砥沢 足尾山塊栗原川
2016.06.18~19
加藤、山﨑、楢原、高橋
(ラバーソール)

オオバアサガラ 砥沢のほとりに咲く白い花 初めて見たきれいな花だ









遡行図  





参考情報
『皇海山と足尾山塊』増田宏 白山書房

コースタイム
6月18
林道下降点11:38-円覚ノ滝上12:0010-砥沢入渓13:0625-ツバメ沢13:30-6mスラブ滝13:56-堰堤14:18-十林班沢出合14:45
6月19
十林班沢出合7:02-7m滝7:051150m二俣8:181240m二俣8:54-第一堰堤9:15-第三堰堤9:2535-林道141010:01-十林班沢右俣入渓10:171240m二俣-十林班沢出合11:3112:21-(ロスタイム45分)-円覚ノ滝上15:27-林道16:05


ルート図




林道から踏み跡の急坂を下る
円覚ノ滝の前でひと休み これから山を越えて砥沢へ入る

円覚ノ滝 上部のみ 水量が多く豪快

砥沢
 栗原川砥沢は、美しい渓であった。短い距離だが岩盤が発達していて、歩く渓の大方が、ナメと小滝の世界である。ゴルジュはないが、滝に両岸が切り立つ通過点もいくつかある。ただ、遡行が難しくなって行き詰まるところはない。だが、奥多摩や丹沢の初級の沢を想像してはいけない。こじんまりした谷で、小難しい滝のクライミングを続ける沢とは違った自然の偉大さに出会うことになる。
 高い滝はない。滝のクライミングを目的に沢へ向かう者にとっては不足と映るだろう。ただ、「ナメと滝」や「癒し系の渓」と書いても、普通には想像つかないような光景が、砥沢には展開される。大釜を持った様々な形態の滝が続く興奮の渓である。人知れない深山に、静かで美しくそしてダイナミックな渓があった。
 砥沢の入渓点は二段10m滝の上、ツバメ沢出合手前だったが、この短い渓を楽しむには、手前の尾根(ルート図A)から尾根を伝い砥沢へ入渓するのも良いだろと思う。
 

ツバメ沢出合の流れ ツバメ沢も岩盤が発達しているようだ
二段10mの上部 砥沢に降り立ってすぐ下に二段10mの滝があった 中段まで降りてみた 

1mの滝 水量は多い おそらく平水よりかなり少ない

小滝とナメが続く 広々とした渓を歩く























水に入り岩を上がり、小さな滝を越えていく この先に何があるのだろうか


滝の左を上がる高橋
必ず釜が控えているので、小さい滝でもルートを考える


取り付きでザックが重い 岩は滑る
浅いように見えても釜は深い 腰まで入って越えるところも 


6m滝 大きな滝が見えてくる 釜に入って左の乾いた岩を上がる
行き詰まるところはないがゴルジュ状のところも

6m滝を上がる山崎さん 補助ロープでいちおう確保


思わず見惚れる釜 釜が深くなると水はわずかに青い
場所によっては木漏れ日がまぶしい 


碧い釜をへつる
歩く先に何があるか 興味が尽きないので早足になる

小釜が続く 歩くべきルートを目で追って













堰堤前の流れ 左の岩を上がって堰堤下へ

石積みの堰堤だ 左から小さく巻ける












石積み堰堤を上がると穏やかな流れになる

焚き火
 岩を穿った溝を滑る奔流が、もんどりうって大釜に落ちる。その先に、昔風の石積み堰堤が立ちはだかる。これを右岸から高巻くと、砥沢は静かな流れに変わる。広い河原を蛇行して水がひかり、サラサラとやわらかな音を立てる。
 十林班沢の下流対岸に明るい河原がある。ここが今日の寝床だ。思い思いのねぐらを設えると、あとは、何もすることがない。加藤さんは、イワナの刺身を思い描いていたようだが、途中で仕掛けを落としたという。「うーん」何とも言いようがない。
 あまり早くから宴会を開くこともできない。酒類まで徹底して軽量化しているので、宴会時間は限られてしまうのだ。我慢の限界に達して、夕刻五時半に乾杯をした。
 今年の冬に山﨑さんは事故で肩を痛め、それからは満足に腕を動かせないでいた。スキーも沢も我慢が強いられ、つらい思いをしてきたようだ。だが、二週間ほど前の手術で、劇的に症状が改善されて、嬉しい初遡行になった。今日は、山﨑さんの快気祝いでもある。
 久々の加藤さん、そして今年、遡行への熱の入れようが尋常でない楢原さんが加わり、清流砥沢の星空に談笑の声がこだましたのであった。
 われわれより歳上でありながら、加藤さんには「軽量化」という考えは無いらしい。次々に宝石箱を開けるように食べ物を出してくる。採れ立てのシシトウの油いためは格別の味として舌に残っている。


十林班沢出合の対岸にツエルトを張る 日が暮れるまでは、まだ時間がある 意外に流木が少ないので、まき集めには時間を食った


十林班沢
 十林班沢は、取り立てて語るべきところはない。水の少ない小さな沢である。最初に「ドカン!」と現れる7m滝以外は、3~4mの滝がちょいちょい現れる程度だ。1240mの二俣で、右俣はナメになっている。ここはあえて左俣を歩いてみた。標高差200を登れば林道に出るはずだ。滝がひとつでも二つでも現れてくれればと思っていたが、ここは外れだった。1300m付近で、突然大きな堰堤が現れて驚いたが、その上がまさかの連続堰堤だった。
 泥壁の斜面なので、堰堤を越えるのに難しいところはないが、やたら体力を使う。さすがのわれわれも先をあきらめ、途中から左岸を急登して林道へ出た。林道を歩いてから、十林班沢の右俣源流を下降した。右俣もさしたる見どころはない。1240m二俣前にナメが続く程度であった。



落ち口にもホールドはある
最初の滝が7m ぬめりをタワシで落としながら水流左を登った


階段状の滝を滝を登る加藤さん
堰堤の前にある階段状の風変わりな滝


四条の滝が見えてくる
堰堤前に小滝が連続 水は少ない


トイ状滝4m
四条の滝 横から 3mぐらいの高さだ

 
左俣へ入りしばらく歩くと堰堤が現れる 堰堤を三つ越えてもまだ先に堰堤が見える 左岸を急登して林道を目指す
1240m二俣 右俣に見えるナメ 今日は水が少ないのでさえない  

径路
 かつては、砥沢の右岸の高いところを円覚ノ滝上へ向かう山道が通っていたようである。砥沢集落から源公平の集落へ向かう生活道路だったようだ。今でもその径が残っていると、どこかに書いてあった。
 二日目に十林班沢を歩いてからは、この径路を辿って起点に戻れば砥沢を下るよりも速いだろうと考え、帰路のルートとして考えていた。今は無い往時の歴史的な径路を歩いてみたいという興味も働いていた。
 この辺りは、足尾銅山が盛んな頃の木材の供給地であった。泙川の「平滝」や「津室」の集落を含めて1500人もの人々が住んでいたという。
 十林班沢出合から右岸の河原を戻るうちに、右岸の高みへ向かう濃い踏み跡を見つけた。どう見ても人が歩いている様に見えた。地形図から等高線が粗になる辺り、標高1100mに当たりをつけて、踏み跡を登り始めた。径路はトラバース道なので有れば必ず交差するはずだ。だが、踏み跡はけもの道に変り、経路は見つからなかった。1150m付近まで上がったが、それらしい跡は見つからずじまいだった。
 あきらめて砥沢の河原に戻る他なかった。そのお陰といえるかもしれない。再び美しいナメと滝を堪能しながら、砥沢を下ることになったのである。



Home