弥七沢 丹沢山塊玄倉川小川谷
2014.11.03
楢原さん、高橋(ラバーソール)

明るい仲ノ沢林道を弥七沢の出合まで歩く









遡行図




参考情報
「ぜいぜいの山へ行こう」2009年5月31日 丹沢・弥七沢
 http://zeizei.fc2web.com/yasitizawa090531.htm

コースタイム
仲ノ沢林道ゲート9:27−弥七沢出合9:49〜55−7mヒョングリの滝10:16〜11:01−左俣出合12:08−奥の二俣(650m)13:00−仲ノ俣乗越14:35−弥七沢ノ頭15:35−穴ノ平橋16:50
   *ゆっくり歩いています。
   *ラバーソールのフリクションは、良好でした。特に、650m奥の二俣の先にあるスラブ小滝の登りでは、
    フェルトソールよりラバーソールが有利。



 今度も最後まで渋い天気予報に振り回された。玄倉川の広い河原にベースを張って、二日ほどの西丹沢の散歩をするはずだったが、急きょ日帰りの遡行になった。とはいっても、日帰りの遡行ができただけで満足すべきだった。天気予報の変転で、ようやく掴んだ晴天の遡行なのだから。

 玄倉林道に車を置いて、仲ノ沢林道を歩き始めたとき、天を仰ぐと雲ひとつ無い秋空だった。秋の空気も、この頃の季節としては申し分なく暖かい。やや強く吹くはずだった風も穏やかだ。紅葉が始まった対岸の山肌を楽しみながら仲ノ沢林道を歩く。すでに大分高くなった日差しが樹木の隙間から林道をまぶしく照らしていた。楢原さんも私も自然に心が軽くなるのだった。

 弥七沢は、2007年の11月に歩いている。まだ、沢の同好会へ入ったばかりだったが、詰めのザレ登りの難しさに泣いた記憶が鮮明に残っている。今では、一緒に歩いたメンバーの記憶は判然としない。この間の歳月の流れを感じないわけにはいかない。そのときは、確か弥七沢を遡行して、同じ沢を下降したと思っていたら、どうやらそうではなく、弥七沢の右岸尾根を降りたようだ。「さわね」の遡行記録を見るとルートの様子が仔細に分かる。
 今回の遡行の核心は、詰めと下山にあると踏んで地形図を検討した。2007年は、中俣を遡行して「上ったところは860m付近」とあるので、詰めは中俣700mの二俣を右へ入ったものと思われる。この二俣は、地形図によれば、左へ入ることによってより傾斜の緩やかなルートになると思われる。このルートの到達点は835mの仲ノ俣乗越で、その標高もかなり低い。体力消耗が最小限に抑えられるルートと判断した。地形図で詰めのルートを検討して行ったおかげで、前回味わったきわどいザレ登りは回避できた。だが、急な詰めにはけっこう体力を消耗した。
 下山ルートは、2007年のように弥七沢の右岸尾根を下るのが距離的には近いが、途中複雑な尾根分岐がある。このルートは難しいと判断して、逆方向に尾根を辿り、弥七沢ノ頭から左岸尾根を下ることにした。こちらのルートで判断の難しいのは、弥七沢ノ頭を経由して弥七沢左岸尾根に下るルートである。ただ、弥七沢ノ頭からの下りに、はっきりした尾根が無いため、うまく目的の左岸尾根に入れるかどうか、多少の不安があった。

ルート図

*沢名は、「丹沢の谷110ルート」山と渓谷社を参考にした。西丹沢頂稜河川土地名称図では、本ルート図の中俣は左俣、左俣は無名になっている。


 弥七沢は、そのほとんどが鋭いV字谷の底を歩くことになる。滝は3〜7mで、そう難しい滝はない。ただひとつ、標高500m付近にある難しそうなヒョングリの滝7mは、右岸から巻いた。
 下流部はかなりの水量だが、中流部で水量が減り、右俣と中俣の分かれる650mの奥の二俣の先で水は涸れる。奥の二俣までの沢の傾斜はゆるやかで歩きやすい。この二俣から先の谷は狭く傾斜も強いので、ルンゼ登りをしているような様相になる。小さな滝が続き、登攀の技術が試される。その先稜線までの詰めのルート選択によっては、きわどいザレを登ることになる。先の検討のお陰で、今回の詰めルートは、特に危険と感じるような箇所はなかった。ただ、稜線直前では急なザレ登りになったので、ブッシュを目指して左岸尾根に上がった。


左俣出合まで
 F1は出合の林道から見える。スタンスが少し細かいのと最初の滝なので緊張するが、ロープを出すまでもない。
 F2ヒョングリの滝は、右から登る者もあるようだが、上部が難しそうに見える。ここは、右岸の弱点を縫って高巻きをした。低い位置に、トラバース用の固定した針金が出てくるが、さらに少し上がって枝尾根へ上がる。右岸をトラバースして沢へ降りる踏み跡が続いているが、途中で支点をとって懸垂下降した。F2ヒョングリの滝の上には、3m、2mのスラブ滝が続く。3m滝の下へ降りるとここを上がるのに苦労するので、この滝の上へ降りた。2mスラブ滝は何とか上がれる。
 F3・6m滝は、かなり立っている滝で遠目には難しそうに見えるが、水流左へ近づいてみるとホールドが豊富であることが分かる。550mで右から枝沢が入ると沢は狭隘部を迎え、その先に緩い6m滝がある。
 標高580m付近で沢が右へ曲がる手前できれいな6mスラブ滝となる。ここは、手掛かりがないように見えるが、水流左、クラックの見える側に絶好のスタンスが探せる。この上で2mCS滝を越え沢が右へ曲がると、右岸の壁から湧き水が噴き出している。この先すぐに、支沢が左から小さなトイ状滝になって入るが、ここは左俣ではない。左俣はこのすぐ先で、水の涸れたスラブが見えるところである。出合にケルンがある。


F1を登る楢原さん
5mF1 水流左が登れる 最初の滝なので緊張


4m滝 簡単な滝なのに何故か梯子が
F2ヒョングリの滝7m 右の壁を登る者もあるようだが右岸を巻いた

高巻き途中から 上流に3m滝、2m滝が続く 懸垂で3m滝と2m滝の間に降りた


F3を登る ホールドはある 落ち口だけちょっと注意
F3・6m滝 水流左にホールド豊富

F3付近からV字谷が続く


狭隘部 この先で沢が右へ曲がる ゆるい6m滝がある
さらにV字谷が続く


同滝を上がる高橋 難しいところはない
6mスラブ滝 左の壁を上がる 見た目より易しい


右岸から吹き出す湧き水
590m付近で出合う左俣 スラブの滝が見える



左俣出合から仲ノ俣乗越まで
 左俣出合の先に流木の掛かる5m滝がある。垂直な滝で遠目には登れないように見えるが、ここは右の凹角を上がり落ち口へ向かえば容易だ。ホールドがしっかりある。この先の3m滝、3m滝、4mトイ状滝は、楽しく登ることができる。右から6mほどの滝が落ちているのは、奥の二俣の手前だ。この右ルートは、ほとんど歩かれていないようだが、弥七沢の左岸尾根に詰め上がるので、下山路を考えたら好ルートの可能性がある。
 標高650mの奥の二俣は、すぐ先だ。ゴルジュの中に二俣が分かれている。右俣には水流がわずかにあるが、中俣は水が涸れる。中俣に入ると2〜3mのスラブ小滝が続き、思いのほか難しい登りになる。楢原さんに滑る足を押さえてもらい何とか登り、次に後続を引き上げるという登りが少し続く。独りのときは苦戦しそうだ。
 700m付近で正面に5mほどの涸れ滝が現れる。ここは二俣になっている。2007年のときは、正面の5m滝を越えて右ルートへ入ったと思うが、今日はより詰めが易しいと考えられる左ルートへ入る。仲ノ俣乗越へ向かうルートだ。
 だが、このルートもそう甘くはない。急なルンゼを休み休み上がらなければならなかった。頭上に稜線が見えてからも、なかなか高度が稼げない。最後まで窪を詰めようとしたが、稜線手前の急なザレに阻まれた。ブッシュを求めて右手の枝尾根に上がり最後を詰めた。登り詰めた稜線は840mだった。



奥の二俣の手前 V字谷は続く
5m滝を登る 見たよりは簡単に上がれる



ひとつ目の3m滝 楽しく登る
4mトイ状滝を登る


650mの二俣を左へ入るとスラブ小滝が続き、その先はこんな景色になる
急なルンゼを振り返る 苦しい登り

稜線は見えているのだが なかなか進まない



下山
 下山は、P956〜弥七沢ノ頭を廻り、弥七沢左岸尾根を下った。P956は、撫ノ平と呼ばれるようだ。平らな尾根にブナ林が広がり美しい。楓の紅葉もちらほら見える。弥七沢ノ頭には、看板があるとの情報を見たが、ピークと思われる位置には、それらしいものは見られなかった。探せなかった。何か少し不安だったが、そこから南東方向へ下ることにした。はっきりした尾根があるわけではないので、見込みの方角が南東へ向かっていることを都度確認をしながら、ルートを外れないようにした。幸いこのルートにはピンクのテープが下がっているので、これを追えば目的の尾根に入ることができる。
 弥七沢左岸尾根に入ったのは、もう4時近かったのでそれからの下山は、日暮れとの戦いになった。林の中では手元が暗くなり始めていた。二つ目の尾根分岐810mで東へ進路を取り、尾根沿いに730mまで下がる。そこから穴ノ平橋へ向かう方角へ軌道修正する。
 と、文章で書くと簡単だが、この辺は広い尾根なので、行き先を定めるのは容易でない。地形図も見えにくく、時刻が押していたので気持ちばかりが焦る。現在地を正確に捉えているとは思っていても、間違えているという不安がゼロではないので、日暮れを思うと気がきではない。このルートには、「作業道がある」との情報があったが、落ち葉と薄暗がりがそれを分かり難くしたのかも知れない。いずれ、踏み跡にもテープにも導かれず、地形図と高度計を頼りに穴ノ平橋を目指すほか無かった。ようやく日暮れ前に、眼下に林道が見えた時は嬉しかった。



さあ下山が始まる
P956 撫ノ平にブナの大木

撫ノ平  紅葉を初めている木々もある



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