沖箱根沢 丹沢山塊大滝沢
2015.10.04

高橋(ラバーソール)
大滝沢を左下に見ながら登山道を歩く










遡行図  



参考情報
特になし


コースタイム
林道駐車場9:07-マスキ嵐沢出合9:39-沖箱根沢出合9:57-F3上10:56-F4・11:09-F4上11:2344-二俣11:53-標高935m地点12:42965m稜線12:49-林道駐車場13:58


ルート図





 昨日は、学生時代の仲間が、『沢の風と空』の出版を記念して食事会を開いてくれた。東京駅丸の内出口近くのオアゾビルにあるレストランだ。イタリアン懐石のランチだったが、満足な味だった。がつがつ食べるのも悪くはないが、美味しいものを少量、味わいながら食べるのもなかなか良いものである。いつもは、テレビを見ながら10分ほどで昼食を済ましてしまうのだが、この日は、3時間もかけてゆっくりと食事を楽しんだ。
 
欧州の人は、ゆっくりと昼食を採ると聞いたことがあるが、毎日こんな優雅な時間を過ごすとすれば贅沢な話で、自分に比べてずいぶん人生を楽しんでいることになる。自分は、この60余年を一体何をしてきたのだろう、そんなことを考えてしまうような昼食だった。
 集まったのは、学生時代にいっしょに山を歩いて来た仲間だ。その後、それぞれに人生を磨いてきた者たちなので、会話もなかなか楽しい。若い時の友人というのは、いつ会っても当時と同じような気持ちで会話ができる。遠慮がいらない楽しいものだ。
 昼食後には、皇居の東御苑を散策して解散になった。お昼に会を開いたのも、酒を呑まなくなった私への配慮だろう。本当は、酒のある席で腰を落ち着けて呑みたかったのだろうと思うと、少し気の毒な気がした。
 東御苑は素晴らしい「公園」だった。東京駅の近くにこんな「公園」があるとは知らなかった。こんどの食事会で得たもう一つの収穫だ。公園内の博物館に皇室所蔵の美術品が飾ってあった。その中の日本画に惹かれた。作者は忘れてしまったが、対象を際立たせる構図そして鮮やかな色彩に西欧の絵にない現代性を感じた。「公園」の黒松の枝ぶりも実に見事だった。日本画やふすま絵にでてくるあの枝ぶりである。
 日本画にしても松の剪定にしても日本特有のものだが、その突き抜けた伝統の中に現代性を感じるのは、考えてみれば不思議な気がする。

 前置きが長くなってしまったが、昨日、こんな行事があったので、次の日に沢へ行くかどうか迷っていた。だが、朝起きると青空が出ていたので、慌てて支度をして出掛けることにした。いつものことである。丹沢なので近い、一時間半ほどで現地に着けるので楽だ。今まで通っていた笛吹川荒川とは、ずいぶん違う。
 西丹沢中川川大滝沢の支流、地獄棚沢を何度か歩いた時、途中に大きな滝を懸けている右岸支流のあることを知った。沖箱根沢である。少し暗い沢だったが、いつか歩いてみたいと思っていた。『丹沢の谷 110ルート』には、上級となっているが、高巻きができるのなら、初級と変わらないだろう。

 沖箱根沢は、出合付近から大きな滝が続く沢である。20mF1の登攀は難しいが、5mF2、20mF3は、クライミングを体得している人にとっては面白い滝登りになるだろうと思う。F2はホールドが細かく、F3は水が多めの今日は上部で少し水をかぶるので、それなりの覚悟が必要になる。そんな覚悟を持ち合わせていないので、どちらも巻いてしまった。高巻きは急だが際どい所は無い。
 F3は、高巻いたあとで落ち口から懸垂で降りて、登り返してみたいとも思ったが、短い補助ロープしか持ってこなかったので、それもあきらめた。軽量化が過ぎると、こんなことも起きる。
 F4は、落ち口と滝下で流れが絞られためずらしい形の優美な滝だ。30mぐらいはあるだろう。水流沿いは登れないが、滝の右端の窪に弱点がある。一見難しそうに見えるが、取り付いてみればホールドはある。ただ、高度もあり岩の脆いところもあるので慎重にいきたい。落ち口の高さでホールドが細かくなるので、落ち口へ向けてトラバース気味に上がった。ホールドはある。Ⅲ級程度だろう。
 F4の上でお昼にした。逆光の中に光るナメ滝を見ながら、コンビニの弁当を食べるのもまた優雅だった。この時間は、昨日のイタリアン懐石に匹敵する。満たされた気分でいっぱいになった。

 沖箱根沢は、きれいな沢である。基本は閃緑岩の沢床で岩盤が露出している。高巻き以外はきれいなナメ床を歩くことになる。これは、西丹沢の多くの沢で見られる特徴である。このナメを歩く喜びは何とも言えない。当日は、三日前に降った雨のお陰で水量がいつもより多かったと思う。いつもは水量が少なめの沖箱根沢を歩くには、これも幸運だった。
 ただ、この沢のきれいなナメやナメ滝も標高800m付近までである。その先は、ガレ岩のゴーロになり、流木も目立つようになる。遡行価値はあまりない。水は、850mで涸れる。当日は、初めてだったので、沢の様子を知りたいと思って最後まで忠実に詰めた。だが、820m付近から右岸の尾根に上がった方が賢明だろう。
 沢から稜線までの標高差は100mもあるが、右岸尾根を辿れば、大滝橋近くの林道まで戻ることができる。右岸尾根には、踏み跡がある。ただし、650mピークから北東方面への下りには、踏み跡が認められなかった。この辺りのルートを歩くには、『西丹沢登山詳細図』(吉備人出版)を参考にするとよい。





マスキ嵐沢出合 ここから大滝沢本流を歩く
大滝沢沿いの登山道を歩く 天気が良い


大滝沢本流の穏やかな流れ 3日前の低気圧通過で水が多め
沖箱根沢の出合 F1が見える

20mF1 とても登れそうにない 出合まで戻って左岸の枝尾根を高巻いた


高巻いた枝尾根 急だが難しいところはない
5mF2(手前)、20mF3(奥) 高巻き途中から見る F2のホールドが細かく登れないので左岸を高巻いた F3も同時に巻いた


小さなナメ滝とナメが続く
F3の上のナメ滝


天気が良いので木漏れ日がナメを照らす
ナメを歩いていると沢は大きく右へ曲がる


沢を右へ曲がると前方に大きな滝が見える
F4 30m 特徴的な形の滝だ 下部はトイ状 水が多い

滝右端上部の窪がルート 右の緩斜面を上がって取り付く 上部は落ち口へ向けてトラバース


ナメ滝上部
F3上のナメ滝 ここでお昼にする ゆったりとした時間が流れていく


790m二俣5:1 本流は左 本流のすぐ先でも二俣になる
ナメの先に3m滝が見える

左俣本流の三連ナメ滝 逆光の中に


















810m付近 沢が荒れてくる
詰め終了点ガレ 終了点は標高935m 右岸をトラバースして稜線を目指す

この斜面を上がってきた ブナ林



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