田代沢 丹沢山塊玄倉川小菅沢
2014.10.12
楢原さん、高橋
(ラバーソール)

ひっそりと咲くイワシャジン(岩沙参)









遡行図  (下記)




参考情報
玄倉川水系 田代沢 [山行記録]ヤマレコ kamog 2012年6月2日
イガイガの丹沢放浪記 玄倉・田代沢 2013年5月12日

コースタイム
林道ゲート9:34−田代沢出合10:02−F1・7m10:08−F1・7m上11:16−10m滝12:03−石積堰堤12:27−二つ目の堰堤12:44−640m二俣12:59−右岸尾根700m13:15−小菅川本流14:28〜35−林道14:42−林道ゲート15:00
 *ラバーソールのフリクションがよく効く沢でした。小川谷廊下と同様。

ルート図




プロローグ
 SSC・清遊沢の会で両神山の金山沢右俣のナメをのんびり歩く予定だったが、天候が悪く中止になった。参加人数も五人と多く、今季最後の計画だったので何とか実施したいと考えた。だが、先週に続いてこの三連休の後半に台風が襲来するとの予報で、またしても泣く泣く中止にした。
 今年の山行の計画は、ことごとく中止の憂き目にあった。「天候のあやしいときは無理しない」という考えを貫いてきたので、その報いを受けたのかも知れない。6月の笹ノ沢二ノ沢と9月の石筵川を除いて、会で計画した予定は、ことごとく中止になった。指折り数えてみると、個人山行も含め6つの計画が中止になっている。他のところでも書いたが、今年はめずらしく不作の年だったことが分かる。

 会の山行を中止にしたものの、ポッカリと連休が空いてしまったので、日帰りでどこか行きたいと考えた。例によって突然の思いつきだったので、同行者はいない。だが、中止になった会のメンバーは、特別に予定変更していない限り、空いているだろう。という訳で、楢原さんだけには前日に声を掛けた。今度はうまい具合にピッタリと波長が合って一緒に行くことになった。
 とは言っても突然の計画だったので、沢の候補を急いで探さなければならない。「軽い沢の散歩」というような沢が無いだろうかと探してみると、玄倉の集落の東に流れる聞いたことのない沢があった。玄倉川の支流、小菅川のさらに支流の田代沢という沢だ。丹沢ではよく知られたお二人の先駆者が記事を載せていた。短い沢だがその前半部が変化に富んでいて面白そうだ。アプローチは短く、林道を下山すれば帰路も短い。ちょうど体力温存を図りたい自分にとっては、ピッタリだと思った。楢原さんには、「遡行というより沢の散歩」ということで了承を得たのだが・・・・。

田代沢の遡行
 田代沢は、きれいな沢だ。大きな滝と変化のある小さな滝が下流部に集中している。沢は流木などで汚れていない。沢はやや青みがかった岩と石でできており、この岩の美しさに特徴がある。いわゆる閃緑岩とは違うように見えたが、知識がないので良く分からない。岩を縫う水は、西丹沢の他の沢と同じように透明で澄んでいる。これまた美しい。丹沢はまだ紅葉が始まっていないために、樹木の緑がまだしっかり残っていた。もうすぐ秋の色に染まった落ち葉が、この優美な沢の滝や岩に降り落ちるのだろう。
 田代沢は初級者の沢だが、決して初心者の沢ではないので注意が必要である。大きな滝が二つ、その間に小難しい滝もあるので、初級者であっても気が抜けなし、なかなか興奮する。特に最初に現れる7mほどの滝・F1は、水流左を登れなければ大高巻きする他無いので、そのルート取りには時間を要する。我々は、このF1を越え沢へ戻るのに、およそ1時間を要した。沢の下降では四度ほどの懸垂下降を繰り返した。核心は、このF1といって良いだろう。
 地形図を検討の上、情報のない尾根と沢を下山したが、この下降もある意味核心であった。このルートの尾根は、思った以上に急峻で下降に苦労した。左手に見える沢にも堰堤が多数現れ、沢への下降をためらった。だが、急峻な尾根下降を避けるように降り立った右手の沢には、深いゴルジュと滝と堰堤が待ち構えていた。地形図には全く記載されていない堰堤が多数現れたのは、予想外であった。大きな堰堤と先の見えないゴルジュに挟まれた沢に降り立ったときには、地獄に落ちたような気分で、一瞬悲壮な下山を覚悟した。
 堰堤には、登降用のハシゴが取り付けられてあったので幸運だった。比較的新しい平成8年の施行だったのが良かったのかも知れない。銘板には「大豆畑沢」とあった。

遡行のポイント
<入渓>

 秦野峠林道が小菅沢を渡り玄倉集落の上でUカーブした先にゲートがある。この道路端に車二台ぐらいはとめられる。林道が小菅沢を渡る手前にも数台の車を置けるスペースが有る。
 ゲートから林道を歩いて10分強で、道路右手に丸い緑の標識がある。「終点から2.0km」とある。この20m先に、カーブミラーとカーブありの道路標識がある。この右手の斜面を降りた。沢へ降り切る手前に、小菅沢右岸に続く幅広の作業道がある。今は使われていないようだ。堰堤の工事用道路だったのではないか。
 この右岸道を上流方向へ歩いて行くと、じきに右手に大きな堰堤が見えて来る。作業道はこの堰堤の上で終わっている。このほぼ対岸に左岸から支流が入っているのが分かる。これが田代沢である。本当に田代沢なのかどうか不安だったのでこの支流に入ってみた。すぐに、大きめの7m滝が現れたので田代沢と確信した。



ゲートから10分少し歩くと現れる標識「終点から2km」 カーブミラーと道路標識の間から斜面を降りる

沢へ降り切る手前に立派な作業道跡が上流へ続く 小菅沢に大きな堰堤が現れる


<7mF1>
 7mF1は、水流左のバンドを上がれそうなので取り付いてみたが、岩が少し脆い。バンドが急な上に苔と土が付いていて、今ひとつ岩が信用できない。結局降りて、左岸を大高巻きをした。腕に自信のある向きは、ここを登るのだと思う。
 滝すぐ右手に高い窪があるが、先の見えない窪にハマることもないだろう。左岸の尾根に上がれる場所を探して出合方向へ戻る。出合近くの左岸の土ザレを上がり、左岸尾根に上がった。この尾根をたどると立派な作業道が現れる。作業道を少し登り、滝の位置を確かめるために左手に降りて沢を覗くが、F1はまだ先のようだ。
 作業道が尾根の右手を廻り再び尾根に上がる辺りに田代沢から上がる窪がある。その横には枝尾根が沢へ伸びている。この窪と枝尾根が、7mF1につながっていると判断して、枝尾根の先にある斜面を降りることにした。30mロープ懸垂4ピッチで沢へ降り立った。7mF1のすぐ上だった。



両岸が迫り上がり、きれいな小滝の先に7mF1が見えてくる。
田代沢出合 おとなしい感じ


7mF1の右にある窪 ここの高巻きはやめた
7mF1 端正な滝だ 左のバンドを試したが、結局大高巻きへ


四段滝の三段目3m 水流右を登る ホールドあり V級−
F1の上の四段滝 2m、1m、3m、2m

スダレ状3m滝を登る 4m滝 525m付近

標高530m付近で左が岩壁になる


<10m滝>
 標高530m付近、左手に岩壁が迫り出したところで、3m、4m、10mと三っつの滝が続く。4m滝は直登が難しいので、右手のCSのある岩窪を上がる。ここは、小さく巻けるところはないので、CSの左を腕力で上がる。少しだけ難しい。
 10m滝は、滝左の岩窪を上がり落ち口上へトラバースして高巻く。トラバースさえ注意すれば、高巻きとしては絶好のルートだ。


標高530m付近 3つの滝が続く 一つ目の滝3m


CSのある右の窪を強引に上がる V級
二つ目の滝4m 直登は難しいので右に隠れた窪を上がる

三つ目の滝10m 直登は難しい 滝左の窪から巻ける























10m滝上 560m付近 先に石積堰堤が見える
堰堤の上もきれいな流れが続き退屈しない


小滝が時々現れる
こんなところも


岩床を流れる水が碧い
コンクリート堰堤 右から越えた 地形図の堰堤はここ590m付近


<640m二俣から右岸尾根〜下山>
 標高640m二俣は、まだ水が豊富だ。左俣の水量が少し多いようにみえる。ここは、右岸尾根に上がれば、予定の下山ルートに近いので、左俣へ入ることにした。左俣は地形図にも堰堤が多く記されているが、その堰堤の連なるさらに左手の窪を林道方向へ上がろうと考えた。そうすれば容易に目的の尾根に達するはずだ。

 左俣へ入るとすぐ左手に作業道があった。この作業道は、どうやら林道方向へ上がるようなので、この踏み跡を辿ることにした。最初右手に堰堤を見て上がるが、やがて右手に涸れ沢を見て登るようになる。急斜面だが、しっかりした道なので助かる。15分ほどで右岸尾根に出た。尾根は、林道近くが平らに均された広場になっていた。
 広場の端から田代沢の右岸尾根を下る。ここは、ヤブもなく見通しのあるスッキリした尾根だ。ただ、このまま右岸尾根を下がると田代沢出合付近の急斜面で沢へ降りるのが難しいだろうと予測を付けた。標高660m付近から北西へ向かう枝尾根を下がり小菅沢本流へ降りるのが得策だと考えて、この尾根を降りた。だが、思いの外この尾根の下りがきつく、追われるように右手の沢へ降りることになってしまう。
 懸垂で降りた沢への下降地点が、大豆畑沢であった。ここは、上部に堰堤、下部に深い谷のゴルジュに挟まれた居心地の良くない場所だった。おそらく、ゴルジュの下には滝や堰堤が続くのではないか。そんな予感がした。その予感通り、ゴルジュの下部には、クライムダウンできない滝があり懸垂した。
 滝はまだ良いとしても、堰堤はどうやって降りるのだろうか。地形図に記載のない堰堤は、想定外であった。しかも、幾つも下流に連なっている。だが、幸いにも堰堤には取り付け梯子があり容易に降りられた。梯子がなければ、この堰堤の下降で苦労したのは必至だ。小菅沢本流の520m付近に降り立った。本流の上下にある大堰堤に挟まれた場所だった。
 本流から林道へは、地形図から判断して、上流へ少し遡り右岸の緩やかな斜面を上るのが良いと考えた。上流の堰堤の手前を右岸に上がり様子を見ると、林道へ上がる経路が見つかった。林道への到達地点は、標高545m付近だと思う。
 下山時に、単調な林道歩きを避けて尾根下山をしたつもりが、結構苦労した。ここは、単純に秦野峠林道をゲートまで戻ったほうが、楽で早いだろうと思う。3kmぐらいなので、一時間かからずにゲートへ戻れるはずだ。



遡行図と下山ルート



右岸尾根の広場 標高700m 右岸尾根を下り660mから北西の枝尾根を下がる


降りた沢の上には大きな堰堤 銘板には大豆畑沢とある
この堰堤の下にはゴルジュ 滝があるような雰囲気


うひゃ〜 梯子が付いてて良かった 堰堤をいくつも降りる
ゴルジュの下はやっぱり懸垂下降



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