魂ノ山こんのやま 伊豆山稜線歩道
2014.03.15
高橋

咲き始めたアセビ これから山はこの花でいっぱいになる















コースタイム
仁科峠09:34−風早峠09:56−宇久須峠10:23920mピーク−休憩11:2011:38−魂ノ山11:4549−県道411号線12:16−仁科峠13:30


概念図



ルート図


 西伊豆の山には、海と山しかない。駿河湾と富士山、いつも同じ風景だが飽きることはない。あいにく今日は雲に隠れて富士山の姿が見えない。冬の間は、毎日のようにその端正な姿を見せていたが、このところ不機嫌な哲学者のようだ。

 仁科峠(にしなとうげ)に車を置いて、北へ向かって歩いた。左手に牧場がひらけ、歩道に沿って鉄網の柵がある。雲が広がっているが、時々陽が差す。すぐ左手に明るい海が見えてくる。先日歩いた達磨山に似て、スズタケに被われた山々の起伏が連なり、うねるように登山道が続いている。スズタケの背は低いので、始終見晴らしが利く。前方には、これから歩く920mピークが、その右手には魂ノ山(こんのやま)がどっしりと腰を据えている。後方には、猫越岳(ねっこだけ)に続く山稜が続いている。この山並みは、女性的な美しさといって良いだろう。



登り始めてすぐ宇久須港が眼下に見える
これから歩こうとする魂ノ山が右、左が920mピーク


風早峠が見えてきた 前方は駿河湾
尾根に続く伊豆山稜線歩道 爽やかな風に当たりながら歩く

風早峠からは海が見える


 スカイラインに接してしまったために、世俗化した仁科峠、風早(かざはや)峠に比べ、スカイラインから外れた先にある宇久須(うぐす)峠は昔の風情がある。明るく広い峠で、西に大きく海が広がり宇久須港が見える。かつては海山の交易路として使われたようだ。見晴らしが利くので恰好な休息場所だったろう。大きな荷物を背負った者達の行き来する姿が目に浮かぶようだ。ここには、縁起の看板と立派な東屋が建てられている。峠の標高は853mとあるが、835mの誤りだろう。峠を登り始めると、海側から強い風が吹いていくる。海を望みながら歩く時はいつもそうだ。



相変わらず、スズタケの道を歩く
振り返ると、歩いてきた歩道がよく見える


見る方角から同じ山が様々に見える
920mピークへ向かう山道が続く


宇久須峠 椅子、東屋がある 大きく海がひらける
920mピークへ向かう道がうねるように続く


 920mピークまで、丈の低いスズタケの穏やかな起伏が続いている。遮るものが無いため、遠目からも登山道がはっきり見える。登山道には芝が生え、休もうと思えばどこでも座ることができる。山を歩くとついつい先を急ぐ癖がついているが、ここでは、そんな必要はない。広がる海を望みながら、前後にいっぱいの山並みを抱えながら、ゆっくりと歩くことにする。雲は多いが、背中に陽が差して暖かい。920mピークまでは急な登りを想像したが、思いのほかあっけなく着いてしまった。途中西に伸びる稜線の鞍部から海が見えた。海に近い山のために時々このようないたずらがある。山と山の間に海が見えるというのは何か奇妙だが、伊豆の山ならではのことだ。
 920mピークの西に海側に張り出した尾根がある。鞍部を挟んだその先に同じ高さのピーク、「みそう台」がある。さぞ海がよく見えるだろうと思う。きのう地形図を見て、この「みそう台」まで足を伸ばそうと考えていた。地形図に道の記載はないが、比較的簡単に歩けると思っていた。だが、足を踏み入れると思いのほか踏み跡はなく、細い獣道が続いているだけだった。ピークへ連なる尾根を見ても、踏み跡らしきものは無い。あっさりとあきらめた。手入れのされた快適な歩道を歩いてきた者にとって、胸まで伸びるスズタケのヤブを漕ぐのは、いかにもうっとうしく思えたからである。



雲が多いが、背中から陽が差している
穏やかな登り 見通しがが良いので、どこで休んでも気持ちが良い

魂ノ山が近くに見える スズタケの山ではない
季節にはマメザクラが咲くらしい


920mピークを下り始めると樹木が現れる スズタケの原が消える
920mピークの手前 鞍部から海が覗いている


 東向きに進路を変えて、魂ノ山との間の鞍部へ下がる。この辺りから、背の低い樹木が現れ、スズタケが少なくなる。どうやらスズタケは、樹木の陰では生きられないらしい。樹木が濃くなるとあんなに密生していた姿を完全に見せなくなる。途中でトレランの走者に会った。きょう稜線で会ったのはこの一人だけだった。鞍部へ下りると踏み跡が交叉する。ここも以前は峠だったようだ。この先、魂ノ山の向こうにも、要所の土肥峠がある。この山稜線にはいったい幾つの峠があったのだろう。つい最近まで、それほどに多くの人々が、海と山とを徒歩で行き来していたということだ。
 魂ノ山すぐ手前の南向きの斜面で、歩いてきた山々を見ながらお昼にした。日の当たる風のない静かな場所だった。にぎりを噛み始めると、至福が支配した。表現のしようのない暖かい感情が身体を巡った。悦びが身体に溢れるのだった。
 魂ノ山の頂上は、思いのほか展望が利く。歩いてきた920mピークの穏やかな山容が見える。その北斜面には白いものが残っている。その右手には歩かなかった派生する鋭いピークと青い海が姿を見せている。北側を望めば達磨山がその偉容を見せていた。その左手には、富士山が見えるはずなのだが。
 魂ノ山を下り、山稜線歩道がスカイラインに接する地点で道路へ飛び出した。あとは道路を歩いて、仁科峠へ戻るだけだ。


アセビの林が現れる長い下り 鞍部を経て登り返す 北斜面にはまだ雪が残る


明るく日が差す 一人のトレランの走者と会った
降りてきた、なだらかな920mピーク


振り向くとなだらかな920mピーク 右手に海が
歩いてきた仁科峠の方角を見渡しながらお昼にする



アセビの林がひらけると魂ノ山の頂上
魂ノ山から 120mピーク(手前)


下山の途中で土肥港と海が見える
魂ノ山から 北に達磨山の頂上が見える

土肥峠へ向かって降りる 北斜面にはまだ雪が残る



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