両毛国境縦走2 足尾山塊
2012.11.04〜05 
高橋ほか、ウェクラ5名

ニゴリ沢左岸 モミジ尾根付近 11/4






  両毛国境縦走1


コースタイム
11月5日
カモシカ平6:58−釜五峰7:58−三俣山10:05−P1840m12:09−西ノ湖入口15:20

カモシカ平

 今日4日の泊場はカモシカ平だ。本隊は15分ほど遅れて登ってきた。メンバー4人と固い握手を交わした。これだけ正確な時刻に集中できるのは、運ばかりではない。まず、事前にルートの状況をみて、歩行の時間を予測する力が要求される。それには、グループの実力を正確に捉える力量が必要だ。登山中の休憩の取り方も効いてくるだろう。
 カモシカ平は、稜線の鞍部にある白砂の平坦地だ。4〜5人用テントなら3張りはいける。東に水平距離で30mほど下がった木の根から、こんこんと水が湧き出している。決して水量は多くないが十分な量だ。
 日が落ちると突然冷え込んできた。暖を取りながら食宴にしたが、なかなかに寒い。この地は、すでに冬である。午後7時頃には、ペットボトルの水が凍り始め、テントやザックにキラキラと氷露がついていた。朝方は、マイナス5度ぐらいにはなるだろう。
 予定最終日の明後日6日は、天候が崩れる予報だった。昨日降雪があったために、雪の付いている所も多い。錫ヶ岳から向こうは、凍りついた山道に好天でも難儀するという。私以外のメンバーにとって、ここはホームグランドだ。準備しておいたエスケープルートを使い、明日のうちに下山することにした。宿堂坊山の手前、1840m無名ピークの東尾根を下降することに決定した。かくれ滝の左岸尾根だ。ここは、三右衛門沢の二俣に挟まれた尾根ともいえる。
 ひと通り呑み、食べ終わると、早々にテントに潜り込んだ。朝方冷えて目が覚めないだろうか。

11月5日 曇のち晴れ
国境稜線をめぐる沢
 朝7時にカモシカ平を出発。歩き出せば寒さはない。空は薄い雲が被っているが、やがて予報通りの晴天になる。カモシカ平の西側は、泙川湯ノ沢の支流、鈴小屋沢右俣だ。湯ノ沢を一度は遡行してみたいと思っているが、いまだ果たせていない。
 丈の低い笹原を歩くと、やがて昨日歩いた松木川の全容が見える。大きなV字谷に白い河原が蛇行している。ウメコバ沢の大きな沢形を捉えることもできる。釜五峰の手前では、西側に武尊山そしてその左手奥には二週間前に歩いた谷川連峰が見えた。もうすっかり白くなっている。
 歩き始めてちょうど1時間で、見るからに険悪な釜五峰(1828m)になる。鋭い岩峰が連なっている。ここには、松木川釜ノ沢が突き上げる。稜線直下の急峻さからみて、釜ノ沢を遡るには、カモシカ平に詰め上げる左俣の方が安心だろうと思われた。この釜ノ沢の遡行記録は、増田氏の著作にも無い。

雲の下に昨日歩いた松木川が見える 分かりにくいが、右手の切れ込みがウメコバ沢 武尊山とその左手に白い谷川連峰が見える


釜五峰 この下は釜ノ沢の源頭
 
松木川源流 正面が丸石沢 右手がシナノキ沢 その上が庚申山




 主稜線から外れた釜五峰を見送り、ひと登りしてピークを下がると、顕著な鞍部(1750m)になる。ここは前小屋沢の源頭だと、大橋さんが教えてくれた。前小屋沢は泙川三俣沢の支流だ。その出合いの下流、ス沢出合の広河原にテントを張りス沢を遡下降したことを思い出す。シャクナゲの咲く頃だった。SさんとKさんが一緒だった。つい最近のようだ。
 この鞍部の東側には、松木川小足沢の左俣が突き上げている。源頭部は傾斜が緩いので、苦労せずに上がれるだろう。この左俣の記録も無いようだ。平凡な沢かも知れないが。いずれにしろ、小足沢を歩くときには、出合ゴルジュ20mの滝をどう越えるかだ。出合右岸の岩場を登って巻けるようだが、かなり厳しい高巻きのようだ。出合付近がおだやかな三沢をまず登り、小足沢との中間尾根の1170m鞍部を越えて小足沢へ入るという方法も面白いだろう。ここはけっこう急なので、ブッシュ頼りの登りになるかもしれない。だがそれよりも、まずは黒檜山へ突き上げる三沢を歩くべきだろう。ときどきに滝を懸ける穏やかな流れのようである。すでに書いたように、この出合は、ナメ滝が連続して美しい。



前小屋沢の源頭稜線から紅葉に燃える三俣沢を望む
左手が前小屋沢源頭 稜線の笹原を歩く

 そういえば、小さな岩場を登ったが、あれはどこだったかな。三俣山付近だと思ったが、確かな記憶が消えている。三俣山まではかなりの登りだ。三俣山の頂上付近で北西彼方に雪をかぶった笠ヶ岳が見える。これは、山崎さんが教えてくれた。
 三俣山の先は長い下りなので楽だ。頂上すぐ下は急な北斜面になるからだろう、一昨日降った雪が、かなり残っている。雪の上には、昨日歩いたと思われる登山者の足跡と、多くの獣の足跡があった。突然左手下の斜面に動くものが居たと、先頭の山崎さん、黒川さんがいう。「ワン」と唸りながら逃げていったというから、イヌ科の熊だろうということになった。雪上にさっきから熊の足跡と思しきものがあったのだ。姿が見えなくて残念。今年の日光のクマ出没情報は連日のようである。笛を鳴らしながら歩いているので、熊の姿を見たことがない。


手前稜線鞍部の先に見える笠ヶ岳
三俣山を登る途中から皇海山


三俣山北斜面 雪が残っている 陽が差してきた
三俣山頂上先の三俣付近を下る


 三俣山の北斜面を下がると左手に三俣沢スルノ沢、右手に三右衛門沢の源頭が見えてくる。両側とも丈の短い笹原に雪のかぶったゆるやかな斜面だった。スルノ沢は、泙川三俣沢大岩沢のアプローチとして使える。今年も、栃木県側から尾根越えで三俣沢に入り、大岩沢を遡行する計画を立てたが、けっきょく日光の混雑と重なるという理由で取り止めにした。春は九輪草の登山者の狂騒、秋は紅葉の観光客の熱狂によるものだ。この計画は、よくよく季節を選ばなければならない。
 西ノ湖から三右衛門沢をあがり、国境尾根を越えてスルノ沢を降り、三俣沢に入って泊る。次の日に大岩沢を遡行して主稜線経へ上がり、この稜線を宿堂坊山へ向かってネギト沢を日光側の柳沢川へ降りるのが良いだろう。そう無理ない行程で実現できるだろう。山崎さん達はすでに経験済みのようだが、ぜひ実現したいものだ。
 群馬県側の泙川から三俣沢へ入り、大岩沢を遡行するには、アプローチが長すぎる。ロートルには、一泊では苦しい。ス沢を歩いた時にこれは経験済みだ。


三俣山下降途中1790m付近 左手のスルノ沢の源頭 同地 右手の三右衛門沢源頭 どちらもゆるやかな斜面

陽が差す尾根は温かい


エスケープルート下山
 翌日の悪天を想定して、宿堂坊山の手前1km1840mの無名ピークから東の尾根にエスケープした。バスに乗る最短距離のようだ。大橋さんや山崎さんは歩いたことがあるという。この東尾根はエスケープルートとしては、十分な条件を備えている。とはいえ、目印も踏み跡も無いので、ルーファイできることが前提だ。かくれ滝の右岸上を通り、三右衛門沢の二俣へ至る。この二俣から、西ノ湖入口バス停までは1時間ほどだ。 この東尾根は、三右衛門沢二俣まで二時間掛かっているので、まあ苦労して降りた方だろう。ヤブは少ないが、シャクナゲの枝がからむところがあるので、なかなか労力を使う。どういう訳か、今日の歩き始めから右足の膝内側が痛く、歩くに従い痛みが増したので参った。踏み込む時でなく、脚を上げるときに痛むので不思議な気がした。何か内膝に油が切れている、そんな感じだった。この東尾根を下がるときには苦労した。
 この東尾根の標高
1400m辺りから左の沢へ下がったが、傾斜が急だった。ここだけは注意だ。補助ロープでもあると安心だろう。三右衛門沢の二俣まではすぐだ。



P1840mの東尾根を下り始める
下山途中で宿堂坊山東稜を望む 紅葉が美しい

三右衛門沢右岸を西ノ湖へ向かう 陽が傾いてきた



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