大白沢 平ヶ岳只見川
2015.08.15~16

大橋、山﨑、高橋(ラバーソール)
只見川を渡る 「行きは良い良い最後は辛い」














参考情報
「その空の下で。。。」20071067日 只見川大白沢シロウ沢ワカゴイ沢http://page.freett.com/sawanobori3/page027.htm
「その空の下で。。。」201291416日 只見川 大白沢 大ハゲ沢→キノクラ沢下降
http://page.freett.com/sawanobori6/page051.htm
大白沢・アサユウ沢(2009/09/19-22)
https://www.youtube.com/watch?v=H7E3keq7_X8


コースタイム
8月15
砂子平12:33-大白沢入渓13:29-右岸支流出合・テン場14:20
8月16
テン場発7:19-ゴルジュ7:49-ゴルジュ先左岸支流出合8:3048-東大タツボ沢出合9:23-東大タツボ沢出合先左岸支流出合9:4010:09-(下降)-テン場11:3512:08-砂子平13:30


ルート図





 平ヶ岳に源頭がある只見川大白沢の遡行を計画した。とは言っても、釣りと宴会を目的にした、だらーっとした渓(たに)遊びだ。
 砂子平から籠型の渡しで只見川を越えて、しばらく大白沢の右岸の踏み跡を辿った後に入渓する。魚止沢出合の少し手前にタープを張り、次の日は大白沢の上流を散策して引き返すという、何というか遡行とは言えないような遡行である。こんなわがままな計画にもかかわらず、大橋さんと山﨑さんが参加してくれた。ありがたい。

 大橋さん、山﨑さんとも10年近く前から、一緒に沢を歩くようになった仲間だ。二人とも、栃木県鹿沼市に本拠があるウェクラ(ウェルネスクライマーズ)の立役者である。二人とは、昨年8月の鬼怒川コザ池沢以来、一年ぶりの再開だ。その前は、割引沢三嵓沢(わりめきさわみくらさわ)、笹ノ沢二ノ沢など、私が体調を崩してからたびたびお世話になっている。最近は常に沢を歩ける状態ではないが、私の体調に合わせてお付き合いを頂いているありがたい存在である。都度、文字通り生きる希望とエネルギーをもらっている。

8月15日 砂子平からテン場
 大白沢は、桧枝岐村から燧ヶ岳、平ヶ岳のピークを順に仰いで国道352号線を走り、国道沿いの砂子平に車を停めて遡行を開始する。

 道路から西に見える白い山荘の脇を入ると踏み跡がある。踏み跡に沿って歩くと10分ほどで只見川に出る。ここは、大白沢のほぼ合流地点である。只見川右岸を100mほど遡れば、籠型の渡しがある。これ幸いに、一人ずつ載って対岸へ向かった。だが、これが意外と体力を使う。川幅の半ば辺りまでは勢いで進むが、その先はロープを力いっぱい手繰り寄せなければならない。これが、想像以上の苦役で驚いた。山﨑さんはそこで手にマメを作ってしまったという。その日の労力の大半はここで費やされた。渡れるときは本流を徒渉した方が楽だ。帰路には、籠型の渡しの下流を徒渉した。
 大白沢右岸の踏み跡をたどり、踏み跡が大白沢に近づいた地点から入渓した。ここは、大白沢出合から600mほどの位置だろうと思う。沢の右岸へ降りると、大きなブナの倒木がある。ここで、大橋さんは早速竿を出した。まずは、当たりを確認するつもりだろうとこちらは休息していると、待つ時間もなく釣り上げた。さらに竿を振ると続けて二匹目がかかる。どちらも25cmほどの美しい山女魚だった。さすがにそれ以上は上がらず、腰を上げて先へ進む。
 
さて、今日の泊り場はどこにしようか。どこと決めてある訳でもなく、どこでも良い訳だが、きれいな水の採れる支流の近くにしようと考えた。ピーク1224m南を源頭とする右岸支流出合いに取ることにして、大白沢の広いゴーロを右に左に渉り時々岩床の突き出しを越える。ときに小さな滝や釜があるが大方はゴーロ歩きである。
 左岸から二つ小さな支流を迎えると、いよいよ目的の右岸支流の出合いとなる。まだ二時半を少し回ったところだ。出合い近くの段丘にテン場を探したが適地はなく、大白沢の対岸を探すと段丘に格好の泊り場があった。ブナの大木が並ぶ平地である。さいわい河原にも降りやすく、カマドの位置もすぐに決まる。ブナの葉の重なるふかふかの地面に小さなタープを設えてかまどを造る。当然、大白沢の出合からさほど離れていないこの辺りに泊まる者は無く、薪もあっという間に集まった。

 カマドに薪とほだを重ね、米を研ぎ、大橋さんは竿を持って上流へ向かい、山﨑さんは何やらナスを料理し始める。泊りの準備を万端整え四時には何もすることが無くなった。私は、所在なく水の流れや対岸のブナの緑と枝の張り具合を眺めている。水は絶えず音をさせて流れ、空は白い小さな雲を浮かべている。
 30分ほどで大橋さんが上流から戻る。山女魚よりもやや小ぶりの岩魚を下げてきた。これで人数分の三匹になった。手際よくさばき竹に刺して、先ほど点けた焚き火の周りに並べた。早速ビールで祝杯を挙げる。しばらく流れで冷やしていたはずだったが、思いのほか冷えが悪い。源流付近は、つい最近まで雪渓が残っていたと思うが、この夏は暑い日が続いた。やむを得ないのかも知れない。
 山﨑さんのナス料理が出てきた。ナスの煮びたし。こんなところでナスが喰えるとは思わなかった。大橋さんは、ビーフジャーキーを出し、生のキュウリと味噌を配った。山の中に入ると野菜の旨さが際立つのはなぜだろう。重い野菜を担ぐ気持ちのない私は、サラミソーセージと「秘伝」のちりめん山椒の佃煮を振る舞った。夏は、食べるものを選ぶのに困る。遠い道中、生ものは痛む恐れがあるからだ。できれば、魚の干物や肉を焼いて食べたいものだと思うが、それはかなわない。

 焚き火の魚は、口元から滴るものが無くなれば焼き上がりだという。岩魚を塩の付いた皮ごとかじると沢の香りが口の中に広がる。しっかりした歯ごたえのある白い肉だ。たあいない会話を交わす間に、沢筋にも対岸が見えないほど闇が降りてきた。風邪気味の大橋さんは七時半にタープの下へ、八時半には山﨑さんが寝床に入る。
 焚き火の前に一人になった私は、ただぼんやり焚き火の炎をみて過ごす。何も考えていない。気が付けば、両岸から迫るブナの枝葉の間に、こぼれるように星が瞬いている。見たこともないほどの数だ。こういう時は、星座の名を覚えていない自分を悔やむ。ワインを呑み揺れる炎を見つめ、途切れない沢の音を聴いた。




砂子平 国道西側の白い家の脇を通る踏み跡に入る ブナ林の踏み跡を丹念にたどって只見川に出る

只見川を渡りさらに踏み跡を辿って大白沢へ入渓 早速竿を出す


広い河原を歩く 水が綺麗だ
ゴーロを右へ行ったり左へ行ったり


小さな滝が現れたり
平水ならば徒渉の難しいところはない

ブナの間に今夜の天幕


テン場の先で、岩魚が一匹釣れた
早速魚をさばいて夕食の準備

山女魚と岩魚の塩焼きを準備 火の通るのを時間をかけて待つ





















七時半ともなると沢はすっかり闇に包まれる 準備した薪は、まだまだ豊富にある



8月16日 テン場から東大タツボ沢付近
 テン場から魚止沢出合まではすぐだ。魚止沢は、思いのほか水が少ないので見逃してしまうかもしれない。総じて支流の出合いは水が少なく気づきにくい。大白沢は、名前の通り両岸から突き出す岩が白い。ときに白い岩が遡行者を遮るが、どこも容易に越えられる。
 魚止沢出合いを過ぎ沢が右に曲がると100mほどの白岩の美しいゴルジュになる。ここは右岸にルートがある。要所にトラロープが下がっているので困難な所はない。ただ、ゴルジュ出口の6m滝の登りは慎重にいきたい。われわれは左の水流沿いを上がったが後続には念のためロープを出した。ここは、水が多い場合には少し難しくなるだろう。
 ゴルジュを抜けると左岸から支流が入る。この支流の上流には、壮大なスラブ滝が遠望できる。谷川連峰の沢を思い起こさせる。このスラブの間を、天空から水が降るように落ちているのが見える。この支流は、台倉山(1695)の南東尾根に沿っている。この壮大なスラブ滝が登れれば、台倉山へ出ることができるだろう。台倉沢とでも命名したくなるような沢である。いつか遡行してみたいと思わせる魅力的な支流であった。
 ゴルジュの先には、ときおり広い釜を従えた小さな滝が現れて心を和ませてくれる。白い岩の滝は文句なく美しい。地形図を見ると、東大タツボ沢出合の先に不動滝の記載がある。ここまで行って引き返そうと思っていた。地形図に滝のマークがあるのだから、どんなに立派な滝なのだろうか。そう期待して東大タツボ沢を目指した。だが、これだろうとふんだ東大タツボ沢出合は思いのほか貧弱で、不動滝も見当たらなかった。現在地の判断が違うのだろうか、みんなで地形図をにらみ検討したが、間違いがない。不動滝の記載位置が違っているのだろうか。ちょっと残念な思いを抱いて引き返すことにした。
 われわれの到達地点は、東大タツボ沢出合の先350m、左岸の支流出合までである。



右岸の岩をへつり前進
大方はゴーロを歩く


魚止沢出合を過ぎると白岩のゴルジュ
右岸の岩を登る 残置ロープがある 釜は深い


白岩を上がる山﨑さん大橋さん
両岸迫るゴルジュ 100mぐらい続く


白い岩を降りる山﨑さん
ゴルジュの速い流れ

ゴルジュの出口が見えてきた


右岸をへつればゴルジュは終わる
ゴルジュ出口の6m滝 左の流れを登った


ゴルジュ上の左岸支流 上部に大きなスラブ帯 一度遡行してみたい
一番奥のピークが台倉山の稜線ではないか


上段の小滝 岩が白い
広い釜を持った小滝


東大タツボ沢出合前の清流
こんな滝もある 心いやされる



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