中川川 丹沢山塊
2013.11.17

高橋

西丹沢の水はあくまでも碧い














コースタイム
大滝沢出合10:20−板小屋沢出合12:00−西沢出合13:41−用木沢出合14:35

ヨネちゃんに会った
  ヨネちゃんに会った。中川川の遡行を終えて西丹沢自然教室前からバスに乗ろうとした時だった。偶然顔が合った。あれれ、どこかで見た顔だなと思ったが、すぐ名前が出てこない。あまりに予期せぬ出来事だったためだ。二回目に顔を合わせた時に、「ヨネちゃん」、と自然に名前が出た。
 ヨネちゃんは、私の娘の年齢と大差ないだろう。東黒沢から宝川ナルミズ沢を遡行している時に、単独遡行のヨネちゃんに偶然声を掛けたのが最初の縁だ。その後は、沢登り同好会さわねで、一時期一緒に遡行していた仲間だ。これも偶然の縁だった。その間、ヨネちゃんには、滝川古礼沢の事故の時に、「大脱出行」で大変なお世話になった。私が、ブドウ沢出合付近でアキレス腱断裂の事故に合った時だ。
 ヨネちゃんは、私より先にさわねをやめていたので、最近の様子は分からなかった。偶然に西丹沢で会ったという訳だ。私は、すぐ先の大滝橋前のバス停に車を停めてあるため、慌ただしい会話だった。きのう箒沢に泊まり、きょうマスキ嵐沢を遡行したという。今でも沢を歩いているということ、大方は前と同じ単独で。沢や山は、一人で歩いても同じ、同行するメンバーによって山が変わるわけではない。奥多摩を仕上げたので、最近は、脚が丹沢へ向かっていること、などなどを聞いた。
 大滝沢橋で私はバスを降りた。一瞬の遭遇だった。昨日のマスキ嵐沢は、拙著「丹沢の沢を歩く」をガイドにしたとのこと。もうとっくにお蔵入りになった著作と思っていたが、それがヨネちゃんの中で生きていることが、嬉しかった。

プロローグ
 朝方にあった予定の用件を済ませ、すでに十分日の高くなった頃、そそくさと西丹沢、中川川に出掛けた。週末にかけて、見る見る天候が回復したので、いつの間にか日差し輝く週末になった。もう年金生活に入っているので、平日も週末も無いはずなのだが、山へ出かけるのは習慣で週末になる。長いサラリーマン生活が、それだけ自分の生活に染み付いているということだろう。週末の好天日に、家にいると何か落ち着かない。山を歩いている自分の姿を想像すると、居ても立ってもいられない気分になって、つい出掛けてしまう。比喩的に語れば、これは病気だと思う。

 中川川は、西丹沢を流れる大流である。この中川川という名称は、何故かしっくりこない。「川」という字が重なっているので、どうも変な感じのする名前なのだ。隅田川を隅田川川と言っているような、何か落ち着かない雰囲気がある。中川という地名に川が付いたため、このような名称になったと思われるが、詳しい由来は分からない。中川川は、地形図では「河内川」とあるので、元々はこの名前だったのかも知れない。昭文社の地図では、丹沢湖の下流を「河内川」、中流域を「中川川」、用木沢出合の先を「白石沢」と記載があるので、これに従うことにする。

 予定のない行動だったので、準備も何もしていない。西丹沢の大流、中川川を天気の良い日に歩けば、楽しいだろう。突然そう思ったので歩くことにした。つまり、そこを歩くだけの十分な理由はない。ただ、天気の良い日に、外へ出て遊びたかっただけだ。理由があるとすれば、今年よく歩いた西丹沢の沢の、「その本流である中川川は、どんな川なのだろう」、そんな素朴な疑問だろうと思う。もちろん、沢の遡行の魅力を持っているとは思えない。だが、これだけの大流であれば、所々にはっとする景観もあるに違いない。そういう期待もあった。


ルート図




中川川
 出足が遅かったため、現地を歩き始めたのは、もう
10時半近かった。今日歩いた中川川は、大滝沢出合から用木沢出合までである。およそ5kmだ。勾配が緩やかなので大きな滝はない。滝は左岸から入る支沢に懸かるものがいくつかある。本流は、川幅が広く大半がゴーロである。所により、巨岩のゴーロが現れる。
 標高520m付近には取水用のダムがあるが、5kmに渡って奇跡的に堰堤はない。取水ダムのため、その下流は水量が少ない。取水ダムは、左岸を高巻いた。獣道に沿って高巻くことができる。途中、ツキノワグマの糞場があった。新しい糞も有ったので、この近くで活動しているのだろう。この高巻きの下降には、ロープが必要だ。
 ダム上流部は、水量が多くなり徒渉地点を選ぶようになる。西丹沢自然教室の下流部に落ち着いた雰囲気の渓流が現れる。自然教室の上流には、河川敷を重機で平にしたキャンプ場なるものが現れる。途中にもキャンプ場はあるが、自然教室の上流部はひどい。中川川の本流が押しつぶされんばかりに、河川敷が埋め立てられている。県や国の認可の上に工事されていると思うが。本流が、申し訳なさそうにキャンプ場の間を通してもらっている、そんな惨状が本流を歩くと分かる。西丹沢へ車で来て、車のそばに大きなテントを張って、次の日には丹沢の懐にも入らずに車で帰る。そんな「自然派」が増えているのだろう。
 キャンプ場を右に見て遡行し、用木沢出合に近くなってくると岩盤が発達して小滝が現れる。なかなかの景観だ。キャンプ場の暴力が及ばない頃は、素晴らしい渓谷だったものと思う。用木沢の出合もなかなか落ち着いた雰囲気がある。白石沢で、水質調査のために水棲昆虫の収集をしているグループに会った。まずは、素晴らしい紅葉の中川川であった。


大滝沢出合〜取水ダム


大滝橋手前のたけやま橋を降りて中川川へ
広い河原が広がる 陽光がまぶしい


左岸から5m滝 落ち着いた雰囲気の滝だ
歩き始めると早速碧い淵が現れた 水の色が美しい


単調なゴーロにも時々きれいな流れが
広い河原をゆっくりと歩いていく 空も心も晴ればれと

樹齢2000年と言われる箒杉 小さな山ほどもある

沢が大きく左へ曲がるところは岩盤が露出し小さな滝を見せる こんな流れも見えるが、流れは全般に穏やか


押ン出シ沢出合 堰堤が連なっている
川幅は広いところと狭い所が現れる 背中から陽が差してくる


板小屋沢出合 堰堤が続く
左岸から5m滝が落ちる 飲料用のパイプが見える


巨石のゴーロもある 通過困難なところは無い
両岸は黄葉の真っ盛り


取水ダム 対岸の枝尾根を高巻くしかない
下降にはロープが要る 途中熊の糞場があった 
取水ダムの前は水が少なくなる


左岸を高巻きの途中 険しいが獣道がある
取水ダムの上 ダムのほとんどが埋まっている




取水ダム〜用木沢出合
西丹沢橋の下が水量豊富な渓流に 前方に見えるのは大室山か


西沢出合に近づくと奔流が現れる
水量もかなりある


左手に西沢出合が見える
西沢出合 期待をもたせる雰囲気だが、西沢は堰堤が続く

西沢出合いを過ぎると、おだやかな流れになる


なかなか良い雰囲気になる
用木沢出合に近くなると岩盤が出て来る

3mほどの滝に流れが集まる 用木沢出合手前の橋


白石沢 出合付近 今日の遡行はここで終り
二俣 右が用木沢 左が白石沢



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