巻機山ヌクビ沢コース 上越国境
2013.6.30 晴
SSC(2名) MH、TY




登山口で


越後巻機山
その穏やかな山頂へ
あなたのやさしい心と足で
ゆっくりゆっくりと
登ってみて下さい。


コースタイム
桜坂駐車場5:00~ 巻道分岐(割引、ヌクビ沢コース)5:25~割引沢5:35~アイガメの滝6:00~ヌクビ沢出合6:35~布干岩7:00~行者の滝7:20~割引岳鞍部10:10~巻機山(標識の山頂)10:55~巻機山避難小屋11:20~ニセ巻機山11;35~井戸尾根入口14:20~駐車場14:30


 六月も終わろうとしているのに週末になると天候が悪くて、今月は一度も山にも行けずに終わるのかと日々思っていた所、会のメンバーのHさんから、越後方面の天候は、土日が何とか持ちそうだとの連絡が有り、急遽「巻機山」に行く事が決定した。Hさんは、土曜日が仕事の為前泊で現地入りし、早朝にヌクビ沢コースを登る事にした。
 早速ヌクビ沢コースからの巻機山への登山情報をネットで調べて見たが井戸尾根からの情報だけで、さすがこの時期、ヌクビ沢コースから登る人はいないと見えて、なかなか情報を得る事が出来なかった。あきらめずに調べていた所、ヤマレコに6月8日(土)3人で雪渓の割引沢から割引岳の稜線に上がり、割引岳と巻機山の頂を踏み避難小屋で一泊して下山した記録を見つけ参考にさせてもらった。
 三週間前の情報と言え、かなりの雪渓を登らなくてはならないと覚悟を決め準備をして向った。幸いHさんがこのヌクビ沢コースの経験者で有る事からも、このコースを決定した理由でもあったが、雪渓の状況が悪ければ無理をせずに引き返し、井戸尾根コースに変更する事は事前に決めていたので、行動に余裕を持って対応する事を確認した。

 長いながいトンネルを抜け関越道から一般道に下りて進むと、空に星がきらめいているので明日の天気に期待が持てた。予定通りに巻機山麓キャンプ場に到着。今日はキャンプ場を一人占めと思いきや既に一台、九州ナンバー乗用車が駐車しており直ぐ脇にテントを張り休憩している者がいた。
 我々は炊事場の前のコンクリートの上にテントを張り、寝床を確保中にヘッドランプにめがけて虫の集中攻撃があり、香取線香やスプレーで対応するも効果なしで、日付が変わる前に就寝態勢に入る。
 午前4時に起床し、すばやくテントを撤収して一番上にある桜坂駐車場に車両を移動した。ここもかなりの車両が駐車しており、日本百名山の一座として人気ある山だと思い知る。簡単な朝食を取りながら、行動予定を打ち合わせし携行装備等を確認する。
 沢は雪渓に覆われているので雪山に準じた装備で臨む事にして、駐車場を出発する。出発して直ぐに尾根コースと沢コースの分岐が有り、ヌクビ沢コースに進路を取り進む。登山道の両脇の草木が濡れている為、沢に出るまでに両腕と足がかなり濡れた。

入渓した割引沢の雪渓 大きく崩れている場所

 割引沢に出て対岸に渡るのに水量が多くて徒渉する場所を慎重に探し、大きな石と少し水のかぶる石を上手く利用して対岸に渡り雪渓に出る。
 これから登るコースを見上げると、両側にグリーンの壁がそそり立ち、その真ん中に白い曲線を描く様に雪渓がどこまでも続く割引沢の景観である。
 ここからはアイゼンを着装し慎重に登る事にして高度を稼ぐ、所どころ雪渓が口を空けている場所もあり緊張もする。しばらく歩いていくとHさんが、半分雪渓に隠れているが、水は流れている場所を指し、ここが吹上の滝だと教えてくれた。思ったより雪が多い。
 さらに高度を稼ぎながら進むと、水量の多い滝らしい滝が現れる。これがアイガメの滝である。雪渓の無い時のアイガメの滝を見たいものだと思いながら進む。ここは滝を右に見ながら左岸の藪に入り高巻く、踏み跡もあり問題も無く通過できた。雪渓に下りてまた黙々と高度を稼ぐと、ヌクビ沢出合いに出る。
 ここで高度と地形図を確認して確実に右に進路を取り、いよいよヌクビ沢に入り割引岳の稜線に向けてさらに高度を稼ぐ。かなり傾斜もきつくなり、足元を見ながらゆっくりと進むだけであるが、はるか前方に見えていた天狗岩もしだいに大きく見える位置まで高度を上げてきている。それでもどこまでも続くスケールの大きい雪渓の沢である。

どこまでも続く雪渓を進む

 わずかながら水は流れていたが、布干岩も大部分は雪渓に隠れており、大きさが実感として分からないまま進む。この場所も雪渓の消えた時期にもう一度来てみたい場所の一つとして胸に刻む。
 しばらく登ると右側からヌクビ沢に出合う雪渓の沢が見える。これが三ー沢である。ここでも地形図と高度で現在の位置を確認する。
 我々は、左のヌクビ沢をさらに高度を上げながら進むと、これまでにない水量の多い滝が現れる。この滝が行者の滝である。ここまで登って来てはじめて滝らしい大きな滝を目にする事が出来た。
 天狗岩の全貌を見上げる位置まで高度を上げてくると、さらに傾斜がきつくなり、そして時間的にも太陽が真上から容赦なく雪渓に反射し、これまで気にしなかったが雪渓がかなり腐りだしてきている。

行者の滝 なかなか見事だ こんな滝もありました

 アイゼンの効き目がなくなり滑り落ちる危険性もあり、さらに登る速度がダウンする。それでも一歩一歩高度を上げるしかないので慎重に足を運び稜線を目指して進む。だいぶ沢の両岸も狭くなり、振り返るとあの天狗岩が下方に圧倒的な存在感を誇示する様にそそり立っている。
 雪渓の幅も細くなり、稜線もはっきりと視線に入り手の届く所まで来ている事が実感してきた。あと少しで雪渓が消える所まで上り詰めてきたところで、どちらの尾根に取り付くか非常に厳しい判断を迫られる事になった。
 最後の傾斜のきつさに、雪渓をトラバースして左の尾根に取り付くか、または雪渓を直進して坊主の様な短い草木の根にしがみ付いて登るかである。
 先頭を登っていたHさんが、先にトラバースをして左から尾根にはい上がり、状況を把握した上で、私に直進して尾根に上がる方が安全だとアドバイスをしてくれたので滑り落ちない様に全神経を集中して、雪渓から尾根に取りついた。
 雪の消えていた尾根の草木は、短くて倒れている様な物ばかりで、この根をつかんで体を持ち上げながら這い上がる事、数分間の格闘ではあったが両腕の筋肉はパンパンに張りつめ、滑り落ちるのではないかとの恐怖感とで、登山道である稜線(鞍部)に出た時には倒れこんでしまった。
 しばらく上空の青空を眺めながら、今登って来た雪渓の沢を思い浮かべながら頭で整理した。そしてようやく登り詰めた実感が喜びに変わった一瞬でもあった。

登り切った鞍部から見るヌクビ沢

 しばらく休憩をしてから巻機山に向う。木道を歩いて直ぐにまた雪渓が巻機山の直下の所まで続いており、再度アイゼンを着装し傾斜のある雪渓を慎重に向う。標識のある山頂に到着した時には、やはり人気の百名山だけあって多くの人が山頂で食事を取りながら休憩をしていた。
 山頂からの眺望は、晴れてはいるがガスっていて、奇麗に見えるとまでは行かず残念であったが、それでも満足のいく山頂からの景色だった。ケルンだけの山頂には行かず、ここで記念写真を取ってもらい直ぐに下山をする事にした。
 下山して間もなく避難小屋が見えてきた。Hさんが小屋にサングラスを忘れてきた事が有ると話した事から一度立ち寄ることにした。
 避難小屋に到着して部屋の中を見ると奇麗に整頓されており、二人の登山者が休憩していたが、泊っても快適に過ごせる立派な避難小屋だと感心した。
 お目当てのサングラスは、有るはずもなく昔の山旅の話をしながら、きつい階段を登りながら、ニセ巻機の頂に着いた。
 標識の根元に石が数個積んであったので、ここにリックを下ろそうとしたところ、何か動く物が見えたので良く注視していたら何と「蛇」ではないか、標高1861mの所で、蛇を見るとは吃驚した。
 巻機山頂には、修験道の祖「役の行者」の石碑もあった事から、古くから山岳信仰の為に山岳修行者が修行の場として登ってきていたのではないだろうか。
 そう考えると、この蛇もまた山の神に仕える山の主であり大切にしなければならないのではと、一人思いながら休憩を終えて下山を開始する。
 これからは一気に下るだけだと快適に下り始めた所、左足の膝に痛みが走り何と左足を着地するたび苦痛になり、これがブレーキとなって下山時間を大幅にオーバーしてしまい、Hさんには大変迷惑をかけてしまった。それでも途中で見た、ベニサラサドウダンの赤い花やナナカマドの白い花、緑の中に映えるつつじのピンク色の花等、苦しい下山であったが心を癒やしてくれる花々に山旅の楽しさも堪能させてもらった。

天狗岩とその下を白く伸びるヌクビ沢の雪渓

 六合目の展望台から見た天狗岩と緑の中に白く曲線を描くヌクビ沢の大雪渓に圧倒させられてしまった。
 あの雪渓を登りそして、今この場所で長い道のりを振り返り見ている自分に少しは自信が付いてきたのかなとふと思ってしまった。
 井戸尾根登山道は、森林限界を境に悪路となり泥道で滑りやすく、不規則な段差が多くあり下りには厳しい道であった。年配の女性達からも追い抜かれながらも、駐車場に無事に到着する事が出来た事にまず感謝である。有難う。
 帰りは、ハツカ石温泉「石打ユングパルナス」に立ち寄り汗を流して、湯沢インターから関越道を一路、帰宅に向った。

( ※ 温泉を出てから直ぐに、局地的な豪雨に見舞われ車は洗車状態だった)

                            TY


ナナカマドの白い花 ベニサラサドウダンの赤い花

緑に映えるツツジ



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