ウェルネス・クライマーズ短信 094
大戸沢岳 南会津
2015/02/11
大橋
山ア

13:57 320分で山頂 いつもの所要時間でした
















コ−スタイム 
大戸沢スノ−シェッド08:35−1386mピ−ク10:35〜45−1553mピ−ク11:25−1850mピ−ク12:35〜52−大戸沢岳13:57〜14:25−1553mピ−ク14:50〜15:20−大戸沢スノ−シェッド15:55

ルート図




 高速道路を利用すれば、お好みのゲレンデも、日帰りできる位置にある当地。
 東北道路沿線には数限りない白い峰々を並べ、そこに人を運ぶリフトが山頂に向かう。山肌を無残にも切り開く開発の著しい時期も、遠く過去のものになりつつある今。そんな文明の利器を利用せず、自分の足で一歩一歩、気の遠くなる動作を続け、山頂を目指す登山が好きだ。
 「南会津桧枝岐村」通いも、十年は軽く越したことだろうか。雪の無い当地からわずか二時間と少しで、全山雪に覆われた聖地にたつことができる。それも高速道路をまったく利用しないでの話だ。今年の豪雪はこの地も同じで、想像をはるかに超えた雪が降り積もる。向かう道路は雪のトンネルと化し、民家などはその陰にすっぽり隠れ、人影も見えない。
 しばらく天候の影響もあり、登り応えのある山から遠ざかっていたが、やっとビックチャンスが回ってきた。出来れば多くの仲間とトライしたかったが、それぞれの事情があり大橋さんと二人「大戸沢岳」に向かった。
 
401号線伊南川の左岸へ渡る黒瀬橋からのぞむ南会津の秀峰達は、うすいピンク色に輝いていた。大戸沢スノ−シェッド先のいつものスペ−スは、県外ナンバー三台で埋め尽くされすでに出発していた。8時35分路肩に上がり、山頂を目指す小さな一歩が始まった。先導者はスノ−シュ−のようだ。トレ−スは比較的良いラインを描いているが、登攀力が強いため直線的に高度を上げている。踏み跡もやや段差があり、スリップに苦労しながらどうにか取り付きの急斜面をこなした。

 1200mを超えると右前方はるか彼方に、三岩岳を象徴するゴツゴツの岩峰が雪で覆われている。そのゆるい稜線に雪庇を見せ、直角近く落ち込む渓谷には、何者も寄せ付けない雄姿を感じざるを得ない。1386mで立ち休みする。ゆっくり歩き休憩を少なくして高度を上げる作戦をたてる。諦めないで歩を進めれば、何時か山頂に立てる当然の理屈を引っさげて臨む。
 トレ−スは1553mを巻くようにきられている。桑場小沢を右下に見ながら、きつい傾斜に滑落と雪崩を予感して、つらいが速度をワンランクあげて通過した。小ピ−ク1553mをこの山の第二ステップと考えている。ここまでを無難にこなせれば先が見えてくる。あとは1850mの折れたダケカンバまで「忍」の一字。登山者は自然と無口となり、小さな一歩が大きな一歩になることを、頭に描けるようになってくる。


10:15
無風、薄曇りの空模様のなか、ピーク1386の手前を行く。 出発して1時間40分が経過した。

10:16 1386m手前から三岩岳
     透き通るような一枚バ−ン

10:40
1386峰先の鞍部から見える大戸沢岳。
絶好の天候なので今日は絶対に行くぞ!
闘志が湧いてきた。

11:50 細尾根を避け、アップダウンの少ない
先行者のトレース。
経験がものをいうのだろう。
12:05
標高は1700を過ぎただろうか。気がつけば青空が
一面に広がっていた。大戸沢岳を正面に見て更に
闘志が湧いてきた。

12:32 1820m付近           
     折れたダテカンバのある小ピ−ク手前

12:56 1900mを超えた地点
風雪に耐え成長したダケカンバが立つ
見事な出で立ちで迎えてくれた


13:41 東に会駒の東尾根が見える
     間の沢が上大戸沢、、ガスにまかれ
     危ない思いをしたことがあった

1341 眼下右方面が奥鬼怒の山々
     今年こそ赤岩沢を遡行したい



 無の境地にいた登山者に恐怖が襲う。山を分断するような音が山中を駆け巡った。太いブナの木が何百本も立てに裂かれ、悲鳴にも似たその正体は「雪崩」だった。おそらく中ノ沢に入る急斜面からの雪崩であろう。大地は時を選ばず、人を選ばず自然体で歴史を刻む。
 12351850mの小台地で一本立てる。コメツガの大樹からこぼれ陽が登山者をやさしく包む。ショウガ湯とサプリメント、そして残りのウグイスパンで腹を満たした。出発の時にたてた予想タイムが見えてきた。ここから山頂まで辛い登りが待っている。それも二段が構えで、登山者に試練を与える。それを乗り越えた者だけに山頂からの絶景がご褒美として与えられる。
 白きたおやかな峰々が織りなす絵画。北には越後駒ヶ岳を中心に、中ノ岳、荒沢岳が確認できる。そして西には尾瀬の山々もそれに負けじと鉾先を天に向けていた。山頂稜線から三岩岳、そして遠く会津朝日岳まで伸びる稜線が、優しいうねりを見せてくれる。
 先ほどの雪崩から、どうしても沢に入り込む気持ちが萎え、往路をもどり、1386から期待出来るであろう「北面」にエントリーすることに計画を見直した。
 スキ−ブ−ツのバックルを丁重にしめ、高鳴る胸の鼓動を気ずかれないようにアウタ−で隠し,滑降の準備をする。無木立の一枚のビックバ−ンは二人のために、無傷で残してくれている。1850mまでは息をのむようね急斜面。そのスペ−スは白ウサギのような透き通るような美肌に、羽毛を思わせる優しい底無しのパウダーだった。細尾根の段差のある斜面を雪質を選びながら、白いキャンパスに自由な弧を描き続けた。
 比較的ゆっくりした休憩をとり、満を持して1386mから「北面」の、そこなしパウダ−に全身全霊をそそぎ込む。これ以上ない緊張感にもお互い素知ら顔で「スタ−トライン」に立った。見下ろす斜面の入口はとてつもない斜度。いつもの様に優しくエントリーした。舞い上がる雪煙と、そのスキ−ヤ−を追うようにして、表層の雪が後を追う。足底はまさに、とりとめのない底無しの深雪だ。これはまさしく山スキ−冥利に尽きる。いつもより距離を伸ばして滑り、山ふところに沈む、このブナ林帯の共演に幕を閉じた。
                                山ア



13:45
ここまで来れば頂上はもう直ぐだ。
 13:55 ヤッター!思わず歓声をあげる。
今年もチャンスをものにして山頂を踏むことができた。
四捨五入すると二人共70歳、お互いを褒めたたえた。

1359 眩い斜面にただうっとりするだけ


14:00飛行機雲の下に燧ヶ岳が見えた。展望を楽しんだ後は、褒美の激パウを心底楽しむことができた。


14:31 ニュ-トンの法則 力まず板の真ん中に乗るだけ




















14:33 Oさんも気持ちよく落下してきた 縦長の高速ターンが素晴らしい



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