冠ヶ岳 箱根
2011年11月15日
高橋 他1名

稜線に実を付けたミヤマシキミ 深山樒









コースタイム
大涌谷11:30−冠ヶ岳13:00〜20−大涌谷14:30−姥子15:00

 あまりに天気が良いので、箱根の冠ヶ岳1409m(かんむりがたけ)へ出かけた。箱根では神山(かみやま)に次ぐ高さを誇る。両山とも、直径10kmにおよぶ箱根の外輪山のちょうど中央に位置する。西には大きな芦ノ湖がある。箱根の観光で有名な大涌谷(おおわくだに)は、この神山と冠ヶ岳の造山活動の産物と言われている。

 神山は何度か登ったが、冠ヶ岳は縦走路から外れているので歩いたことがない。大涌谷から見る冠ヶ岳は鋭い三角錐で、天を突いている。大涌谷側は絶壁に近い。
 平日にもかかわらず、大涌谷への道路が渋滞していたので、下の姥子(うばこ)に車を置いて、大涌谷までロープウェーを使った。大涌谷は、箱根観光のメッカで渋滞をものともせず、多くの人が集まってくる。観光の目玉は、地面から吹き出す亜硫酸ガスと黒玉子だ。他に何もない。この火山性ガスの噴出する大涌谷の上に、冠ヶ岳がある。

 大涌谷からちょうど北に美しい山並みがあった。どこだろう。もしかしたら奥秩父の山々かとも思った。だが、あとで調べると、そこは丹沢山塊であった。丹沢があんなに堂々とした山々に見えるものだろうか。丹沢を眺めるなら箱根が良い。あらためて惚れなおす山容であった。
 観光客の間をすり抜けるように、神山の登山口を目指す。登山道に入ると、硫黄の匂いが強くなる。ガスの噴出が活発になった時には、通行止めになったこともある登山道だが、最近は閉鎖されたことがない。ガスの濃度を検知して警報を出す仕組みになっているようだ。途中、警告灯と説明文があった。とはいえ、ガスの噴出は多い。しばらくは、ガスの匂いを嗅ぎながらの登りとなる。
 右手に、大涌谷にかぶるように冠ヶ岳がそびえている。登る後ろには、三国山、湖尻峠、丸岳、長尾山そして登山人気の高い金時山など、西の外輪山が連なって見える。金時山の南面は、特別に急峻である。山頂に何やら光るものが見える。山荘のガラスか何かだろう。外輪山の左手には威容な富士山が見える。残念ながら、冠雪した頂上は雲をかぶっている。

雲のかかった富士山と手前の箱根外輪山 ガスの上がる登山道を登リ始める 登る尾根が見える



噴出ガスの間を登山道が続く
噴煙の向こうに冠ヶ岳の姿


 ガスの中を登るにつれて冠ヶ岳は、先の尖った烏帽子に変わる。距離が近いので迫力がある。だが、あの頂上までは、神山〜早雲山の稜線に上がり、この稜線をしばらく登らなければならない。一時間半は掛かるだろう。登るうちに神山の背後から雲が湧き出し暖かな陽射しを閉ざした。
 稜線に上がると、登山道には霜柱が見える。左手、東側には明神ヶ岳、明星ヶ岳が陽の光を浴びている。東の外輪山だ。樹木が少ないので、きょうの山稜は暖かだろう。風がない。凍った山道を歩き、ペンキの禿げた小さな鳥居をくぐると正面に神山が見える。神山はその名の通り、神々の降臨する山として崇められてきた。芦ノ湖のほとりにある箱根神社は、この神山を祀っている。頂上は樹木が茂り、展望は良くない。だが、根強い登山人気があり、人々にはよく歩かれている。平日なのに神山から縦走してきた人に、何人もすれ違っている。



静かで落ち着いた尾根の道を上る
芸術的な枝ぶりに感心して空を仰ぐ

明神ヶ岳の尾根が陽を浴びて 向こうの山並みは丹沢山塊


 神山への山道を左に見て、いよいよ冠ヶ岳の山頂を目指す。数分登ると小さな社がある。高根神社だ。冠ヶ岳も神山と同じ信仰の山である。由来はわからない。ここではじめて、背後に青い海が開けるのに気づいた。どこだろう。箱根といえば山奥という観念に縛られている。海が見えるのを予期していなかったので、不意打ちを喰らった。同行者の口から出た「駿河湾!」を否定して、「相模灘!」と訂正した。足元におそらくは小田原の市街を見て、湾曲した海岸線に沿う鎌倉に至る市街を遠望しているのだろう。その先に三浦半島が伸びている。向こう50kmを見渡せる壮大な眺めだ。
 冠ヶ岳の頂上は、木々が茂り展望は良くない。さらに先に向かい急激に落ちる斜面の突端まで行けば、富士山の姿がやっと木の葉の落ちた枝々の間からのぞける。西の箱根外輪山が見える。そしてそこから戻る間に、さっき登ってきた神山〜早雲山のなだらかな尾根とその向こうに東の外輪山の明神ヶ岳がかなり低く見える。
 日は陰っていたが、風が無いおかげで、ゆったりとした気分で昼食を採ることができた。あとは、来た道を大涌谷まで下るだけだ。両毛国境の縦走で痛みのあった右膝は、以前と変わらない調子で重たい体重を支えてくれたのだった。


絶壁の突端で樹間から富士山をのぞく
冠ヶ岳への尾根を歩く やさしい草はらが現れた


登ってきた神山〜早雲山の尾根
相模灘を望む 小田原から三浦半島の海岸線


富士山の頂上をおおっていた雲が取れ始める
下山途中でやっと日が当たり始めた


 大涌谷から姥子まで歩くことにした。710円のロープウェーは高い。大涌谷は相変わらず人が多い。観光地に少なくなったという中国人だが、それでも多い。特に若い人が多い。この間、両毛国境縦走の帰路に寄った日光駅でもそうだったが。
 混雑を避けて、土産物屋を素通りして、湖尻へ向かう遊歩道に入る。姥子までは30分あれば下るだろう。歩道へ入ると、とたんに人がいなくなる。どの観光地もそうなのだろうか。バス停から100m離れると、もう人は居ない。ありがたい事だ。
 遊歩道は、もう時間的にも登ってくるものはない。のんびりと姥子への下りを歩いた。途中、紅葉が美しい。植えた樹ではないので、変化のある木々の色付きを楽しむことができた。冠ヶ岳付近の紅葉は終わっていたのだろう。目立った紅葉を認めることができなかった。下山途中の紅葉は、予想外の喜びだった。


姥子へ向かう遊歩道 ちょうど良く色付いていた 小さな葉の楓が多い


ロープウェー姥子駅 駐車場無料
黄色い葉が美しい なんという木なのかな 楓だとは思うが



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