弥七沢 玄倉川小川谷 丹沢山塊
2013.08.11

高橋

当日の玄倉川は、水浴びをする人で賑わっていた














コースタイム
入渓11:45−ヒョングリ7m滝12:05〜45−550m二俣13:06−逆光7mスラブ滝13:18−入渓点15:00




プロローグ
 暑い日が続いている。家にいるとエアコン無しでは暮らせないような気温だ。室内で35度はある。今年一番の暑さだという。甲府では、40度を越えたというから、どんな暑さなのだろう。静岡県の東部に位置するわが街は、温暖な気候なのに、夏の気温はあまり上がらない。近くに海が控えているからだろ。最近の各地の気温を見ていると、驚くような値を示している。
 さて、暑さといえば、やっぱり沢でしょう。という訳で、近くの沢へ散歩に出かけた。先日の大野山沢の失敗に懲りて、今日は少し名の知られた沢にしようということで、小割沢にした。小割沢は、玄倉川の支流小川谷、そのまた支流だ。ガイドで、「全く登攀の困難なスラブと釜が続く。中級」とあるので、どこまで歩けるか分からなかったが、とにかく行ってみよう。計画もその日の朝にするのだから、家を出たのは10時少し前だった。

小割沢
 小川谷は、玄倉林道を左折して入るが、ゲートが閉鎖してあるので、近くに車を止めて歩く。小割沢までは15分のアプローチ。林道が橋で小割沢をまたぐ。橋の左手に10mほどの滝が見える。難しそうな滝だが、ここは登れるのだろうか。滝と言うよりはルンゼだ。近くに寄れば、意外に簡単ということもあるので、試してみることにする。橋の下に降りて3mほどの滝を越え、10mの滝を三分の一ほど登った。うーん、難しい。スラブの僅かな凸部を拾っての登攀になるだろう。ロープを引いて、ハンマー、ハーケンを携えて登る滝だ。うまい人なら登るのだろうな。そんな微妙な滝だった。とりあえず諦めて降りる。
 高巻きのルートを探ってみるが、これも一筋縄ではいかない。左岸は急峻で取り付く島もない。右岸は、ブッシュの繋がりで何とか登れそうだが、直登と同じ怖い思いをするだろう。しかも、取付きが急峻だ。残念だが諦めることにした。前回の大野山沢も門前払いだったが、ここもまさに門前払いだ。またか。

小割沢 まず3m滝を登って 10mスラブ滝 途中で難しくなる


弥七沢
 ここまで来て帰るのも悔しいので、ひとつ上流の弥七沢を歩くことにした。地形図を持って来ていないので、現在地の確認ができないのが心配だったが、散歩だから良いだろう。弥七沢は、「さわね」で歩いたことがある。確か、早々に一見小難しい滝が出て来るはずだ。ホールドはあったと思うので大丈夫、門前払いはないだろう。そんなことを思いながら、10分ほど小川谷林道を歩く。
 弥七沢は、記憶の通りの沢だった。美しく磨かれたスラブを水が滑るように落ちる。水はあくまでも澄んでいる。西丹沢特有の花崗岩の沢だ。この渓相の代表は、小川谷廊下に見られるが、そのミニチュアのような感じだ。だが、弥七沢は、小川谷に見られるような深い釜はない。岩が脆い部分があるので登攀では注意が必要だ。
 標高500mを越えた辺りで現れる7mヒョングリ滝は、手がかりがなく直登は難しそうだ。スラブを削ったトイ状の滝が落ちている。登るとすれば左岸の壁の弱点を縫うのだろうが自分には難しい。高巻きも簡単ではないが、右岸なら行けるかもしれない。だが、リハビリの身でトライするルートとも思えない。うーん、迷った。だが、ここで帰るのもあまりにあっけない。という訳で結局高巻くことにした。ダメなら途中で引き上げればいいや。この高巻きは、枝尾根越えの先に沢へ降りる踏み跡がある。高度感のあるトラバースだ。やや微妙なところがあって緊張したが何とか着地。その先を歩く。


弥七沢 奥に4m滝が見える 関門の4m滝 水流左の凸を登る


V字谷に小滝をかけて水が流れる
澄んだ水が釜を造る 西丹沢的景観 心が洗われる

優雅な4m滝 水流左が登れる







ヒョングリ7m滝 登るとしたら右壁だが難しい





























ヒョングリ7m滝 右岸高巻き途中 枝尾根を目指す 写真より傾斜が急だ
枝尾根を越え、沢を望む ヒョングリ7m滝上は、3mの小滝が二つ続く 右岸をトラバースして降りる 3m滝 高巻いてこの滝の上に降りる



左に涸れ沢を見て本流を進む
前方に高い滝が見えてくる

倒木の掛かる6m滝 水流すぐ左が登れる

美しい流れが石を伝う 少し荒れた沢を歩く


 550mで二俣になる。本流は左だ。この先で小さなゴルジュになる。これを過ぎると三段の6mナメ滝が控えている。両岸が突然開ける明るい場所だ。つい休憩したくなる。ところで、弥七沢の随所にトラロープが残されている。しかも、かなり手の込んだ工作で、景観的にも見苦しい。魚影も無い弥七沢にこんな工作をして何をしたいのだろうか。と言いながら、この先の二段3m滝の微妙な登りでは、ちゃっかりトラロープを使わせてもらった。思想が首尾一貫していないなーと自分で思う。
 両岸が切り立ちV字谷に変わった先に、逆光を浴びた滝が現れる。傾斜がゆるやかなナメ滝で、見るからに美しい。感動する。水流沿いは難しいが、クラックなどの弱点を突けば容易に登れるだろう。だが、今日はここまでにする。散歩と言いながら、ずいぶんと深入りしてしまった。帰る余力を少し残した所で引き返したほうが良いだろう。と、さっきまで憑かれたように遡行していた自分に、何か理性的な考えが巡るのだった。
 この理性は、的を得ていた。帰りに7mヒョングリ滝の高巻きの途中、突然雷鳴があった。気がつけば、まだ2時半というのに渓は暗い。入渓点付近の4m滝の懸垂下降では、大粒の雨も降りだした。慌てるロープさばきは、却って時間がかかり、モタモタした。林道に出た頃には、稲光と激しい雨に押されて走って下る。あー、疲れた。




550m二俣(3:1) 本流は左 すぐ小さなゴルジュ
二俣を左に折れゴルジュを過ぎた三段6m滝 明るく開ける

二段3m 左にトラロープ V字谷に細い流れが続く 何が現れるか


7m滝 逆光に輝く 右から弱点を登れるだろう
同じ7m滝を右から 全く別の様相を見せる

この滝の先にも期待が持てるが今日はここで引き返す



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