荒川1 奥秩父笛吹川
2015.07.12

高橋(ラバーソール)
九輪草が咲いていた アコウ沢出合い付近










遡行図



参考情報
「沢の風と空」 荒川2 荒川3 御室川左俣

コースタイム
桜沢橋10:27-荒川桜沢出合10:52-8m滝11:20-一堰堤上11:23-アコウ沢出合11:38-二堰堤上12:4913:001790m二俣-県道14:2514:32-桜沢橋15:08 (ゆっくり歩いています)

ルート図





 甲斐の国師ヶ岳を源頭とする荒川の源流を歩いた。この荒川源流は、ウェブのページには、全くその姿を現さない幻の沢である。現在は、長い沢を歩く体力がないため、散歩のようにして沢を短く区切って歩いている。今回歩いたのは、桜沢出合から御室川出合までの1.4kmである。荒川はこの区間に限らず、探索する価値のある河川だと感じている。他の箇所でも、十分に遡行価値のある渓を抱えていると想像している。それは、地形図を参考にすれば分かる。
 現在のウェブページを検索する限りにおいては、支流の伝丈沢の記録が少しあるだけで、荒川本流の遡行記録は見当たらない。日本登山大系を開いてみても、荒川の記録は残されていない。荒川は釣りの対象とはなっても、遡行の対象にはなってこなかったのだろう。そういう意味で、ここに記す記録は、この区間の初の遡行記録となるだろう。

 甲斐荒川は、圧倒的なナメと釜の渓であった。この渓がどこにも紹介されずに残されてきたことが、まるで信じられないような沢であった。昨年、荒川の西を流れる伝丈沢を歩いた時に予感はしていたが、これほどの収穫があるとは思っても見なかった。
 桜沢出合から御室川出合の間には、二基の大きな堰堤がある。いつ施設されたのだろうか、すでに渓に溶け込んでいるような気配がある。下から、一堰堤、二堰堤としよう。この一堰堤の下にスラブの滝が現れると二堰堤まで、息も切らさずにナメと釜の連続になる。おそらく、様々な美しい渓を歩いてきた者にとっても、そう経験できない唖然とするような美しさが、そこに展開される。今、ここに記録するのもためらうような美しさである。この渓を誰にも知らさずに、自分の秘密として取って置きたい。そう感じるような渓であった。

 桜沢を跨ぐ林道の橋の手前、路肩に車を停めた。この橋は、桜沢橋というようだ。すぐに、アブが何匹も寄ってくる。アブに刺されると腫れやすい体質なので、困ったなと思った。落ち着いて沢の支度もできないので、車の中で沢靴とスパッツを付けて車の外に飛び出す。だが、思っていたよりは、アブも寄ってこずハーネスを付けて出発した。沢の中はどうだろうかと心配したが、行動している間はアブは寄ってこない。休憩すると寄ってくるが、困るほどではなかったので安心した。
 林道の下に見える三基の堰堤を回避してから、傾斜の緩い箇所を選んで桜沢へ降りる。シラビソの自然林は倒木や苔の付いた石があって足元が悪い。釣り人には知られた踏み跡があるのかもしれないが、分からなかった。桜沢は、水量は多くない。右岸にかすかな踏み跡が続いているので、その踏み跡を辿って荒川の出合まで下る。通過困難な所はない。
 金峰山の南面を流れる荒川は、花崗岩の沢である。伝丈沢の時もその特徴を紹介したが、渓全体が花崗岩によって造られている。水に触れた岩は、茶色の苔を付け赤っぽく見えるが、ゴーロの乾いた岩や石は白く、露岩のスラブの乾いた箇所はどこも白く見える。写真を撮影すると、ハレーションを起こして困るほどである。茶色の苔が付いた岩はラバーソールでは少し滑る。どちらかと言えば、フェルトソールの方が良いだろう。
 一堰堤と二堰堤の間のハイライトの景観は、スラブのナメと釜の連続であるが、ナメはすべて傾斜を持っているので、ナメ滝と言った方がよいかもしれない。岩の上を流れが静かに滑るナメではなく、勢いのある水量がもんどりうって落ちるナメ滝である。水量が多いためだろうどの滝も小さいながら豪快である。ただ、行き詰まるような滝はなく、左右から簡単に巻くことができる。どの滝にも小さな釜があるが深くない。そのためだろうか、釜の色は濃くなく、透明な水に白砂の底が見えるような釜である。こんなスラブのナメ滝と釜が、一堰堤と二堰堤の間の500mに渡って感嘆の内に続く。
 桜沢出合から一堰堤、二堰堤から御室川出合までの間は、基本的に花崗岩のゴーロであるが、ゴロタの滝や清流が現れて退屈しない。両岸や中洲の景観も見通しがきいて美しい。流れに足を入れると、まだかなり冷たい。一堰堤手前の8m滝の左岸には固定ロープがあった。釣り人のものだろう。かすかな踏み跡を辿れば、一堰堤も巻くことができる。二堰堤は、右岸の筋をたどれば、簡単に越せる。両堰堤の幅広のスダレ状滝もそれなりに楽しむことができる。
 今回歩いた荒川の渓は、初級の沢と言ってよいだろう。難しい箇所はなく、渓を歩いているものならば、まず困るところが無い。沢登りを滝の登攀と考える人にとっては、物足りないだろう。
 御室川出合には、水晶峠へ向かう登山道がある。この登山道を逆に歩き、急登をこなしてトロッコ道へ出ると水平な道が北東へ伸びる。最後に県道を目指して、標高差50mを息を切らせて登ると、ひょっこり県道わきの駐車広場へ出る。ここには6台ほどの車が止められる。ここから、車を停めてある桜沢橋までは、30分ほどの道のりである。

桜沢下降
桜沢左岸を下がる。足元悪い。 出合の桜沢


桜沢出合~一堰堤

桜沢出合付近の荒川本流
花崗岩のゴーロが続く 思いのほか水量が多い


豪快な8m滝 水量が多い
何やら大きな滝が見えてくる


一堰堤を左岸から高巻く
8m滝上のナメがきれいだ


一堰堤から二堰堤
一堰堤の上 絶好のテン場 同じようなゴーロが現れるがこの先でナメ滝が始まる


アコウ沢の出合い
アコウ沢には大きな堰堤が見える

スラブの岩床が現れるとナメ滝の世界へ


岩にも同様の番号が この先にも続いてあった
こんな切り付けが 何のためだろう


緩やかな小滝 ひょんぐりを打っている
ここから始まるナメ滝と釜の連続


大釜を持った二段の小滝 水がきれい
水底が見えるような澄んだ水


二段目の滝には豪快に水が踊る
ナメがまだまだ続く 5mほどの大き目の滝が見えてくる


5m滝 もんどりうって水が落ちる
左岸を上がる 水量が多いので滝の勢いがすごい


緑の苔の先に小滝
圧倒的な躍動感を見せるナメとナメ滝


大き目の滝が見えてきた ナメは続く
ひょんぐりの滝5m 沢床に水が跳ね返る


5mひょんぐり滝の高巻きから
深い釜では、水の色がわずかに濃くなる


トイ状のナメ滝も現れる
二堰堤の手前の滝 ここでようやく連瀑が終わる

二堰堤 スダレ状に落ちる滝 右岸を上がって巻いた


二堰堤から御室川出合

ゴロタの滝3m
こんなゴーロが続く ぱったりと連瀑は現れない



ときどき感嘆する景色が
二俣 左が御室川、右が荒川本流

御室川出合から県道へ

トロッコのレールが残っている ここから県道へ上がる
急登をこなしてトロッコ道を歩く



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