富士山散策 富士山
2016.07.14
高橋


イワオウギ 薄黄色の花に特徴がある 砂礫地に咲いていた















 突然気が向いて富士山へ出掛けた。
 このところの週末は、連続で雨だ。もう一か月ぐらいになる。梅雨の季節なのでそれも仕方のないことだろう。
 週末に計画していた中アの小黒川本谷の遡行も中止になりそうだし、朝起きて青空を見たら、急に「富士山だ!」と思った。

 一時間ほどで富士山二合目の水ヶ塚に到着。急いで支度をしたので、地図を忘れてきたことに気が付いた。だが、要所にルート図の看板があるし、およそのルートは頭に入っている。何とかなるだろう。
 富士山はシーズンになるとマイカー規制があり、ちゃっかりと様々な名目をつけて、お金がとられるシステムが出来上がっている。水ヶ塚の無料駐車場は、臨時の有料駐車場に変わっていて、1000円ということだった。本来は車で行ける五合目までのバス賃1150円を取られ、そのバス乗り場に「富士山保全協力金」徴収の関所がある。どうやら、1000円のようだったが、
「富士山へは登りません」
 といって、協力金は払わなかった。駐車場も利用せず、路肩の空き地に車を置いた。
 五合目までは上がりたかったので、バスに乗ったが、バスの中で登山中のトイレは有料チップ制だと放送がある。一回200300円なので小銭を多めに用意するようにと、有り難いアドバイスがあった。
 富士山狂想曲については、何度も書いたが、富士山の世界遺産認定のあとは、今まで以上に商業主義が徹底されたということだ。「富士山保全」をまじめに語るなら、協力金を集める前に、入山制限をすべきだと思う。夏山シーズンに30万人という、途方もない数の登山者を集めておいて「富士山保全」をいうのは、どう考えても矛盾がある。
 
富士山の五合目まで登山列車を走らせるという計画が、狂気ではなく本気で検討されているのだからただ事ではない。しかも、その鉄道建設の理由が「自然保護」というのだから唖然とする。

ルート図


 
五合目でバスを降りたのは、もう11時を過ぎていた。どこをどう歩くかという計画がある訳ではなかったが、宝永山周辺を散策して始点へ下ろうと思っていた。いずれ、時間が遅いので、ゆっくりはしていられない。宝永山の噴火口の縁を歩き御殿庭に入り、水ヶ塚までゆっくり下る。御殿庭から下を歩いたのは、もう30年も前のことだから記憶に残っていない。どんなところだろうと興味があった。
 
当日は、山麓は雲のない晴れだったが、富士山の上部にだけ夏雲がかかっていた。宝永山の周辺は、ガスがかかってよく見えなかった。だが、ときおりガスが晴れて宝永の噴火口が巨大なすり鉢を見せてくれた。すり鉢の中からは、なぜか子供たちの歓声が聞こえてくるが、その姿はガスに包まれている。
 
誰にも会わない。富士山を歩く人の99%は頂上を目指す。日本最高峰、それだけが富士山の価値だと思っているからである。人の歩かない第一火口、第二火口の縁を歩いて、「御殿庭上」に降りて周りの緑を見ながら弁当を食べた。三年前の八月、やはり同じところで弁当を食べた。病を得て手術をして、回復期にあったころだ。その時、もう二度とこの地を踏むことはないだろうと思っていた。そんなことを思い出すと、感慨深かった。富士山の声が身に浸み入るように感じられた。
 
御殿庭の中で三組のグループに会った。二組は樹林帯の中を周遊するという。もう一組は、六合目の小屋へ泊るという。富士山の樹林を歩く愛好家がいるのを頼もしく感じた。思いのほか踏み後は濃い。富士山の価値を静かに味わう人々がある限り、この踏み跡は絶えないだろう。




急な登りを息を切らせて ようやく六合目の小屋
天気は良いが五合目付近はガスに囲まれていた 登山道入り口


第一火口のほうを振り返るがガスが懸かる
第二火口のふちを降りる 左の鞍部は第二火口と第三火口の境界


ハイマツのように高山に順化したカラマツ
時々ガスが晴れて景色が広がる 降りてきた方角を振り返って

第二火口から右手に宝永山を仰ぐ 左向こうは第一火口

第二火口(手前)と第一火口(向こう)の境界鞍部を子供たちの集団が歩いている ガスの中から聞こえたのはこの子たちの声だった





















第三火口をトラバースしながら御殿庭に降りていく

砂礫の斜面に生えるイタドリ ベニイタドリ(メイゲツソウ) 色が赤っぽい

第三火口の中から 降りてきた方を振り返る 緑の草はイタドリ この噴火口を独り占めした

御殿庭を突っ切る 樹林の中は自然の倒木でいっぱいだが樹林は生き生きとして美しい カラマツの中に広葉樹が現れ、その先に草地が現れる


富士山の原生林 ただ美しいと思う こういう環境に鉄道を通そうという発想が理解できない



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