大洞川 富士川福士川 (調査)
2016.04.23
高橋
(フェルトソール)

道端に咲いていたシャガの花














参考情報
*『日本登山大系 南アルプス』白峰南嶺・安倍連山の項 白水社 

コースタイム
篠井山登山口11:10750m二俣11:55-二段8mナメ滝12:24850m二俣13:16-登山道13:2025-登山口13:45

概念図



山域と大洞川
 大洞川というと、すぐ奥秩父の谷を思い出すと思うが、こんどの大洞川は、安倍東山稜から東へ派生する篠井山(しのいさん)を源流とする谷である。
 今年の二月に安倍東山稜の青笹山を登って地藏峠へ向かうときに、右手前方に大きな山塊が見えた。調べてみると、それが篠井山だった。つい先日、春に歩く沢を調べていたら、福士川の源頭が、この篠井山に発することを知った。篠井山は、安倍東山稜から東に派生する尾根の高峰だ。
 
福士川は富士川の右岸支流だが、遡行の対象となっている谷は無さそうである。ただ、文献*には、「福士川はおもに本谷が対象となるが、中流域にあるゴルジュの突破は醍醐味がある」との記載があるので、まれにはこの辺りだけ遡行されているようである。
 
福士川は、標高530m付近で夕陽沢と大洞川が合流して東へ流れ富士川に注ぐ短い河川である。夕陽沢、大洞川とも、勾配は割合に穏やかなので遡行に適した渓ではないかもしれない。ただ、篠井山の登山記録を見ると、途中登山道から大きな滝が見られるようなので、ダメ元で一度歩いてみようと思った。大洞川に沿って篠井山の登山道が並走しているので、沢歩きの対象としては不足だが、ヤブのあるこの地域としては下山ルートを考えなくても良いのでありがたい。
 *『日本登山大系 南アルプス』白峰南嶺・安倍連山の項 白水社


アクセス
 新東名の清水ICで降りて、富士川沿いに国道52号線を甲府方面に走る。ICから15kmほど走ったところで、福士川に架かる橋を渡る。すぐ右手が山梨県南部町役場だ。ここを左折して福士川に沿って広い舗装道を走る。下村集落を過ぎた先で右折して奥山温泉へ向かう。ここも舗装された良い道である。車のすれ違いもできる広さだ。571m地点(地形図)では奥山温泉との分岐をまっすぐ篠井山登山口へ向かう。道は狭くなるが舗装されてある。大洞川を渡る橋の手前に駐車場がある。10台は停められるだろう。土曜日の当日は、もう11時頃だったが先客は二台だけであった。


ルート図


渓相と期待
 大洞川は、思いのほか水量の多い沢である。沢床は岩盤のようである。ところどころでスラブが露出してナメやスラブ滝を形成している。沢の勾配の割には滝が多い。どの滝にも釜があり大きな滝には大釜が水を湛えている。滝は磨かれているので水をかぶり黒く光っている。茶色の苔が付いているので滑りそうに見えるが、思いのほかフリクションは良い。フェルトソールを履いて行ったが、ラバーソールではどうなのだろうか。今日歩いた範囲では、大きな滝は小さく巻けるので初級者には良い沢だと思う。人によっては、傍に登山道が並走していることに不満が出るものと思う。
 
この大洞沢に限らず、車の走行中に見た福士川の支流はどこもその出合いにスラブの滝が見受けられる。どの支流も登ってみれば面白いのではないかと思わせる。
 
特に、夕陽沢の出合は、ゴルジュに大きなスラブ滝に深い釜を持つ豪快な渓相を見せており、上流への遡行に期待の膨らむ谷である。腕に自信のある向きは、このゴルジュを泳いで突破して地形図上で500mほど続く狭隘部を探検するのも楽しいかもしれない。ただ、われわれのような冒険嫌いの「沢屋」は、この狭隘部を林道でかわして穏やかな620m付近から遡行してみるのが良さそうだ。東海自然歩道の続く田代峠への道は、車で入れるのは奥山温泉までのようなので、その先は歩くことになる。だが、たいした距離ではない。

夕陽沢出合のゴルジュ 深い釜があり黒光りする難しい滝が二段に懸かっている


遡行記録(調査)
 大洞川の遡行は、篠井山登山口の大洞橋から始めた。アプローチがないため、沢を歩き始めても足元不安定でいけない。大きな石を越えて歩き始めると、すぐ大きな滝が現れる。U字状スラブのみごとな滝だ。二段で14mはあるだろう。水量もかなり多い。ここは、左岸をトラバースして越えることができる。この二段14mの上は、川幅いっぱいに広がるナメになる。きれいな小滝も現れる。入渓早々、興奮する。
 
750m手前で左から沢が入る。あやうく、こちらに入り込みそうになった。右本流へ入るとすぐ750mで二俣になる。この辺りは、大岩が点在する。本流左俣には、三段5mの小さな滝がある。この上でも2mの小さな滝が現れるが、やがてゴーロになる。すぐ右手から水の少ない急峻なナメ沢が入る。この先でも同じようなナメ沢が入る。沢の左手には登山道が見える。
 
沢が登山道と分かれたあと、800m付近で大きな釜のある5m+3mのナメ滝が現れると、ここからは次々に滝が現れ850m二俣まで続く。6m、5m、3mの連瀑は無理せずに左手を小さく巻いた。この上には小滝の連瀑がある。一番上の3mスラブ滝は、茶色の苔で滑りそうだが、思いのほかフリクションは効く。その先にはすぐ3mのスラブ滝が三段続く。ここもルートを選んで快適に越える。
 
850m二俣のすぐ手前で、3mほどの大岩に囲まれ行く手を塞がれる。ここは、左端の大岩を回り込んでルートを引いた。この上は、大きな二俣である。左手には、二段10mのみごとな滝が懸かる。あとで分かったのだが、この滝は「明源の滝」と呼ぶようだ。ここは、とても登れそうにない。大岩の詰まった右俣は、その先にピンクテープがわずかに見える。おそらく登山道だろう。
 
二段10m上にはガスが懸っているしポツポツと雨も落ちてきた。今日は、調査のためにやってきたのだった。これだけ歩けばもう十分だろう。ここで切り上げることにした。歩き始めてから、たいした距離でもないのに二時間近く歩いている。

14m滝上段7m 左岸落ち口高さをトラバース
入渓してすぐに現れる見事な滝二段14m 左岸を小さく巻いた


ナメの上の小滝 明るく水量の多い沢だ
二段14m滝上のナメ 沢幅いっぱいに広がる


左から入る沢を見て、右本流へ進む 大きな石
750m二俣すぐ上の小滝三段

ゴーロがしばらく続く 沢が少し荒れている 登山道を右に見送ると前方に滝が見えてくる

5mのスラブナメ滝 黒光りする この上に3mナメ滝が続く 釜に入り右の岩を上がる


スラブナメ滝の上に大釜を持つ6m滝が続く ここは釜が深いので右岸の岩を上がりわずかに水のあるナメ窪から高巻いた
6m滝 この上には5m、3mの連瀑

緩やかな三段ナメ滝 茶色の苔が付いている スラブの小滝三連瀑 磨かれた岩を慎重に


大岩の滝で越えるのが難しいところも ルートを拓く
大きな岩が現れる 所々に鉄線が残されている

大岩の集まった850m二俣 左俣本流には二段10m滝が見える ここは水流沿いの突破は難しい 高巻きもルート判断が必要


右俣30m先にピンクテープが見える 登山道か? ガスが懸り雨も落ちてきたので今日はここで引き返す いずれも3mほどの大岩なので上がれない 左の大岩を回り込んで上がる
本流左俣二段10m滝 水量の多い豪快な滝だ


850m二俣で右俣を上がると登山道になる 今日はここから下山する
登山道から見た850m二俣の本流左俣二段10m滝 10mよりもはるかに大きな滝に見える 下から見えなかった滝が続いている 標識には「明源の滝」とある いつかこの滝を越えて上流も歩いてみたい



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