2013.03.02 殺人ダニ2


 山へ出かけるときに、マダニ対策をするとすれば、何ができるのだろうか。山へ入れば、マダニはどこにでもいるので、どこで取り付かれてもおかしくない。ダニを完全にシャットアウトするのは難しい。とすれば、できるだけ刺されないように対策するしかないのだろう。沢を歩く者として、遡行時の対策を考えてみたい。

 ダニに刺された人なら分かるだろうが、ダニは、ハチのように突然怒りだして無茶苦茶に刺したりしない。どこからともなく衣服に入り込んで来て、体の柔らかい部分を静かに刺してくる。こういう習性からすれば、衣服の中に入り込んでくるのを防ぐのが効果的であると思う。沢を歩く者の多くは、沢靴に渓流スパッツを付けていることが多いので、足元からダニが侵入してくる余地は、まずないだろう。沢屋は夏でも長袖を着ていることが多いので、おのずとダニ対策になっている。だが、長袖を着てもそで口と首周りはダニの侵入口になる。ここを防がなければならないだろう。
 そで口は、手首のサポーターやゴムバンドで容易に締めることができる。そこにダニ忌避剤を使えば、ほとんど完璧に近い。残るは首周りだ。まずは首周りが広くない、状況によっては首元が閉められるジップアップタイプの着衣が良いと思う。首周りは、きつく締めることができれば、ダニの侵入もうまく防げると思うが、自分の首を絞めるわけにはいかないので、そう簡単ではない。できることといえば、ダニ忌避剤を軽く噴霧した手拭いを首に巻き付けるぐらいか。これでも完璧とはいえないが、相当の効果はあるだろう。ただ、活動して首周りが暖かくなってくると、忌避剤の蒸気の匂いが鼻につくという欠点がある。手拭いを首に巻くというのは、美観的にはおっさんスタイルになるので、女性は敬遠したくなるかもしれない。この、首周りの防備はまだまだ工夫の余地がある。
 ダニに刺されないもう一つの方法は、高巻きなどでヤブを歩いて休息したら、同行者に着衣の表面を見てもらうことだ。マダニは、イエダニと違い容易に目で見える。幼虫でも1mmぐらいはあるようなので、付いていればすぐ分かる。外観チェックは、最も有効な方法だと思う。ダニがいても、簡単にはらうことができる。そういう点では、単色で濃いウェアのほうが分かりやすいだろう。
 では、刺されたらどうするかだが、これは定石通りだろう。日本紅斑熱やツツガムシ病を心配していた今までと変わらない。山行後の数日から2週間の間に、発熱など風邪のような症状が出たら、皮膚科に相談するということに尽きる。また、「刺されたら皮膚科で取ってもらえ」という報道があるが、山中に入って数日過ごすような場合、そうはいかない。そういう場合は、次の記事が参考になる。長く山に入るときは、ワセリンを持参するというのも必要なのかもしれない。宴会用に持参した焼酎が役に立つかもしれない。

*もし自分の肌にダニが付着しているのを見つけたら、その上からたっぷりとワセリンを塗る。塗布後15分から20分ほどするとダニは窒息死し、体からポロリと抜け落ちます。
*ベンゼンかアルコールを含ませた脱脂綿をマダニの上にしばらく被せておき、その後、マダニを引っ張ると容易に外すことができます。


 もう一つ重要なのは、マダニを家に持ち込まないことだ。山行が終わった後に、衣服や靴をよく調べて見ること。付いたダニは、よく調べればたいがい分かる。居たら払い落とせばすぐ落ちる。背中は人に見てもらえば良い。ザックなど山道具を不用意に家内に持ち込まない、衣服の洗濯は別にするなどの注意もしておいた方が良いだろう。ダニは、水分の補給がなければ数日で死ぬとも言われている。
 今は、フタトゲチマダニが悪の根源のように言われているが、日本に棲むマダニは60種類に上るという。次の記事も参考にしたい。いずれ、このダニ騒動で様々な知見が報告されている。インターネットで調べられるので、「敵をよく知る」ために、情報を集め整理しておくことが大切だと思う。

 良く出る喩えだが、日本の交通事故死者は、4400人(2012年)と言われている。だからと言って外を歩くのをやめる人はいないだろう。まして、今回のダニによる感染症の症例は、ほんのわずかだ。過度に恐れる必要はない、というのが当面の結論だと思う。それにしては、対策をたくさんあげたと言われそうだが。

北海道、本州ではシュルツエマダニが、東北、関東中部ではヤマトマダニが、南西諸島ではタカサゴキララマダニが、九州から近畿にかけてはフタトゲチマダニが、中国地方ではタネガタマダニが多く報告されています。またもうひとつ大事なマダニのひとつがツツガムシで、主に東北、北陸地方に生息し、有名なツツガムシ病を引き起こします。



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