栗原川 足尾山塊片品川
2016.05.22
黒川、大橋、本多、高橋
(フェルトソール)

 うす紫の桐の花 帰りの林道で見つける









遡行図



参考情報
「山登魂」足尾/栗原川と支流の継続の沢旅2012.7.1416
http://yama-to-damashii.outdoor.cc/20120714_kurihara/01.htm
「すうじいの時々アウトドア」MR525 栗原川不動沢核心部偵察(足尾)
http://www.geocities.jp/ryokami3/mr525sokou.html

コースタイム
駐車地点8:37-本流入渓9:19-岩塚ノ滝9:5210:04-源公平10:50-源公ノ滝10:50-右岸支流(高巻き取り付き点)12:02-大禅ノ滝12:12-(戻る)-右岸支流(高巻き取り付き点)12:3213:00-円覚址13:44-円覚ノ滝13:5714:09-林道14:4050-駐車地点15:57



 栗原川(くりばらがわ)は、幅広の明るい渓である。ゴーロの中にナメやナメ滝、小滝が現れる。ナメを形成する岩盤は、チョークのような比較的柔らかな岩で白い。この渓の明るさは、この白い岩盤によるものだろう。難しい滝は、本流が不動沢と砥沢とに分かれる標高900m付近に集中する。だが、いずれも険しい滝であるために、登攀の対象にはなっていないようである。
 不動沢と砥沢に分かれる手前、本流栗原川には、三つの大きな滝が連なる大禅ノ滝が懸かる。101525mの滝だという。左俣である不動沢には、落差50mといわれる円覚ノ滝が懸かる。右俣である砥沢には、砥沢ノ滝、別名五段ノ滝といわれる落差25mの滝が懸かる。
 滝の名称、滝の高さは、いずれも増田宏氏の『皇海山と足尾山塊』からの引用である。なお、地理院の地形図には、本流の大禅ノ滝は円覚大膳滝、円覚ノ滝には不動滝と記されている。また、大禅ノ滝は、大膳ノ滝とも記されるようで、混乱が生じている。その経緯の詳細は不明なので、以後は増田氏の文献を参照することにする。

 今回は、円覚ノ滝を高巻いて砥沢まで脚を運び、標高1050mの辺りまで遡行したいと思っていた。砥沢は、岩盤が発達したきれいなナメと滝の続く渓のようである。だが、思いのほか本流の遡行に時間がかかり、ちょうど円覚ノ滝で時間切れになり、そのまま林道に上がった。いつか砥沢を歩き、栗原川の上流を歩いてみたいものだと思う。その時は、遡行記録のない十林班沢を歩くのも良いだろう。

**記録をまとめている間に、ウェブで「円覚址」の由来を調べているときに、ヒロタさんの遡行記録
201651415日 片品川流域 栗原川 十林班沢ケヤキ沢下降」 を発見した。先週見た時には無かったが、よく見るとその遡行は、つい先日、先週のことだった。いつもながらパワフルな遡行だった。今まで、登攀の対象になってこなかった栗原川の悪場も、ようやくヒロタさんによって先鞭が付けられたようである。その時に、十林班沢も歩いているようだ。

ルート図


本流への下降
 栗原川左岸支流のケヤキ沢出合のほぼ同じ位置に右岸から入る小さな沢がある。栗原川林道がこの沢を渡る橋の傍に車を停めた。ここは、三台ほど車を停められる。ここで沢装束を整えて、林道を上流側に歩く。本流へ下降する枝尾根がこの辺りにあるらしい。
 橋から200mほど歩いた辺り、ちょうど林道が南側に張り出す辺りから枝尾根を覗き、踏み跡を探しながら歩く。ちょうど三つ目の枝尾根に下降の踏み跡らしいものを見つけ、ここから降りることにした。この枝尾根を下がると踏み跡は途中で左手へ向かう。まっすぐ枝尾根を下るのが正規ルートと思い同じ尾根を下がったが、先が急に落ち込んで行き詰まった。
 さては先ほどの踏み跡がルートなのだろう。戻って踏み跡を下りながら東へ向かうと、踏み跡は左隣の枝尾根を下っている。この尾根を少し下ると、今度は踏み跡が右手に下がり、右隣の枝尾根を下がるようになる。この尾根をしばらく下っていくと、本流が見えてくる。ここから右手に向きを変えて降りやすい斜面を選んで下降し、本流に降り立つことができた。
 この下降ルートは、急だが踏み跡があるので安心だ。ただこの下りは松の枯葉が落ちていてフェルトソ-ルが良く滑る。本多さんも私も転んだ。あまりに滑るので、途中持ってきたチェーンアイゼンを付けた。


本流への下降点 一台車が停まっていた
下降点からの下降ルート概念図

入渓点から岩塚ノ滝
 入渓点から本流を下れば、ケヤキ沢出合はすぐのはずだ。出合はきれいな所のようなので、寄ってみたいと思っていた。だが、下流に眼をやると釣り人が竿を振っている姿が見える。下って行っては邪魔になるだろう。そのまま遡行することにした。
 岩塚ノ滝までは広々とした明るい河原の遡行になる。両岸には、時に白っぽい岩壁が現れる。豪壮な景観である。時々川幅いっぱいに広がるナメが現れ嬉しくなるが、基本はゴーロだ。入渓点から30分ほど歩くと、沢は大きく右へ曲がる。その先に、大きな滝が見えてくる。岩塚ノ滝だ。まるで、巨大堰堤のように見える。沢幅いっぱいに広がる滝の落ち口から円弧を描いて水が落ちる。豪快だ。10mはあるだろう。
 この滝は、とても登れない。左岸に上がれる所まで本流を戻り左岸に取り付く。少し登ると踏み跡が現れた。左に大きな滝を見ながら踏み跡を辿れば、落ち口を過ぎた辺りで本流へ下降できる斜面が現れる。岩塚ノ滝落ち口から100mほどの辺りに降りた。ここは、沢幅いっぱいに広がるナメが、煌めく水面を見せるきれいな場所だった。



木洩れ日の広い河原が続く
入渓点付近の左岸岩壁 壮観だ


歩き始めて30分ほどすると落差10mの「岩塚ノ滝」が現れた
黄金のような滑床を歩く 新緑と相まって、まばゆいほど光り輝いていた


対岸に立っている黒川さんが小さく見える 岩塚ノ滝
岩塚ノ滝 見るからに豪快だ 轟音と共に弧を描いて水が落ちる

岩塚ノ滝の左岸を踏み跡を辿り高巻く 左に滝が見える


岩塚ノ滝上から源公ノ滝
 
この辺りから先は、つぎつぎにナメが現れる。少し退屈だった遡行に変化が現れる。連続するきれいなナメを歓喜の心で歩くとインゼルが現れる。このインゼルが終わる辺りから再びゴーロが始まる。その先に見えた同年配の釣り人に声をかける。まだ釣り始めたばかりのようだ。快く先を譲ってくれた。ありがたい。
 
ゴーロは長く続かない。左手に大きな段丘が見えるようになると再び明るいナメが続く。段丘は、石垣が残る集落跡だ。かなり広く長い。この集落は、源公平(げんこうだいら)というらしい。足尾銅山が盛んな頃、森林資源を伐採して銅山へ運ぶ仕事をしていたようだ。戦前には、集落が消えてしまったようである。仔細は分からない。以前、片品川泙川の小田倉沢を歩いた時にも集落跡があり、かつて足尾銅山へ物資を運んでいたと聞いたことがある。山と山の間を索道で結び、材木などの資源を運搬したようだ。
 左岸から水の少ない沢が入ると、前方に幅広のナメ滝と5mほどの特徴のある滝が現れる。源公ノ滝だ。左にこんもりとした岩が盛り上がり、右の凹部に水を集めた奔流となっている。遠目にも遊園地の遊具を思わせる楽しそうな光景だ。この滝は、源公平に住む子供たちの格好な遊び場だったと、どこかで読んだ。


岩塚ノ滝を高巻いて沢に降りるとナメが広がっていた


先に続くナメを見てみんな陶然とする
白い岩壁を見上げながら広いナメを静かに歩く 新緑が眩しい


穏やかな流れは曲りインゼルになる
ゴーロもじっくり見れば美しい 釣り人がいた

ナメが続く ゆったりとした気持ちで歩く 左は源公平か



























かつて人が住んだ気配が漂う
源公平 広い台地が樹木の中に広がる 古い石垣が残る


1mほどの幅広の滝 沢幅いっぱいに水を落とす 向こうに見えるのは源公ノ滝
源公ノ滝5m 小さな滝だが水を集めて奔流を見せる

源公ノ滝上から大禅ノ滝
 源公ノ滝を過ぎると、深い釜を持った4~5mの滝が続けて現れて沢に変化が生まれる。両岸は狭まり色の濃い大岩が現れる。深みは緑がかった透明度の高い水である。広いナメの世界とはまた違った、渓谷の美しさを見せてくれる。日の陰る部分が多くなるためか、水に濡れる岩に茶色の苔が付いてくる。滑るところがあるので要注意だ。
 
ナメが途絶え、大岩の目立つ狭いゴーロになると、標高880mで左からわずかに水を落とす支沢が入る。この沢が栗原川の悪場を抜ける唯一のルートになる。付近の両岸は、切り立つ岩壁になっているが、この沢の付近だけが岩が切れている。
 本流はすぐに深い釜を持った緩やかな6m滝になる。その先の小滝も越えると、暗いゴルジュになる。中が見えない。左岸に寄ると深い釜を持った10mほどの滝が見える。これが、大禅ノ滝の最初の滝だろう。左側の岩が上がれそうに見える。ただ、釜が深いので腹まで水に漬からなければならない。
 ここで引き返し、悪場を高巻くことにした。先ほどの、右岸支流まで戻って休憩、作戦会議を開いた。大禅ノ滝から戻る途中、高巻きができそうな箇所は、この右岸支流しかないことが分かる。他は、切り立つ高い崖におおわれている。この右岸支流から大禅ノ滝と円覚ノ滝を高巻くことにした。

4m滝 大釜があるので右か左の端を登る 5m滝 ここも大釜がある 右を登った

変化のあるナメが続く 木目のような岩の紋様 どうしてできたか興味が湧く

きれいなナメを見ながら淡々と歩く

こんなきれいなゴーロもあった 木漏れ日が渓をまだらに照らす






















最後に小さな滝を越えると大禅ノ滝のあるゴルジュへ
左から高巻きの支沢が入るとすぐ6mナメ滝

大禅ノ滝最初の滝10m ここから戻り右岸を高巻きする 

大高巻き
 本流標高880mでゴロタ石の間からわずかな水を落とす右岸支流を上がる。水はすぐ消えてしまう。15mほど登ると4mの涸れ滝になる。右に古いロープが見えるが、岩が脆く見え登る気がしない。左手の急なガレをだましながら上がって涸れ滝を越えた。この4m涸れ滝の上で、右に枝沢が分かれている。岩壁に囲まれていて突破は難しそうな雰囲気だ。
 左の涸れた支沢沿いに這い上がり高度を稼ぐ。右沢には8mほどの滝が懸かっているのが見える。わずかに水を落としている。ここを上がる人もあるようだが、難しそうに見える。支沢に沿って上がり続けると右手に見えた岩壁が低くなり、右手に回り込めるようになる。右沢に見えた滝も、もう見えなくなっている。本流から90m登ったことになる。標高は970m付近である。
 大高巻きルートは、かつて集落があった円覚址へ上がらなければならない。今まで登ってきた涸れ沢を離れて右へトラバースする。ほどなく右下に窪が見える。これが右沢なのだろう。東へトラバースしながらこの窪へ降りた。さらに東へ向かうと石垣の残る集落跡と思われる平坦地に出た。右手には山が高く盛り上がっている。ここが円覚址なのだろう。前方、南東方向には小さな鞍部が影絵のように見える。
 現在位置が正確には分からない。影絵のような鞍部へ立つと深い谷からは轟轟と水の音がする。どうやら、鞍部の下が不動沢のようだ。地形図を見ればこの位置は一目瞭然である。目的の細尾根を探し当てて一安心、この尾根のきつい登りはすぐ穏やかな登りに変わる。狭い尾根を上がるとやがて右下に円覚ノ滝の落ち口が現れる。落ち口で水が絞られ断崖をまっすぐ滝が落ちている。見るからに風格のある滝だ。滝の落ちる下の沢は見えない。いったい何mあるのだろうか。
 円覚ノ滝落ち口の右岸付近は、割に広い平坦地になっている。ふと見ると金属の銘板がある。「円覚線停車場跡」とある。裏面には来歴が彫ってある。
 ここから林道へあがるには、まだ100m以上の急な登りをこなさなければならない。ジグザグに伸びる踏み跡を追って、何度も休んでようやく林道へ上がった。

 今度の参加者は、フェルトソールとラバーソールをそれぞれに履いてきた。今度の栗原川本流遡行の範囲では、フェルトソールの方が良かったように思う。上流に遡行し沢幅が狭まるに従い、茶色の苔が濡れた岩に付き、良く滑るようになったからである。ただ、フェルトソールは林道から降りる際に松の落ち葉で良く滑る。





右下に沢音を聞きながら枝尾根を上がると円覚ノ滝が見えてくる
難しい高巻きで活路を見出し、古い石垣の残る古道を行く 円覚ノ滝手前

円覚ノ滝落ち口が見える 右岸をさらに進めば落ち口に降りられる

円覚線停車場跡の銘板がある かつては索道の基地だった


















ようやく林道へ上がり座り込んでしまった
林道へ上がった場所 カーブミラーがある 



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