荒川2 奥秩父笛吹川
2015.08.23

高橋(ラバーソール)
珍しい野生のイチゴ 栽培されているイチゴにそっくりだが実が小さい















参考情報
「沢の風と空」 荒川1 荒川3 御室川左俣
「鉄道と滝」 奥千丈林用軌道
http://www.geocities.jp/d05sm012/okusenjyou.htm

コースタイム
林道1950m駐車広場9:10-荒川入渓10:001910m段々ナメ滝11:441940m二俣12:13-二段滝12:23461990m二俣13:19-車道13:41-駐車広場14:03

ルート図



 今回歩いた荒川の源流は、源頭にかなり近い。それでも、結構な水量があって驚く。基本は、花崗岩のゴーロだが、ときどきに小さな滝と釜そして小さなナメが現れる。沢の水は澄み、段丘の緑が美しい。上流に向かうにつれて、小滝と釜と岩に付いた緑の苔そして両岸の疎林が、奥秩父特有の幽深な雰囲気を醸し出してくる。滝といえる滝は、1940m二俣の少し先にある1m、4mの二段滝のみである。この滝は高くはないが、沢幅いっぱいに広がる堂々とした滝である。滝の前は開けているので、晴れていれば日が差して明るい。
 今回歩いた荒川の源流はきれいなゴーロだが、滝が無いと沢の遡行を満足できない人にとっては、退屈な沢といえるかもしれない。水の流れとその両岸の森林の美しさを求めて渓に入る者にとって、不足はないだろう。

 荒川と言うと、奥秩父の甲武信ヶ岳に源頭がある東京湾に注ぐ河川をまず思い浮かべる。だが、ここでいう荒川は、同じ奥秩父であっても金峰山と国師ヶ岳の南面を源頭とする谷のことだ。この荒川は、甲府市を南下して笛吹川に合流する、その流れは、さらに富士川となり駿河湾に注ぐ。ウェブ情報に見られる伝丈沢は、この荒川の支流である。
  地形図を見る限り荒川の遡行対象は、黒平(くろべら)集落の上流にあると思われる。乙女鉱山跡(標高1470m)までは、水量が相当多いことが想像されるので、渓を歩くには、その上流が良いだろう。荒川の勾配は、源頭付近までは緩やかなので、滝は少なく支流の伝丈沢に近い渓相ではないかと思われる。乙女鉱山では、1980年まで珪石(水晶)を採掘していたようだ。
  今年の7月に、桜沢出合から御室川出合までの荒川を歩いたので、今回はその上流を散策することにした。標高18002000mの2kmの区間である。この区間には、琴川ダムから大弛峠へ至る林道(川上牧丘線)が走っているので下山にも都合が良い。昔は、桜沢出合から荒川の左岸沿いに森林軌道が通っていたようで、その軌道跡を歩いた記録が残されいる(参考情報参照)。なお、この沢のウェブ情報は見当たらない。
 今回の遡行では、林道川上牧丘線の標高1950m地点の駐車広場に車を停め、登山道を御室川出合まで降りて入渓した。この登山道は、御室川沿いに金峰山へ続いている。御室川も遡行対象となる沢なのかどうか、一度歩いてみたいと思う。沢が登山道から離れた後は、勾配もきつくなるので滝が現れる可能性が高くなる。


1950mの駐車広場 登山者か釣り人の車が二台 軌道跡の登山道を歩いて入渓点まで下がる


 コメツガ、シャクナゲ、ダケカンバの生える林の中の登山道を下る。御室川出合の20mほど上流で荒川にぶつかる。ここは、金峰山へ向かう登山道が荒川本流を渡るポイントだ。トラロープが徒渉地点に張られている。思った以上に水量が多い。
 すぐに、不定形の岩が散在するゴーロが始まる。この先も、基本はゴーロである。沢を造るゴーロの岩や石は花崗岩のようだ。茶色の苔が付いた岩は、ラバーソールの沢靴ではよく滑る。この沢は、苔で滑らないフェルトソールの方が歩きやすい。

 入渓して少し歩くとスラブのナメが現れ、1mにも満たない小さな滝や釜が交互に現れる。小さいながらも変化に富んだ渓相である。真夏なのに水は驚くほど冷たい。先日歩いた只見川大白沢とは対照的である。標高差が1000mある。その差なのだろうか。すぐに続けて左から二本の沢が入る。不定形の花崗岩が多いのと苔が良く滑るのとで歩きにくい。息が切れる。ときおり小さな滝と釜の創り出すはっとするような景色が現れて、心が和む。ただ、滝らしい滝はなかなか現れてこない。
 次第に左右の段丘が広がるようになる。丘の上は小さな草や緑の苔が生えている。木洩れ日がこの緑の絨毯を射すと、ことさら美しく輝いて見える。獣の運動場のように草地が広がっているところもある。
 やがて、左脇から水の流れが現れると、広葉樹と針葉樹の混じった疎林となり、地面には緑の小さな草が生える特有の空間が現れる。心が癒される光景だ。草地の中には、ときどき小さな赤い実が生っている。よく見ると栽培イチゴとそっくりな小さなイチゴだ。名前は分からないが、野生のイチゴのようである。相変わらず、ゴーロがどこまでも続く。変わらず水は多い。大きな岩が混じっているので歩きにくい。

入渓点 思ったより水が多い どんな渓なのか期待が膨らむ


入渓点近くの書き付け 「+思二〇」とある
入渓点の先 左から支沢が入る 大岩がある

こんなゴーロが続く 岩が不定形で歩きにくい 水量は多い この日は少しガスが懸っていた




平たいスラブのナメ 茶色の苔は良く滑る
大きなスラブのナメが現れる

小滝の連瀑もある 水量が多い 小さな釜に阻まれる ナメのようなナメ滝のような流れ


水量が多いので小さい滝でも迫力がある 倒木は少ない
1820mで出合う右岸支流 こちらも良さそうな気配


段丘には昼寝をしたくなるような草や苔の絨毯
ときどき落ち着いた雰囲気の景色が現れる 心洗われる


動物の運動場が広がる
小さな枝沢の流れに緑が敷き詰められた疎林 美しいと思う

野生のイチゴ 栽培種に似ている たくさん生っている


















 標高1910m付近で傾斜の緩い段々ナメ滝になる。滑りそうなスラブの上をトイ状に水が落ちている。この段々ナメ滝の手前左から支沢が入っている。見逃してしまいそうな小さな目立たない流れである。
 標高1940mで二俣になる。左の方の沢幅が広いが、右が本流だ。水量も本流の方がだいぶ多い。この先で、初めて滝らしい二段の滝が現れる。1m、4mぐらいだろう。どちらも浅い釜を持った沢幅いっぱいに広がる立派な滝だ。沢を歩くと、きれいなゴーロであっても、ゴーロだけではやはり退屈になる。ようやく現れた滝に嬉しくなり、この滝を眺めながらお昼ご飯にした。いつもコンビニで買ってくる弁当だ。同じく買ったザーサイの漬物も出す。ときおり日が差すと滝が白く眩しく輝いて見える。
 ゆっくり眺めた二段滝を後にすると、沢は大きく右へ旋回する。ここからは、大岩と小さな滝と釜と緑の苔が深山の渓の雰囲気を醸し出す。これぞ、奥秩父の谷と言ったような見事な景色である。1990mで右から水量の多い沢が入る。この沢は東の方から下っている。ここが、事前に考えておいた詰めの開始ポイントである。



苔のきれいな岩と静かな流れ
1910m付近 緩やかな段々ナメ滝 滝の少ないこの沢では貴重

1940m付近の二俣 本流は右俣 水も多い コメツガの林が美しい






















この沢唯一の滝らしい滝 1m、4mの二段滝 この前で昼ご飯にする

1m、4mの二段滝を右手から見る




















緑の苔が付いた岩の間をきれいな水が流れる 両岸の林も見事だ
1m、4mの二段滝を過ぎると沢は奥秩父の雰囲気になる

1990mの二俣 本流は左、右が支沢 ここから詰めに入る


 1990m支流出合のすぐ右手に獣道がある。ここから荒川本流左岸へ上がり、林道を目指す。1990mに出合う顕著な支流の右手(南)にもう一つ小さな流れがある。地形図で見るとわずかな窪になっている。この窪に沿ってコメツガの林の中を登る。ヤブは無く傾斜が緩いので比較的歩きやすい。とはいえ最後の登りなので、なかなかつらい。2030m付近まで上がると、右手に車の走る姿が見えた。ここから右手、南に方向を変えて林道を目指す。少しの登りで車道に出た。林道が直角に曲がる近くだった。
 この林道を下れば、スタート地点の駐車場までは遠くない。




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