鳥屋鐘沢 丹沢山塊早戸川
2016.04.09
高橋
(フェルトソール)


もう咲き始めたミツバツツジ














参考情報
「ヤマレコ」 早戸川水系 鳥屋鐘沢~ヌタノ丸 20130609日 kamog
「EAの丹沢山行記」 2013年5月26日  鳥屋鐘沢~鐘沢ノ頭南西鞍部~鳥屋鐘沢堰堤道

コースタイム
ゲート9:22-鳥屋鐘沢出合9:33-給水塔9:58-第一堰堤12:03580m二俣12:18-650m二俣(右へ)12:3845815m尾根13:34-本間橋14:1630-ゲート15:30

ルート図


春を歌い始めた花たち
沢辺にひっそりとヒトリシズカ もう開き始めたミツバツツジ

何の樹だか分からないが葉がきれい 沢の斜面にヤブツバキ

道端に鮮やかなヤマブキ 花を勢い良く伸ばすヤナギ



不安と期待
 シーズン初めての沢のためか、いろいろ前調べしたが、心配事が消えて行かない。あのゴルジュは通過できるのだろうか、大滝の高巻きが難しかったらどうしよう。フェルトソールの方が良いのだろうか。まるで、沢を歩き始めた頃のように様々な心配事が頭に浮かんでは消える。
 足腰の弱さは隠し切れないし、バランス感覚もかなり衰えてきた。今まで登れたところも前のようには登れないかも知れない。そんな不安がどうしても残る。今までなら、ウェブの情報を総合して判断すれば、自分の歩ける沢は分かる。そう思ってきた。だが、歩けると判断しても、今ではそれに確信が持てない。
 ただ、不安があるということは、期待もあるということだ。そんな訳で、久々に興奮の朝を迎えた。

通行止め
 国際マス釣り場のすぐ先に柵が置かれ、通行止めになっている。「ゲート先は、通行止め」の表示がある。1km先のゲートまでは入れるようなので、柵を動かして先へ進んだ。帰路、旧丹沢観光センターからこの林道を下って来たとき、がけ崩れが数か所あった。いつからなのか分からないが、しばらくゲートの先は通行止めのようだ。
 
ゲートの少し前に車を停めて5分ほど歩くと、林道が直角に右へ曲がる場所がある。この手前が、鳥屋鐘沢出合への降り口になっている。
 出合の前には大岩がある。早戸川の水量は多い。最初から膝まで水に入って越える。春のまだ寒い時期だ。なるべく水に濡れないで歩きたいという思いは、最初から崩れた。だが、このあと足に冷たさを感じることはなかった。五月並みという気温が幸運だった。
ゴルジュ
 
鳥屋鐘沢は、入渓するとすぐゴルジュが始まり、標高480m付近で左から涸沢が出合う付近まで続く。その後は、ゴーロになりきれいな流れを見せる。800mを越えた辺りで再びゴルジュになるようだが、今回は650mを右俣へ入って尾根に上がったので、上部のゴルジュは見ていない。
 出合から始まるゴルジュには、小さな滝が連続してかかりどれも釜を持っている上に水量が多い。岩も磨かれているので、直登できる滝はほとんどない。まだ水に入りたくない春には、釜に入るのも躊躇してしまう。そんな訳で滝の大概は巻いた。
 釣り人が入るのだろうか。難しい巻には、ロープやひもが下がっていてありがたい。この先人の備えがないと簡単には越せないところもある。
堰堤
 ゴルジュを過ぎるとゴーロになるが、ときどき倒木もあるのでくぐったり避けたりしながらの遡行となる。ゴーロの水は豊富だ。周囲の芽吹きや小さな花を楽しみながら歩く。対岸にミツバツツジの鮮やかな紫を発見して驚いた。ミツバツツジは確かに早く咲く。だが、こんなに早く咲くものかと思った。このあと、桜の霞とこの紫の炎を幾つも見ることになる。
 標高550m付近で石積みの堰堤が現れる。このあとも50m置きに四基の堰堤が続けて現れ、すぐ580mの二俣になる。この二俣の左俣には6mほどの滝と大きな石積み堰堤が見える。水量もある。
 本流は杉林が現れたりしながらゴーロの清流が続く。ゴーロも長くなるとどうしても退屈になってしまう。浮石によろけたりしながらの遡行になった。650mの二俣では左俣本流には堰堤が現れる。右俣には小さな堰堤が二基見える。事前の計画でこの右俣へ入ることにしていた。右俣の標高700mで西向きの窪を上がって蓬平ノ頭に続く尾根に上がる、というのが計画だ。
詰め
 二基の堰堤を越えると水が涸れる。右に涸れ窪をみて進み、690m付近で右にはっきりとした涸れ沢が現れたのでここを上がった。涸れ沢は西に向きを変えて尾根を目指す急な窪になる。計画通りだ。770mで右手の枝尾根に逃げ急登をこなす。途中、鹿柵に行く手を阻まれるが、壊れた穴を潜って転げ落ちそうな斜面をジグザグに登るとヤブ漕ぎなしでようやく尾根に出た。今日の核心は、何の変哲もないこの詰めだった。
 沢歩きの詰めというのは、他のどの人生シーンでも現れることのない厳しいものだと思う。足元がずり落ちそうな斜面を、ひたすら体力を頼りに文字通り一歩ずつ脚を運ぶ。枝尾根に出れば、ブッシュの助けを借りて自身の重い体を引き上げて太い樹木の元で息を整える。それでも岩やヤブが現れなければ幸運だ。尾根に上がって、振り返ると谷底まで落ちる斜面がそこにある。



下山
 尾根を蓬平ノ頭へ向かう。その先790mピークで西の枝尾根に入り、750m付近で左手の急斜面を降りて、地形図の点線を頼りに旧丹沢観光センターへ降りるつもりだった。下降点には何か目印があるだろう。そんな甘い考えが良くなかった。分岐が探せずに、そのまま700mの鞍部まで下がってしまった。左手に薄い踏み跡があったので降り始めたが、すぐ見失った。ヤブはない杉林なので、そのままトラバース気味に下降して630mの沢に降り着いた。ここから旧丹沢観光センターはすぐだ。この旧丹沢観光センターは、今は「魚止森の家」というようだ。



ゴルジュの始まる手前にナメ滝
早戸川の流れの向こうに鳥屋鐘沢の出合が見えてくる


右岸を巻く 小滝と釜が続く 岩はぬめりで光っている
左手の給水塔から水が噴き出す 前方は5m滝 左岸のザレを慎重に登りトラバースする


ゴルジュが続く 釜が浅ければ入り岩を上がる
3mほどの滝 左の岩のトラロープをつかんで越える


二段大滝上段 傾斜は緩いが岩が磨かれていて,
登れるのは水流沿いだ 水量が多い時は苦しいかも
二段大滝12m 下段が見える 真ん中のクラックを登る人もいるようだが、ここは右手のザレをだましながら上がり落ち口へ ロープやアブミは無かった


さらにゴーロが続く 大きく高巻くところもなく越えることができる
二段大滝 上部に続く滝 右の3mほどの滝を苔をタワシで落としながら上がる


4mCS滝 アンテナ線の束が下がった右岸の滑りやすい岩を上がってトラバースする トラバースで上がり過ぎてしまい ロープで懸垂下降した 際どい所は無いが慎重にいきたいところ
4mCS滝 正面突破はできそうにない


トラバース中にゴルジュをのぞく
快適に岩を高巻くことができるところもある


ゴルジュが終わると 長いゴーロが続く
ゴルジュが開け始める


倒木がしばしばある くぐったり浮石でバランスを失ったりでけっこう体力を使う
第一堰堤が見えてくる このあと堰堤が続くが、どれも容易に越えられる


第四堰堤の上には 右岸に石垣がいくつも見えた 炭焼きでもしていたのだろうか
鳥屋鐘沢の清流 580m二俣から振り返って


650m二俣 右俣奥にも二基の堰堤が見える 右俣に入る
650m二俣 本流左俣には堰堤が見える

650m二俣の右俣にかかる堰堤二基 この上で水も涸れる 後は地形図を頼りにひたすら詰めるだけ

 山ビルの多い地域なので注意していたがヒルの姿は見なかった。暖かい日だったが、この時期は問題ないようである。
 鳥屋鐘沢の左岸尾根は人工林のため暗い雰囲気である。旧丹沢観光センターへ降りたのは、正解だった。ヌタノ丸を経由して尾根を下山する方法もあるだろうが、早戸川への降下が厳しそうだし、水量の多い川の徒渉も考えなければならない。良く知らないで降りると、考えた以上に時間を取られるので注意したい。




Home