2013.12.22 愛する小道具たち 補助ロープ


今使っている補助ロープ 7mm−12m















 沢を歩くときの道具としてロープは欠かせない。だが、登攀用ロープは重いので必要最小限のものを持つことになる。遡行する渓によっても変わるだろうが、大きな滝を登らなければ、8mm30mぐらいのものが一般的だろう。これでも1.4kgはある。体力充分の人物であれば何の事はないが、体力に問題のある者にとっては結構の負担だ。だが、このぐらいの荷物が気になるようなら、もう引き際なのかもしれない。
 ここで言う補助ロープは、この登攀用ロープのことではない。
30mほどの登攀ロープを使うのは、その取り扱いに慣れていても時間が掛かるものだ。とくにヤブのあるところで使う場合はそうだ。補助ロープは、登攀用のロープを出すまでもない所で、手軽にロープのお世話になりたいという時に威力を発する。
 私は単独で沢を始めたせいか、それとも自分の性格のせいか、危険を感じるところではかなり慎重に行動する方である。トラバースや滝の登りで、きわどい一歩が出ないという時は、「エイヤッ!」と運を天に任せる行動はまずしない。ひとまずその場を引いて別のルートを探すことになる。この撤退のとき補助ロープは便利だ。実力ギリギリまでルートを登った後に撤退となれば、進退窮まっているということだ。身動きもうまく取れないことが多い。こういう状況で30mロープを取り扱うのは、結構のリスクをともなう。が、短くて軽い補助ロープは扱いが易しい。
 先日、単独で歩いた用木沢一ノ沢のF1・30mの高巻きでは、この補助ロープが活躍した。この高巻きは、岩まじりの急斜面をトラバース気味にブッシュ登りをする。だが、ブッシュが欠けた場面では、谷底までの滑落が怖い。誰も歩かない沢のため、踏み跡もなく足元がゆるい。こういう所では、ブッシュに補助ロープを掛け、ハーネスと結べば滑落を防止できる。滑落しても大事は防げるとなれば、思い切った行動もできるようになる。きわどい所も何とか通過できるという訳である。踏み跡の無い高巻きでは、自身でルートを開拓するほか無いので一筋縄にはいかない。途中で急斜面を上がったり、場合によっては下がったりしてルートの探りを入れる。こういう時にも補助ロープによる確保は有り難い。
 補助ロープの太さと長さは、今は7mm12mを使っている。この理由を整然と説明することは難しい。経験によってそうなったとしか言いようがないからである。最初6mmを使っていたが、後続を肩がらみでブレーキするのには、手のひら感覚がちょっと物足りないので少しだけ太くなった。荷の軽量化も考えれば太さは7mmだろうということになる。長さは、小難しい5〜6mの滝登りで後続を確保することになれば、10mは欲しくなる。あれこれ考えて12mに落ち着いた。これ以上長くなると扱いも面倒になる。そういうギリギリが12mだろうということだ。このときの補助ロープの重さは、400gだ。その有用性に比べて重量は際立って小さい。
 だが、私にとって必需品と思える補助ロープであっても、それを持っている沢屋はあまり見たことがない。数mのお助けヒモを持つ者はあっても、補助ロープは持たない人が多い。したがって、私がロープを出すべきと考える場面でも、ロープを出さずに突破するケースは多い。これは、登攀用のロープを出す面倒臭さがそうさせているようにみえる。だが、短いロープとはいえ、補助ロープを出せば通過の時間は掛かる。遡行のスピードを考えれば、なるべくロープは出さない方が良いということになる。ロープを使うか使わないかは、微妙な判断となる。これはなかなか文字にして表すことは難しい。
 補助ロープを持つか持たないか、この差がなぜ現れるのかは判然としない。補助ロープを必要としない技量を持っている。危険と判断する基準が異なっている。など、いくつかの理由はあるのだろう。いずれ、沢の小道具は、沢の経験によって変わるものだし、工夫するものだと思う。歩く者が、自分自身で判断すべきことだ。ただ、常に「確保される側」にあるために、それを持参しないとなれば、それは考えものである。
 ただ、補助ロープは使い易いために、ついつい必要以上に使ってしまうということがある。それは欠点でもあるだろう。先の一ノ沢F1・30mの高巻きでは、下降ルートを見定めておきならが、補助ロープを四回も掛け直して沢床へ戻ったが、これは時間が掛かって良い方法ではなかった。ここは、30mロープで一気に下降すべきであった。反省すべき点である。



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