割引沢三ー沢1(わりめき沢みくら沢) 巻機山登川
2013.09.28〜29

Oさん、Yaさん、高橋
個人山行

十文字草 三ー沢二段8m滝手前 1300m付近






 割引沢三ー沢2へ



遡行図  



参考情報
「その空の下で。。。」2011.11.05 
割引沢ヌクビ沢 三ー沢右俣

コースタイム
9月28
桜坂駐車場10:22−割引沢入渓11:00−吹上ノ滝12:26−アイガメノ滝12:38−二俣・ヌクビ沢出合13:55−三俣・三ー沢出合14:55
9月29
三俣テン場7:411340m二俣9:201550m二俣11:031765m地点12:4058−登山道13:20−桜坂駐車場15:40

プロローグ
 越後の割引沢三ー沢へ出掛けた。読みの難しい漢字だが、「わりめき沢みくら沢」と読むようだ。三ー沢を「みつくら沢」とする情報もあるが、地元の山岳会は「みくら沢」と称しているので間違いないだろう。個人山行を計画したところ、ウェクラのOさん、Yaさんが参加してくれた。お二人とも、一年ぶりの再会である。いまさら事情を書くまでもなく、私が軽い病を患い、今シーズンの本格的な沢を控えていたためである。だが、治療後のリハビリも功を奏して、ようやく越後の沢を歩く覚悟ができたところであった。
 越後湯沢の駅前で再会した時には、月並みな言い方だが心底「ジーン」と来た。「今シーズン、一度は二人と一緒に沢を歩きたい」との本懐を、ようやく果たせるという思いがいち時に溢れた。ふた月ほど前には、自宅の有る住宅地の坂を登るのも容易ではなかった自身が、二人の「強豪」と遡行する。これは、考えただけでも心が熱くなる。二人が、一泊二日という面倒くさい遡行に付き合ってくれたのも、私への配慮だと思っている。
人影まばらな東海の田舎の駅 早朝に経って越後へ 




遡行概要
 割引沢三ー沢(わりめき沢みくら沢)は、越後、巻機山登川の支流だ。同支流の米子沢の西側の沢といえば分り易いだろうか。米子沢は、沢を歩く者にとっては人気の沢だが、割引沢は、米子沢に押されて今ひとつ人気がない。沢沿いに登山道が沿っているという事情のせいだと聞くが、よく分からない。まあ、他人の噂話や好みとは無縁に生きたいと願っている自分にとっては、どうでもいい話ではあるが。
 昨年米子沢を歩いた時に、合わせて割引沢三ー沢を歩こうと計画していたが、米子沢の日帰り遡行だけで体力を消耗してしまい、次の日に予定していた割引沢をトライできなかったという事情もあった。
 三ー沢(みくら沢)は、割引沢の支流・ヌクビ沢のその支流だ。標高1210mで左岸から出合う。ここは、三つの水流が合流するところなので、仮に「三俣」としておこう。三ー沢は、ニセ巻機山に源頭があり、三俣でヌクビ沢に合流している。
 今回の遡行ルートは、桜坂駐車場から登山道を辿り850m地点の割引沢へ入渓して、1070mの二俣でヌクビ沢へ入り、三俣から三ー沢を東に向かい、ニセ巻機山の南の稜線登山道、1750mへ上がろうとする計画だ。米子沢と同様、一般的に割引沢三ー沢は日帰りの沢だ。だが、どっこい越後の沢は大きい。標高差1000はある。体力を使う。
 今回は、途中でビバークして、一泊二日でこの沢を楽しもうという贅沢な企画にした。といえば聞こえはいいが、まだリハビリ途中の自分の体力を心配して、ゆったりと遡行しようというのがねらいだ。幸い三俣までは登山道もある。だめならここから引き返せばいい。そういう気持ちもあった。




天狗岩(中央)を仰ぎながら登山道を歩く
清流、割引沢へ入渓 素晴らしい天気だ

右から流れを入れると、早くも遠目に連瀑が見えてくる 雄大な景色が広がる 期待はいち時に高まる



9月28日
入渓点から二俣まで
 登山道の分岐を左へ折れて、標高850m付近で割引沢に入渓した。明るいゴーロで、白い花崗岩がまぶしい。言うまでもなく清流である。釜は深さを増すと藍色に染まる。右から5mぐらいの滝で支流が入ると、本流の先には早くも大きな連瀑が見える。吹上ノ滝だろうか。
 まずは明るい空の下に小滝の連瀑が現れる。4〜5mぐらいだろう。だが、スラブということもありクラックの間隔が広く、容易に越えられないところもある。いつも歩いている小さな沢とは、まるで違う感触だ。小さなナメ滝でも、時々、岸を巻きながら越える。水は碧い。青空の下を流れの変化に合わせて歩き始めると、心はさっそく弾けていゆく。全開だ。ナメとナメ滝、トイ状滝が途切れなく続く。
 深い釜のある小滝を5つほど越えると、二段8m大釜ノ滝が現れる。たしかに釜が深い。ここは、左岸を越えて滝に取り付けば、行けないこともなさそうに見える。だが、途中で行き詰まると、もどるのも面倒だろう。無理せずに右岸の巻き道へ入った。早めに本流に戻りたいが、大釜ノ滝の上は、どうやら傾斜のゆるい滝が続いているようだ。少し行き過ぎたぐらいのところで、踏み跡に沿って本流へ戻る。途中、遠くに吹上ノ滝12mが見えた。早速一休み。この下には、5段10mのトイ状スラブ滝が、踊るようにヒョングリを打っていた。


トイ状小滝 釜は深い 遠目に連瀑も
空はあくまでも蒼い 小滝だが意外とルートが探せない

連続する小滝を越える


二段8m滝 右岸から巻いた この滝の上にもトイ状滝が
滝壺の深みは藍色に変わる 左を高巻いた


二段8m滝上はヒョングリを打つトイ状滝10m 高巻き途中から
大きな滝が見える 高巻き途中から

スラブを気持良く歩く 沢巾が広いので明るい


吹上ノ滝左岸のスラブ この乾いた岩を上がれば容易に越せる 広々として明るい しばらく昼寝でもしたいところだが、先を急ぐ
先ほど見えた吹上ノ滝12m 端正な滝だ

スラブ登攀の途中 黄色のキスゲが点々と咲いている


 沢が大きく右へ曲がる広々とした地形になり、左から沢が二本続けて入る。この沢は右岸の急斜面を、全体が滝のようになって落ちている。本流右岸の岩を赤目印を辿りながら高巻きして、アイガメノ滝の前に降りる。アイガメノ滝は、藍甕(あいがめ)の意味だろう。二段25mはあるだろうか。下段を登ると上段の滝壺があり、藍瓶のような深く暗い水を湛えている。下段は左岸から登ったが、藍甕(あいがめ)の滝壺へ上がる所がいまひとつ不安定で、お助け紐で確保した。藍甕の狭い縁を辿って右岸に移り、固定ロープのある踏み跡を上がった。アイガメノ滝が緩やかになるところを見て、薄いヤブを抜けて本流へ戻った。この上段は、傾斜がゆるく見えるので登れるのかも知れない。が、逆層で苦労するかもしれない。
 この上も、小さなナメ滝が続く。5mのヒョングリ滝は豪快だ。小滝をいくつか越えた先で、大きな岩の載る大岩の滝6mになる。ここは、右の乾いた岩を上がってブッシュを抜けて高巻いた。この上はゴーロ歩きが続く。やがて正面に天狗岩の奇峰が見えるようになると、ヌクビ沢出合は近い。出合の大岩には、赤ペンキで右俣が「ヌクビ沢」であることが記されている。



沢が右へ曲がるところで右岸から沢が二本 雄大な眺めだ 本流の巻きは右岸から
アイガメ(藍甕)ノ滝 二段25m 下段は右から登る  落口の一歩を慎重に


上段上部 登れそうに見えるが、右岸の巻に入った 我ながら慎重だなと思った
アイガメノ滝上段 右下の滝壺が藍色の瓶(かめ)だ

アイガメノ滝上段の高巻きルートを上がる




















5mヒョングリ滝 勢い余る水の跳躍 4m滝を左岸のバンドから上がる


大岩の滝6m 滝の大きさの割りには豪快に見える 何故だろう
大岩の滝6mを 左岸の岩から高巻く


軽快に足を運んでスラブを渡る
天狗岩の尖頭が見える ゴーロを歩けばもうすぐ二俣だ

二俣の標識 左、割引沢、テング尾根 右、ヌクビ沢とある


二俣から三俣まで
 二俣からも大岩のゴーロが続き疲労を感じるようになる。時々ゴロタの滝を見ながらゴーロを苦労して歩くと、標高1150m付近で滝が左へ曲がる。ここで、沢幅いっぱいに傾斜のゆるいスラブ滝が現れる。やや傾斜のきつい下段は5m、ゆるい上段は15mぐらいだ。水流左の乾いた岩を上がる。フェルトソールの沢靴ではやや頼りないが、クラックを頼りに登れる。ゴム底の靴なら楽勝だろう。それぞれに好きなところを登った。傾斜が少しきつくなると、微妙に滑るところがある。まさに滑り台だ。このスラブは、布引岩と言うらしい。
 この二段20m滝を楽しみながら登ると、三俣まで長いゴーロが続く。あわてず急がずゴーロの岩をこなしてゆくと、やがて顕著な二俣となる。二俣の間には細流がもう一本あるので、ここは三俣ということにしておこう。左俣・ヌクビ沢には堂々とした行者ノ滝が見える。20mぐらいはあるだろう。豪快だ。ヌクビ沢ルートの登山道は、この滝の右手を上がるようだ。右俣・三ー沢(みくら沢)には10mほどの大きな滝が見える。きょうは、三俣の辺りでビバークする予定だ。三ー沢出合手前の左岸を整地して、三人が横になれるささやかな家を設えた。
 日当たりの良い家は、陽の落ちる6時頃まで日が差して温かい。沢筋の下流遠方にはきれいな山並みが見える。何という山なのだろう。越後の山に詳しくない我々には、全く分からないが、いつまでも見惚れていることができる美しさだ。しみじみ、沢歩きの喜びが湧いてくる。
 とりあえず今日の幸運に乾杯をし、互いの食料を分け合った。ビバーク地点に日が落ちて、気温が下がり始めるとともに沢風が強く吹き始めた。空には、まるで探照灯のような星が光る。「金星じゃないか。」誰かが言う。木をいくらくべても、沢風は焚き火の温かさを吹き飛ばしていく。風がなければ、快適な焚き火の夜になるはずだったが、少しずつ身体が冷え始めた。ダウンを着ていた私も首筋や足元から冷えてくる。早々に、シュラフに潜って風をやり過ごすことにした。
 まだ夜の7時前だが、シュラフに入る。温かい。少し早いためか、なかなか寝付けない。だがいつ眠ったのだろうか。朝まで、とぎれとぎれに目覚めながら温かいシュラフで10時間も眠った。強めの風は、夜通しタープをはためかせていたが、朝方は幾分穏やかになった。



沢が左へ曲がると大きなスラブ滝20m(布引岩)が現れる
二俣の先 ヌクビ沢 大岩のゴーロを歩く


同滝を登る 慎重に足を運ぶ
下段の5m滝 水流左を直登できる


滑るので四つん這いになって登る 手を抜けない 見た目より傾斜がある
上段15m(布引岩) フェルトソールは急斜面になると滑る ルートを選んで、めいめい楽しみながら登る


同滝上を歩く
スラブ滝20m上は再びゴーロになる


三俣から 右俣の三ー沢に10mほどの滝が見える
三俣から 左俣のヌクビ沢 行者ノ滝20mが豪快に落ちる

三俣手前に設えた一晩の我が家 快適だ 薪はたやすく手に入る 早々にご飯も炊けた

登ってきた下流方向に山並みが見える 空が茜色に変わり、今日の終わりを告げている ありがたい一日だった




















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