ウェルネス・クライマーズ短信 081
柳沢川右俣遡行〜左俣下降 奥日光
2014/07/26~27
落合、黒川、山ア

1454 テン場脇の岸辺に咲くシロバナノヘビイチゴ















コースタイム遡行図
7月26日
西ノ湖バス停8:30−柳沢川入渓点10:10〜25−二俣11:50−10m滝下12:12〜35−二段15m13:20−18mスダレ滝上14:10〜20−テン場14:50泊
7月27日
テン場7:20−左俣出合9:35〜45−二俣10:10−赤岩沢分岐11:10−柳沢川林道湧水11:25〜11:35−西ノ湖バス停12:35


遡行図



7月26日 右俣遡行
 
一年ぶりに奥日光柳沢川を歩いた。住まいを同じくする同年代のお二人を誘ってだ。暫く梅雨が開けずにいたが、開けると同時に気温がグングン上昇し、熱中症で病院に運ばれる人が沢山出ているようだ。常日頃の軽い運動で、発汗作用に敏感な身体にしておくことが良いと聞いてはいるが。

 土日とあって赤沼駐車場は、ハイカ−、釣り人などの車で結構埋まっていた。ハイブリットバスで僅か20分と少しで、柳沢林道に通じる西ノ湖バス停で降りた。南会津から来られた、中年のベッピンさん達と二組の乗客であった。
 柳沢川の徒渉点近くの湧水脇で、沢支度を整え少しずつモ−ドを上げた。柳沢川の徒渉は、石を飛び飛び渡れる時もあるが、今日の水量は何回か通った中でも一番と思う。赤岩沢を右に見て再度徒渉左岸を歩くと、ゴ−ゴ−と水を落とす2m滝。茶褐色の岩盤を空気たっぷり抱え込み、白くはじける光を放ちながら滑る水。二つほど右から入る支沢を見送ると、沢幅全て飲み込む崩落地帯がある。今にも落ちそうな大石が、頭上100m位にゴロゴロしている。左岸を急ぎ足で通過し、沢が右に大きく回り込む手前で、クライムダウンした。
 ゴルジュ帯のスラブをヘツリ、倒木のかかる3m滝を左から超え、先の二俣1:1を右に入る。暫くナメが続き、思い思いに沢幅いっぱいを使い、快適に歩を進めた。1800mを過ぎたあたりから、10m、8mのナメ滝が続く。二つとも右から遡る。水量が多くかなり水をかぶるが、真夏の太陽を浴びる身体には、冷却効果を高めすこぶる気持ちがよい。1980辺りをテン場とするため、時間を気にする事は米粒ほどない。こんな遡行は我々初心者族にはこの上ない計画だ。
 通称黒岩の滝と言われる二段15m手前で、大休止した。なんの会話もなかったがそれでいて、それぞれの満足度を図ることは容易であった。その「黒岩の滝」、名を示すように上部の黒々とした岸壁を、被るように水を落とす上段5m滝。達人はその上段の滝を潜り抜け、左岸から小さく巻くようだが、そんな芸当は出来るはずがない。右岸のスラブを3m遡り踏み跡から、僅か10分足らずの根曲がり竹格闘劇で落ち口の4m上のスラブのナメに降りた。絶妙な巻きであったが、スラブ上での行動に不注意な面があったような印象を持った。
 ホッと胸を下ろしたのも束の間に、15mをゆうに超える「天女の滝」が目を見張る。その流れを表現することは愚人には難しい。「日光四十八滝を歩く」から引用すると。滝下から見上げると、まるで紺碧の空を背景に天女が空に舞い上がるかのように見えるとある。材木運搬道として以前活躍した、柳沢林道の終点部から望める滝はこの滝である。錫岳、2077峰を水源としての象徴の滝として、山と一つになり下流の人里に恩恵を与え続けている。
 沢幅が狭まり倒木に悩まされながらの遡行。右から何本かの枝沢が入ると、1900付近で1:1の沢を右へ送る、さらに小さな1m幅の流れになり、大きく右に回ると左岸が今日の宿になる。



8:52 柳沢林道より柳沢川

1027 赤岩沢分岐から入渓する ナメが暫く続く



1121 崩落が進み沢は完全に埋まる まだ落ち着かない

1046 3m滝右から



1218 10mを超えるナメ滝 時間を忘れるほどのひと時

1150 1705二俣を過ぎるとナメがどこまでも・・・


ナメ滝を登るYさん




















二段15m滝に立つKさん

1321 二段15m 右岸を3mほど上がり 踏み跡から滝上に小さく巻ける



1337 通称天女滝 上空に飛び立とうとする白い帯 柳沢林道終点から見える
 左岸を小さく巻ける
天女ノ滝上部 美しい


1411 天女滝上から 両毛国境に続く尾根が確認できた 左隅に中禅寺湖も見えた

1428 1900付近 右から枝沢が入るが左が本流


1900m付近のテン場





















奥山に涼求めむと沢に入らば滝つ瀬かすめ秋津飛び交う

滾つ瀬に里の大暑も打ち忘れ無心に登る大滝小滝

沢を詰め山懐に野営せば人訝るやさ牡鹿の声

野営地の木の間に夜空見仰ぐれば星座も分かたぬ満天の星

命綱と友の助けを頼りとし危うき崖を懸垂下降
                        Ku.



7月27日 左俣下降
 
沢泊のテン場は樹木の枝が被り、夜空の星の輝きを仰ぎ見ることは出来にくいが、昨夜は首の痛いほど楽しむ事ができた。

 白々と夜が明け、小鳥の囀りが聞こえる。パタパタとタ−プが風に揺れる。テン場を元の姿に戻し、南南西の2004鞍部にコンパスを合わせ出発した。コルはすぐに窪を見せ始め徐々に水の流れを誘導し、堆積した枝葉の隙間を縫うように、下へゆっくりと動き出す。1943の崖地でロ−プを出し懸垂した。合わさる枝沢から入る手もあるかもしれないが、次回試してみよう。
 奥の二俣までは急峻のV字であるが、ホ−ルドも確りありクライムダウンが可能である。奥の二俣から上流はナメ滝の連続で飽きることはない。時に蛇行するS字滝、水を被りながらのクライムダウンも、この時期ならではの楽しみの一つだ。二俣まで三回の懸垂をして安全を確保した。二俣少し手前の右岸テン場に、デポ品が所狭しと占有していた。名のある山岳会で在ろうはずはないが。
 右岸崩落地を過ぎると、10分足らずで左岸の荒れた斜面に出る。沢を遮るように流木がかかる。疲れが出るころであろう、無言で足を運ぶ。1580付近で右岸に上がり、赤岩沢出合いまで踏み跡を辿った。水量が多いと危険度も増し、エネルギ−消失も増すだろうが、その分滝も変容し一重も二重にも成長し、山の雄の存在感も大きく高める。
 挑む三人の遡行者も柔軟かつ華麗にとはいかないまでも、現在の持てる力を十二分に発揮して二日間の遡行は終了した。




720 南南西の鞍部を目指す 15分とかからないで窪に入る

826 1943の合流する枝沢に懸垂で降りた


左俣のナメを快適に降りる 困難な場所はない




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