ヤビキ沢散歩 西丹沢東沢
2013.03.23

高橋

三椏 ツツジ新道 ゴーラ沢出合手前










コースタイム
西丹沢自然教室9:38−ゴーラ沢出合10:22−ゴーラ沢入渓10:32−堰堤上10:38~44−ヤビキ沢出合10:50−二俣990m11:18 (帰路は省略)

ルート図



 三月になって暖かくなってからは寒さが戻ることもなく、いつの間にか春分を迎え、花の便りが届くようになった。寒さのために梅の開花が遅れ、突然の暖かさのために桜の開花はおどろくほど早い。今日23日は、わが三島も桜が満開だ。梅から桜へいっぺんに春が弾け、野山には名も知らない小さな花々が開き始めている。
 こんな季節になると、丹沢はどうなんだろうな。そんな気持ちが自然に湧いてきた。何も頂上まで上がらなくても良い。歩けるところまで、散歩のつもりで歩けばいい。朝からの青空も背中を押した。
 4月末に西丹沢の東沢ヤビキ沢を歩こうと思っている。ここは、日帰りの沢だがどこかでビバークして沢の中にゆったりと浸りたい。とは言っても、ヤビキ沢は思いのほか急峻な沢だ。地形図を見る限りでは、ビバークできそうなところは少ない。そんな調査を兼ねた散策でもある。

9時半着 自然教室の前は車でいっぱい 下の駐車場も車が並んでいる 一番下に止めた

 自然教室の前の駐車場とその下の駐車場も車がいっぱいだ。まだ、三月というのにこんなに人が集まるものだろうか。今まで、人の少ない山域を歩いて来たために、何か不思議な気がした。これは、あとで気づいたことだが、西丹沢は三椏(ミツマタ)の可憐なぼんぼりが見事な開花を見せていた。登山を終わって帰りに車を走らせると、「増発」という札を付けた路線バスと二台もすれ違った。どのバス停にも登山者がバスを待っていた。そうか、三椏のシーズンなのだ。三椏の可憐な花を求めて人が集まっているのだ。先週の愛鷹連峰の三椏のまだ固い蕾を思うと、三椏シーズンには思いが至らなかった。
 三椏は、必ずしも環境に恵まれない荒地や日陰に生える。長いことそう思っていたが、それは勘違いかもしれない。最初に春を告げる花のために、その背景がいつも冬枯れのモノトーンの景色になる。そのために、そういう少し暗い印象を持っていたのかも知れない。白い首を伸ばした小花が集まって黄色のぼんぼりを見せ、その明るいぼんぼりが殺風景な中に幻影のように浮かんで見える。
 初めて三椏の花を見たのは、丹沢だったのか天城だったのか今では忘れてしまったが、もう歳をとってからのことだ。子供の頃には見た記憶が無いので調べてみると、「東北南部以南」に生育するとある。東北の北部に位置した郷里には、三椏は無かったのかも知れない。ただ小さい頃、母親から「ミツマタ」という言葉を聞いた記憶がかすかに残っているのだが。
 二週間ほど前に家の近くで赤い花弁の鮮やかな三椏を見つけ、その美しさに見惚れたが、三椏には黄色の淡いぼんぼりの方が似合うと思う。


<三椏の群落>

家の近所で見つけた赤い三椏


 自然教室の先の舗道を歩き、ツツジ新道の入り口を入るとすぐ急登になる。15分ほど息を切らせて登るとようやく枝尾根に上がる。ここを左へ折れれば、しばらく東沢を右下に見て山腹をトラバースする。日が差す快適な登山道だ。ゴーラ沢出合までの山道に三椏がところどころ群をなしていた。かなりの群落だが、一人の登山者とすれ違っただけで、ここで三椏を楽しむ人は無いようだった。
 自然教室から一時間弱で、ゴーラ沢出合になる。広い河原で東沢の左岸からゴーラ沢が出合う。両沢とも先に高い堰堤を懸け、沢を歩くのは難しそうだ。登山道は両沢の間の急な枝尾根を上がり檜洞丸に向かう。枝尾根の取付きには階段が付けられている。急登をこなして登山道の傾斜が緩む標高800mぐらいの辺りに、右手のゴーラ沢へ下がる踏み跡がある。踏み跡の入口は少し分かりにくいが、注意すれば分かるだろう。踏み跡は急傾斜を絶妙にトラバースしており、安全にゴーラ沢に立つことができる。すぐ堰堤があるが、ここは右岸を小さく巻ける。もうこの先には、厄介な堰堤はない。


ゴーラ沢出合 右からゴーラ沢が入る 正面は東沢の堰堤 その右手に登山道の階段が見える


ゴーラ沢に入渓するとすぐ堰堤 右岸から巻ける
ゴーロが続く 結構疲れる


 ゴーラ(強羅)沢は、その名の通りゴーロの沢である。標高850mの二俣で、右俣のヤビキ沢に入ってからも渓相は変わらない。少なくても990mの二俣まではゴーロ歩きに終始する。大きなナメは2箇所、その他に小さなナメが1箇所が現れるが、それ以外はゴーロだ。傾斜も結構あるのでセーブして歩かないと体力を消耗する。ただ、沢幅が広く花崗岩の河原が広がるので明るい。どこで休憩しても快適だ。


ひとつ目のナメ 短い 標高860m付近

ふたつ目のナメ 気持ちのよい登りになる 標高930m付近 ふたつ目のナメ上部


 990mで二俣になると、左俣には10mの滝が懸かっている。この右俣には大量のガレが押し出されている。この10m滝を登ろうとすれば、水線右だろうが、序盤でずぶ濡れになる。10m滝を左岸のバンドを伝って上がるとさらに3mほどの滝が連続しているのが見える。この3m滝の手前へも降りることができるが、そのまま左岸の枝尾根を上がればいっしょにこの滝も巻ける。場合によっては10mほどの補助ロープが必要になるかもしれないが難しいところはない。ここは、右岸を巻いているweb情報が多いが、どう巻くのだろうか。左岸の方が簡単に見える。10m、3mの連瀑の上には4m、さらに7m、4mの滝が見えたが、これは本番の楽しみにとっておこう。今日は、この高巻きを確認して入渓点へ戻ることにした。



左俣10+3m滝の上に4m滝が続く
990m二俣 左俣の10+3m滝 左岸から

この先には、7m滝と4mぐらいの滝が見える 左岸から 今日はここで引き返した


 ゴーラ沢、ヤビキ沢の河岸にビバークポイント(BP)はない。段丘は無く河原がすべてゴロタ石に埋め尽くされているからである。ただ、ツツジ新道を登山口から登って来てゴーラ沢出合に到着する直前にBPがある。登山道沿いだが、ここにはかなり広い平坦地だ。古びたトタン板が重ねてあるので、かつては小屋が建っていたのかも知れない。



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