだけに、春岳沢の辺りは夏の天気の良い日でも雲が湧いていて晴れ渡る日が少ない。
ポイントガイド
 髭僧ノ滝12mを除けば数mの滝が多く、初心者でも殆んどの滝が登れる。難しいところは無い。小さい沢だが水量は多いので水流沿いに登れば濡れる。暑いときに登りたい沢だ。
アクセス
 バス  小田急秦野駅(バス25分)蓑毛
 秦野駅からバスに乗り約25分で蓑毛に着く。蓑毛バス停前には公衆トイレがある。バス停すぐ前を流れる春岳沢沿いの細い道を北に入る。沢を左に見ながら舗装された歩道を歩く。鱒釣り場を過ぎ蓑毛越へ向かう分岐を通過すると藁葺きの食処「蓑庵」がある。そのすぐ先で舗道は狭くなりヒノキ林になる。ヒノキ林に入ると道路端に車を止められる場所が二箇所ほどある。
 マイカー
 蓑毛バス停付近は駐車禁止なので車を止められないが、駐車禁止の解けるヤビツ峠側のバス通りに車を止められる。カーブを避けて見通しの良いところに止めたい。

入渓点
 「蓑庵」を過ぎてヒノキ林の歩道を沢沿いに歩いて行くと、左下に青い苔の付いた岩を縫って泡立つ水が勢い良く流れるのが見える。水量が多い沢だ。右手に山の喫茶店、続いて左手にキャンプ場を見てさらに歩く。舗道が途切れた先に沢を渡る木橋がある。木橋まではバス停から25分程だ。春岳沢に架かるこの木橋をわたって細い山道に入るとすぐにヤビツ峠と髭僧ノ滝を分ける分岐になる。ここを右折して右手下に春岳沢の水音を聞きながら山腹を巻くように歩く。山道は春岳沢の結構高い位置を通っている。時々轟音を響かせる大きな堰堤が望める。木橋から10分ほどで金目ダムに出る。ダムといっても大きな堰堤があるに過ぎない。ここから5分で髭僧ノ滝の看板がある。ここが入渓点だ。
コースガイド
 入渓点〜三俣〜裏参道分岐
 髭僧ノ滝12mの登りを回避したければ右下の沢に降りずに山道をまっすぐ進めば良い。自然に髭僧ノ滝の上に出られる。
 山道と分かれて右へ降りると春岳沢で最も大きな髭僧ノ滝が豪快に滝を落としているのが見える。12mはあるだろう。髭僧ノ滝下に入渓して春岳沢の沢歩きの開始だ。滝を水流沿いに登るにはかなりの登攀技術が無くてはならない。水勢も強いので初心者には無理だ。ここは滝右のリッジが登れる。リッジも急なので注意が必要だ。リッジの登りも難しいと感じたならば、さらに右の窪を登れば簡単に落ち口に出られる。落ち口のすぐ上で左から登って来た山道が沢に入る。ここが髭僧ノ滝を避けて沢に入る入渓
点だ。

 
髭僧ノ滝12m

 前方に堰堤が見えて来るがここは右から簡単に越せる。堰堤の上は沢幅が広くなっていて左からモミジ沢が出合う。ガスがかかっていると迷いやすいので注意する。本流は水量の多い右の沢だ。2m、3mの小さな滝が続いた先にF1、5m滝がある。幅広く水の落ちるこの滝は、右水流沿いを登れるが全身が濡れる。F1は傾斜が急なので無理せずに右を小さく巻いても良い。F1の上にすぐ3mの滝が続く。ホールドを良く探して挑戦したい。その上はすぐに3m二条曲り滝で左右に水流が分かれて落ちる。滝に挟まれた真ん中のリッジを登るのが良いだろう。全く初めての沢歩きの人は少し苦労するだろうが登れる。この滝の上は沢が開けて陽のあたるスポットになっている。少し休憩したくなるところだ。春岳沢は樹木に被われているところが多く日が当たりにくいので貴重なスポットである。この上で2mの滝を過ぎると8m5段の滝になる。傾斜は緩いが水の勢いが良いので濡れてしまう。小さな沢にしては珍しい。2mのトイ状の滝は水流沿いを登ればまたまた濡れる。その上は灰白色の岩がナメを造っている。この先でもとにかく次々に滝が現れて休む暇も無い。
 3mほどの扇型の美しいナメ滝を過ぎるとS字状に滝を落とす曲り滝になる。F2、4段滝(3+2+3+2m)だが傾斜が緩いので難しくない。水流が多い場合はここでも濡れる。三段目の滝左からトイ状滝が細い流れをくねらせている。以前はその流れの下に小さな釜があったが土砂で埋まっている。曲り滝の先で大岩の右から水を落とす2m滝とその上のナメを越すと、1mぐらいの滝が連続する8段の滝になる。8段の滝の最後には3mのやや登りにくい滝が懸かっている。沢が初めての人にとっては登攀の良い練習になるだろう。春岳沢の岩はナメになっている部分もフリクションが効いて登りやすい。ここは右を登ったが岩質が脆くホールドが抜けるので要注意だ。この上で広いナメになり茶色っぽい岩の上を水が滑ってゆく。
 大きな岩の先で右から枝沢が入っている。石組みの高い堰堤から少し水が落ちている。本流が左へ曲る所に大きな滝がある。3段の滝10m、F3で水流が滝の幅いっぱいに広がり落ちている。傾斜は緩いので難しくないがまともに登れば水で濡れる。この滝は美しい滝だったが2004年の豪雨で堰堤の上から崩落してきた岩で滝の下が埋まって渓相が変わった。どの沢もそうだが年々沢の姿は変ってゆく。淋しいことだがいつ来ても同じ姿があるとは限らない。ゴーロを少し歩くと右から細い水流が入り、その先でS字状に曲がった多段の6m滝になる。まだまだ勢いの強い水を集めて滝を落とす。この滝を越えると岩々の間を奔流の迸る急なゴーロになる。美しい所だ。右に大岩を見ると三俣は近い。ゴーロを歩いて行くと正面の沢は突然涸沢になる。ここで左と右から水流が入って三俣になる。三俣をまたいで作業道が東西に通っている。本流は三俣の左だがその先でルンゼになり高いトイ状滝を二筋落としている。左が15m、右の滝が12mはあるだろう。左は岩の割れ目から湧き出す多量の湧水が滝を造っている。右が本流だ。この傾斜のある高い滝を水流沿いに越えるのはなかなか難しい。春岳沢の遡行はここまでだ。この美しい滝をカメラに収めて三俣に戻る。
 三俣の作業道を右に入る。数分で石組みの人工の沢に出る。上部で崩落が起きているので対岸の作業道の位置が分かり難くなっている。作業道の位置を確認してから沢を越えるようにしたい。この先の作業道はしっかりしており、トラロープを張った箇所を過ぎて登り気味に山腹を巻いて行くと蓑毛裏参道にぶつかる。ここは蓑毛から大山へ至る登山道で
、下社への山道が分岐する所でもある。三俣からこの分岐までは約20分だ。   
 200411月上旬)




 F3三段10m



下山ルート

 裏参道を下がり蓑毛越を経由して蓑毛へ降りる。
 下社への分岐から蓑毛 1時間
データ
 所要時間   2時間(蓑毛バス停〜入渓点〜三俣〜蓑毛裏参道)
 地図     中川(1:2.5万)
 適期     6月〜10
 ・コースタイム
蓑毛(25分)春岳沢木橋(15分)髭僧ノ滝(10分)F1(20分)F2(15分)F3(15分)三俣(20分)裏山道分岐


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