富士山散歩 富士山
2016.10.04
高橋、他一人
コケモモ 日当たりの良い場所に赤い実をつける 
















参考情報
「沢の風と空」 富士山散策 2016.07.14

コースタイム
なし

ルート図
なし



 雨の日が多い。晴れを待って山へ向かうつもりだが、なかなか晴れないのでもどかしい。天気予報が突然晴れの予報に変わった。朝から日が差して明るい。空はうろこ雲。秋の空だ。突然ひらめいた。
「富士山だ。」
 なぜだかそう思った。もう出かける気になっていた。家から40mほど道路を歩くと、富士山が見える。雲の全くない富士山が、無言でそびえていた。空気が澄んでいるのがわかる。富士山の赤い山肌が見える。めったにないほど澄んだ空気と雲のない富士山だ。こんな富士山は珍しい。自分の尺度でいえば、20年に一回ぐらいしかない。奇跡のようだった。富士山は、まず雲がない日がない。夏の間は特にそうだ。朝方晴れていても、すぐ上昇気流が発生して雲がかかる。今年も3月と7月に出かけたが、どちらも雲の中だった。
 「出かけるぞ。」
 そう家内に声をかけた。一緒に歩くことはそうないのだが、こういうチャンスはまず来ない。明日から治療がまた始まる。声を掛けずにはいられなかった。いつ雲が湧いてくるかも分からない。急いで出かける準備をした。

 
車で五合目まで走る間にも、富士山の山肌がくっきりと見える。空気が澄んでいるためだ。五合目から上は、樹木がない。溶岩の世界である。富士山は、遠くから見れば青く見えるが、近くから見れば、驚くほど赤黒い。近くから見る富士山は、イメージの富士山とは全く別の姿を見せる。
 
正午近く富士宮口五合目に着いたときにも、雲がなかった。
 
近くへ寄れば富士山の頂上はどこだかわからなくなる。ただ溶岩の斜面が広がっている。海側に視線を移すと、太平洋が広がっている。左から相模灘、伊豆大島、箱根、天城山、愛鷹山、西伊豆の半島、駿河湾、三保の松原、静岡市北の山々と一望できた。何も遮るものがない。富士山には何度も来ているが、こんな見晴らしの良いのは、初めてだ。40年以上富士の麓に住んで来て、初めての経験だ。やっぱり来てよかった。「冥途の土産だ。」突然そんなことばが浮かんだ。
 
五合目の駐車場で、ひとしきり写真を撮って宝永山へ向かう。いつものルートだ。高度を変えずに東へトラバースする。富士山の自然林を歩く。自然林といっても標高2300mだ。森林限界に近い。ダケカンバの目立つところと、カラマツの目立つ斜面が分かれている。途中で視界の開けるガレを越えて歩き、林が開けるとそこが宝永山の直下である。巨大な宝永噴火口が口を開けている。上から第一火口、第二火口、第三火口と連なっている。荒々しい富士山の赤い山肌が広がる。第一火口は、半径700m、高低差250mの巨大なすり鉢だ。
 10月に入った平日だが、思いのほか散策をしている人がいる。この珍しい晴れの日を敏感に感じ取って来た人々だろうか。天候に恵まれた山行を互いに喜び合っている。高山気候のために矮小化したカラマツの間に休み、海を見ながらお昼ごはんにした。コンビニで買ったおにぎりだが、噛みしめていると、たとえようのない喜びがこみあげてくる。



富士山が近くなってきた 雲は高く富士山には掛かっていない
拡大して撮ると 赤い溶岩の山肌が見える 宝永噴火口が見える

五合目から 富士、清水方面の展望 肉眼では駿河湾、富士川、三保の松原がくっきり見える

五合目から 富士山の頂上付近を撮る 溶岩の砂礫が続いている















手前に愛鷹連峰(あしたかれんぽう) その向こうに天城山が見える


五合目駐車場から宝永山へ向かう 美しい原生林だ
根曲がりのダケカンバに特徴が


草地の斜面に細めのダケカンバの林
カラマツの原生林 高山のため背が低い

林が開け森林限界の上に出た 宝永第一噴火口 箱根の山々と相模灘が見える

雲に浮かぶのは愛鷹連峰 その向こうには伊豆天城連峰















富士山頂上方向を仰ぐ 頂上は見えていない ガレと溶岩砂礫の世界



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