ミズヒ沢 丹沢山塊四十八瀬川
2015.10.18
楢原、高橋(ラバーソール)

沢のほとりに咲く大文字草 清楚な白い花










遡行図  



参考情報
ヤマレコ 四十八瀬川水系ミズヒ沢~マルガヤ尾根
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-301368.html


コースタイム
県民の森9:15-ミズヒ沢入渓9:55-大滝10:0520-高巻き終了11:00-4m滝11:35950m二俣12:1044-本流1000m13:30-涸れ沢三俣13:54-南尾根14:2236-後沢乗越15:0822-県民の森16:20


ルート図


 丹沢のミズヒ沢を歩いた。鍋割山南面の四十八瀬川の支流だ。四十八瀬川といえば、勘七ノ沢がつとに有名だが、ミズヒ沢は最も上流部に位置する支流だ。そのまま、鍋割山の頂上1272mに突き上げている。

 勘七ノ沢は何度も歩いたが、このところ勘七ノ沢出合の二俣に立ったことは無い。もう十年近くになるのかもしれない。二俣というのは立派な固有名詞で、勘七ノ沢の出合付近で登山道が鍋割山方面と塔ノ岳方面へ岐れる辺りを「二俣」という。ちょっとした平坦地がある穏やかな場所で、勘七ノ沢のきれいな水が流れている。つい休みたくなる処だ。
 表丹沢でヒルが騒がれ始めた頃、最初にヒルの姿を見たのはこの二俣だった。もしかしたら、この辺りに近寄らなくなったのは、このヒルのお陰かもしれない。二俣には、以前登山届を受け付ける箱が置いてあったが、今では撤去されている。四十八瀬川の左岸に伸びる西山林道も、2014年4月からゲートを設け閉鎖しているようである。神奈川県の登山力は徐々に衰退している。過去の栄光は失われて、もう後がない。
 ちょうど登山の時刻だったのか、二俣付近の林道には鍋割山へ向かう人がけっこう歩いていた。みんな一様に若い。2030代の若者だ。どちらかといえば女性が多い。下山の時も含めて、団塊の世代の登山者は、自分だけで他には見なかった。われわれの世代の引退を印象付ける光景だったが、そういう時代がいよいよ来たのかもしれない。団塊の世代も70歳に近い。データ的にもそういう時代なのだろう。事実、一生懸命歩いているつもりでも、若い女性たちに次々に追い抜かれてゆく。
 二俣には、変わらぬ勘七ノ沢の清流があった。以前と寸分違わぬ光景だった。人の世が様々に変転しても、自然は、ありのままにその営みを続けている。そんな寂しいような嬉しいような感慨を湧き起こす二俣だった。


多くの人が歩く鍋割山へ向かう林道 ミズヒ沢へのアプローチでもある 若い女性が多い 団塊の世代が退場して新たな世代が台頭しつつある そんな世の移ろいとは関わりなく 今日も丹沢の清らかな水が流れる


 ミズヒ沢は、ゴーロの沢である。入渓早々に現れる大滝20mを除けば、上流部に二つほど大き目の滝がある限りで、他には1~4mほどの小さな滝があるに過ぎない。青っぽい岩の間をきれいな水が流れている。ゴーロの姿は、塔ノ岳に突き上げる沢、水無川本谷やセドノ沢左俣によく似ている。
 丹沢の水はいつ見てもきれいだ。沢が岩で形成され土が混じっていない。歩いてもまず濁るということが無い。倒木も少ない。岩には苔が付かず、破砕された面がそのまま残っている。これも、この辺りの沢がきれいな理由だと思う。
 大滝20mは、左岸の枝尾根を巻いた。急斜面を90mほど、標高800mまで上がる。斜面は急だが難しい所は無い。枝尾根を上がりきると石柱があり、そのすぐ先のコルから左手に見える本流へ下る。ここも急な斜面だが、ロープなしで降りられるルートがあった。必要なら、ためらわずにロープを出せばよい。降り立ったところは、標高770m付近、F2、6m滝の上だと思われる。F2を登ろうとすれば、途中から枝尾根を懸垂で降りることになるだろうが、こちらは険しそうだ。


前衛の滝とミズヒ沢大滝20m 暖かい日だったが、ゴルジュを抜けて大滝へ近寄れば冷気が漂ってくる 大滝の上部は紅葉が始まっていた


途中左手に沢へ降りられそうな所もあるが、そのまま枝尾根を登る
大滝の高巻き 最初左岸の急斜面を登り、枝尾根に上がる


標高差90m上がると標高800mに石柱がある このすぐ先にあるコルから左下に見える本流へ下がる
降り立った本流 きれいな水の流れる沢だ


 中流部にはゴーロが続く。ゴーロの間に小さな滝が続くが、目立った滝は無い。850m付近で本流に4m滝が現れる。その手前に右岸から7mほどの滝が落ちている。その上には3mほどの滝が続いて見える。垂直に近い本流4m滝は、両岸の岩がてらてら光っている。ここは直登できそうにない。迷ったが、左岸のザレ気味の窪を上がり小さく巻いた。ちょっとバランスを要する。この4m滝の上には釜を従えた1mの連瀑がある。
 標高900m付近の本流は、小さな滝の続く連瀑帯になる。ここは勾配のあるゴーロで、水無川のセドノ沢中流域のゴーロに似ている。この辺りがミズヒ沢のハイライトだといえる。940mで7つの小滝が続く連瀑が現れる。ここがこの沢のクライマックスだ。
 このすぐ先では、はっきりした二俣となる。右俣は滝の連続する大きな滝で20mはあるだろう。二俣の水のほとんどはこの右俣を流れている。正面に見える本流には大きな岩の詰まるCSが見える。いかにも怖そうな滝である。わずかな水が流れているが、滝の上で水が涸れる。この二俣のすぐ下には、左からルンゼ状の窪が落ちており、後で気付いたがこれが鍋割山の南尾根、1170m付近に上がる沢である。地形図からすれば、出合付近の沢の窪ははっきりしないが、その上部で沢が深くなるはずである。
 CS滝は、下が5m、上が5mの連瀑である。どちらも水流沿いを上がれるらしいが、完璧な自信がないわれわれは、まず右のフェースを上がり上の滝は左にある岩溝を上がった。ただ、この岩溝は少し脆いので慎重にいきたい。念のためロープを出した。このルートは、Ⅲ級ぐらいだろうと思う。


こんな感じのゴーロが続く 岩は青っぽい 時々小さな滝が落ちる 沢幅は割に広い

小さな滝の向こうに4m滝が見えてくる

右岸から7m滝が落ちる 右手に見えるのが4m滝 4m滝 850m付近 右を小さく巻いた


勾配のあるゴーロに小滝がいくつも現れる
3m滝 880m付近

 小滝の七連瀑 940m付近
950m二俣 右俣の三段20m      
水はこの右俣に流れている
 本流は左俣


二段10mCS滝下段5mを上がる楢原さん
本流の左俣二段10mCS滝 下段5mを上がる高橋

二段10mCS滝の上段に挑むが一度降りる 右岸の岩溝を上がり小さく巻いた


 CS滝のすぐ上は水の涸れたゴーロの二俣で、今日は左俣へ入る。この辺りから勾配が急になり始め、安定しないゴロタを踏んだり避けたりしながら高度を稼ぐことになる。ここから鍋割山の南尾根に出るまで、標高差200m以上のゴーロを歩くことを覚悟していたが、現地に立つと嫌気がさした。水も無くなり、この先見るべき滝もない。ショートカットして南尾根へ上がろうと考え、ルートを立てた。標高1000mの本流から左手の窪を辿り左手の枝尾根の突き出しへ上がり、そこからさらに左手の沢へ降りて、1070m付近の三俣を目指す。この三俣の左俣を上がれば1170m付近の南尾根へ出るはずである。
 このルートは、取り付きの窪の上部が急だったが、途中特に危険な所もなく順調に高度を上げて、目的の尾根に達することができた。ヤブのない見通しの良い詰めで、紅葉の始まった丹沢の秋を堪能することができた。



1030m付近から振り返る この辺りは紅葉が始まり山腹が色づいていた
本流1000mから左の窪を上がる 左手の枝尾根の突き出しを目指す 枝尾根に上がった後は、さらに左手の涸れ沢へ降りる

涸れ沢1080m付近の三俣に立つ 左俣へ入り鍋割山南尾根を目指す

左俣から左の枝尾根に上がり高度を稼ぐと南尾根1170mに出る

















<注>ミズヒ沢にはヒルがいるものと考え、「山ビルファイター」で対策をして行ったが、遡行全体を通してヒルの姿は見なかった。10月とはいえ暖かい日で、前日には雨も降ったので不思議な感じだった。最近はヒルが少なくなったのだろうか。それとも、季節のせいなのだろうか。良く分からない。ヒルの駆除もされているようなので、そういう効果が現れた結果かもしれない。



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