玄倉川本流くろくらがわ 丹沢山塊中川川
2014.07.06
高橋
(ラバーソール)

石積堰堤に生えるイワタバコ 可憐な花だ










遡行図  なし




参考情報
「沢の風と空」丹沢の沢を歩く 玄倉川本流1
http://www.sawakaze.sakura.ne.jp/kurokura01.html

コースタイム

玄倉林道ゲート9:05−入渓9:31−芋ノ沢出合9:51−堰堤10:29〜11:12−林道11:34−女郎小屋沢出合11:50−堰堤12:06−林道12:42−新青崩隧道12:50−玄倉林道ゲート13:35


ルート図




 6月2122日の滝川豆焼沢遡行、7月5、6日の滝川本流遡行、いずれも悪天のために中止になった。梅雨になってから遡行の計画が実現したのは、わずかに南ア濁川笹ノ沢や日帰りの沢だけである。笹ノ沢二ノ沢にしても、一週間延期してようやく晴れ間に当ったものだ。
 例年、梅雨の計画は潰れることが多いが、特に今年の梅雨は、曇りか小雨という日が続き、晴れ間の広がることが少ない。土日に限らず平日を入れても気持よく沢を歩ける日は少ない。このままでは、充分な身体づくりができないまま、8月、9月のハイシーズンを迎えることになりそうである。
 この7月5、6日は、いつかは訪れてみたいと思っていた滝川本流の遡行を狙っていた。滝の登攀が核心となるいつもの遡行とは一味違う遡行が待っていたはずである。重い流れの渡渉、水に磨かれ滑りやすい岩のへつり、深い淵の歩行、岩溝を登る高巻きなどなど。とはいっても、豆焼沢出合から釣橋小屋跡の辺りまでを、一泊二日で歩こうというのだから、のんびりした計画だ。遅い出発で、槇ノ沢の河原で泊まる計画だった。焚き火のある楽しい遡行が待っていたはずだったが、7月5、6日とも雨まじりの予報で、中止になった。
 中止にすると、今度は6日の日曜だけは晴れ間が出るというから、そのままやり過ごして良いはずがない。だが、急なことだったので、何も検討していなかった。そこで、西丹沢を散歩することにした。玄倉林道のゲートまで車で入り、林道を歩いて適当な所から入渓する。沢登りというより沢歩きというのがふさわしい。玄倉川の広い河原と時々現れる廊下を水の流れる音と小鳥のさえずりを聞きながらゆっくり歩く。どこでも川原の石に座って休憩できる。
 玄倉川の水は少ない。上流に小さなダムがあり取水しているためだ。滝もない穏やかな清流である。滝登りを求める遡行者にとっては退屈極まりないだろう。時に現れる廊下は、両岸切り立ち緑が頭上を覆う暗い雰囲気になる。ただ、川幅は狭いところでも10mはあるので、行き詰まることはない。玄倉川の特徴のひとつは、流木や倒木がほとんど見当たらないことだ。川が雑多なもので汚されていないので、どの河原も美しい。滝はないが、両岸に現れる岩壁を滝に見立てれば、岩登りのトレーニングはどこでもできる。



 玄倉林道のゲートを入り、林道を歩く。どこからでも玄倉川へ降りられるが、今日は1kmほど歩いて左岸から入る明るい涸れ沢を降りて入渓することにした。ここは、傾斜が緩く歩きやすいせいか踏み跡がある。いくつか河岸段丘を降りて入渓した。ゆるやかに水が流れている。遠くまで河原が見渡せる。水の少ない静かな清流である。
 何ということもない河原を歩く。じんわりとした幸福感にひたる。今日は、越えなければならない難しい滝も、詰めあげなければならない稜線も無い。いやになったら、左岸の林道へ上がれば良いだけだ。
 頭上には薄雲が掛かって来たが明るい。梅雨時だというのに流れに勢いがない。もう少し水が多ければと思うが、それは欲なのだろう。時に現れる青苔の付いた白い岩肌が清流と融け合い、落ち着いた景色を見せてくれる。水を豪快に落とす滝が、動の美しさだとすれば、こちらは静的な美しさといってよいだろう。日本庭園の原型のような雰囲気がある。
 取り立てて言うべきところのない河原を歩いて行くと、左手から芋ノ沢が現れる。わずかでも水が流れていることを期待したが、涸れ沢のようだ。いつかこの見向きもされない小さな沢を探検したいと思っていたが、水がないとすれば遡る気持ちも起きてこない。芋ノ沢を過ぎると両岸が狭まり廊下になる。白い岩壁の下を清流が静かに下っていく。両岸から樹木が枝を伸ばす。その緑が美しい。白い岩石には、黒い斑点が点々と混じるのがここの岩の特徴だ。
 本流が鋭く右へ曲がる右岸から、15mほどの滝が落ちている。水量がないので迫力がない。岩が苔のために赤く染まっている。この先で、左岸が大きく崩落している。玄倉川で崩落を見たのは初めてだ。左岸20mほど上から大きく崩れている。幸い沢の右岸寄りは埋まっていないので越えられる。



玄倉林道をゆっくり歩く ちょうど陽が差して眩しい
広い涸れ沢を降り玄倉川へ入渓する


苔の生えた岩が水の流れと調和する
入渓点 ゆるやかな水の流れが続く


大きな石のゴーロが現れる
両岸が迫り廊下になる 聞いたこともない小鳥の鳴き声が聞こえる


白い岩肌が現れる 美しい
白い岩には独特の黒い斑点がある

左岸が大きく崩れていた 左が通れるが、さらに崩れそうで怖い



 崩落箇所を過ぎると両岸が迫り出し再び廊下状となる。この廊下も長くは続かず、沢が左へ旋回するところで大石の明るいゴーロとなる。この先、時々に現れる小さな青い淵に見惚れて写真を撮った。
 右へ曲がった所で突然前方が明るくなり、三段の大きな堰堤が目の前に広がる。最初の3m堰堤は左から上がれる。この上の7m堰堤は右端に下がる古い固定ロープを頼りに上がった。いくぶん急だが、よく見ればスタンスはあるので苦労せずに上がれる。三番目の10m堰堤は、左端にやはり古い固定ロープがあるが、急な上に上部の状況もよく見えないので、上がるのは止めて堰堤を下ることにした。
 堰堤を下れば、左岸に林道へ上がる窪があるはずだ。そう思って狙いをつけた窪を見たがとても登れそうにない。泥壁の崩落が見える。もう一つ下流の窪は、かなり急だが崩落箇所がない。左の枝尾根が使えそうだ。木の根を頼りに急な枝尾根をじりじりと40mほど上がり林道へ出た。境隧道のユーシン側の出口のすぐ傍だった。




白い岩肌が美しい静かな流れ
左へ曲がった沢はこの先で右へ曲がる

大石のゴーロを水が入り乱れて流れる

浅いが青い釜
苔の生えた岩と河原の大岩
青い流れが落ち着いた調和を見せる


3m堰堤と7m堰堤 7m堰堤は右端を上がってみた ここは引き返して 左岸の窪を上がりいったん林道へ出る
右へ曲がると明るくなり三基の堰堤が見える


 林道へ上がりユーシン方面へ歩くと、左下に先ほどの堰堤が見えてくる。さらに歩くと玄倉川の対岸に大きく崩れた箇所が見える。林道が右へ曲がるところに「三保猟区山北町」、「水源かん養保安林」の標識があるので、ここから玄倉川へ降りると広い河原に出る。少し歩くと右岸から女郎小屋沢が出合う。ここからまた、遡行を続けることにした。ここからも、何もない穏やかな流れの河原を歩く。ここから次の堰堤までは取り立てて記述することもない。途中河原の真ん中に鎮座する大きな達磨石を過ぎると、右岸に玉砂利の青い淵が静かに流れている。
 沢が右へ少し曲がると小さな滝があり、その先に二基の堰堤が続いている。手前の堰堤の右端には新しいダイニーマスリングが下がっているが、奥の堰堤は越せそうにない。堰堤へ上がるのは止めて戻ることにした。左岸の登れそうな所を探しながら戻ると、達磨石よりも50m下に林道に上がれそうな窪が現れる。上部に林道のガードレールも見える。ここを登ると左手に石積の土手が現れるのでここを登って林道へ上がった。ここから林道を少し歩けば、新青崩隧道になる。今日はこの隧道前で引き返すことにした。林道を歩いてゲートまで1時間かからない。




女郎小屋沢出合へ続く広い河原へ降り立つ
浅い静かな流れが続く


両岸が狭まってくる
水の碧さが際立っている


小さな木が生えた達磨石 10年前と変わらない
静かな流れの中に達磨石が先に見えてくる


玉砂利を音も立てずに流れる静かな流れ
小さな滝の先に二段の堰堤が見える

手前の堰堤右端にはスリングが下がっていたが
登るのを止め引き返す
達磨石の下へ戻り
ここから左岸の窪を上がり林道へ



Home