大行沢樋ノ沢2 二口山塊
2012.10.07 
SSC5名、ゲスト1名

釜の中には、すでに秋が







遡行図 (樋ノ沢)


  大行沢樋ノ沢1


コースタイム

10月7日
樋ノ沢避難小屋7:07−標高880m奥ノ二俣8:49−稜線登山道9:24−南面白山頂上10:3011:02−面白山高原駅12:40

プロローグ
 2009年の初夏に大行沢を出合から避難小屋まで完全遡行した。さわねの集中山行だった。この時の最も大きな記憶は、巨岩帯の「地獄」のような遡行だった。通過困難な巨岩帯は、白滝沢出合付近から二段12m大滝まで続く。距離は1km少しだが、ここに2時間もかかった。大岩や大釜に阻まれて、水流沿いが突破できないのでアップダウンが多い。体力を消耗した。二段12m大滝で、不注意でロープを流してしまったのは、今思えば、この体力消耗と無関係ではなかったように思う。
 穴戸沢の源頭部で迷った別働隊が、集中場所の避難小屋に着いたのは、確か夜8時を過ぎた頃だったと思う。焚き火を燃やしながらも、不安な思いで到着を待った。遠くから声が聞こえ、ヘッドランプの光が見えた時は、避難小屋の前がフラッシュを焚いたように突然明るくなったのを記憶している。
 避難小屋の上にも沢は続く。大行沢に続く本流は樋ノ沢(とよのさわ)だ。樋ノ沢の名は、避難小屋裏の樋状の流れに由来するものと思う。静かなブナの林に囲まれたこの流れの先には、どんな渓が待ち受けているのだろうか。三年前にそう思った。その宿題を今回果たそうという訳である。
 その時とは、メンバーが変わっている。時の流れを感じない訳にはいかない。何も変わらないように見えても、刻々と事態は変わり、後戻りできない。ゲストのKさんを含め合計6名の参加だった。会としては今年最後の山行ということもあったのだろう。多くの参加者があった。ただ、会も永続的なものではない。主要なメンバーが降りれば、たちどころに会は崩壊するだろう。そういう危うい関係の中にある。ただ、そういう集まりだからこそ、互いの結びつきは強くなるともいえる。明日のことは分からない。当然、来年のことなど分かろうはずもない。今年の遡行仲間に感謝。ともかく、これで今年は終わりだ。安堵感があるのは何故なのだろう。

樋ノ沢
 避難小屋の横を通って小東岳(こあずまだけ)へ向かう登山道が、沢を渡るところに樋状の流れがある。樋ノ沢とはいっても、トイ状の流れは多くない。ここの他に一箇所ほど見られる程度だ。大行沢は、両門の滝でハダカゾウキ沢と樋ノ沢を分ける。この先の樋ノ沢の流れはこじんまりしてくる。両岸はほとんどがブナではないかと思うほどの林である。細めのブナがすくっと立っているのが、この渓の特徴だろうか。谷が浅いので谷筋は明るい。両岸の緑が近くによく見える。流れは右へ左へ曲り、ナメ床を造る。その形は様々に変わる。時に小さな滝をかけ、時には釜が穿たれ、時には段状の小滝が連なり、トイ状の流れを造る。驚くほどに魚影は濃い。標高840m付近だけに見られる灰青色のナメ床には、色彩の美しさがある。樋ノ沢には流木が少ない。これがこの沢をすっきり美しく見せている理由の一つだろうと思う。
 標高860m付近で右から水の多い沢が入る。この支沢Aは、本流と同じ方向の北へ少し上がり、その先で東へ大きく曲がっていくようである。この支沢Aの出合を過ぎるとじきに左から支沢Bが入る。その先でさらに左から2mほどのナメ滝で支沢Cが入る。この支沢Cは、南面白山の頂上へ向かっている沢だろう。支沢Cの出合は、地形図の標高880m付近である。ここを奥ノ二俣と呼んでおこう。奥の二俣を流れの低い右俣へ、北東へ入る。
 地形図を見ると支沢AとBが本流にほぼ同じ位置・870m付近で合流して三俣を形成しているように見える。だが、地形図を仔細に見れば、支沢Aはその位置よりも少し下流側で本流に出合うことが分かる。つまり、支沢Bの出合は三俣ではなく二俣である。ここを三俣と捉えると、現地で頭を悩ますことになる。


避難小屋裏の樋状の流れから歩く
穏やかな流れが始まる


平ナメが出てきたり 遠くに大きめのナメ滝が
小滝があったり釜があったり


釜に入って取り付く滝 周りはブナ
ナメ滝がでてきた

トイ状の流れを滑らないように 四ツ釜が見えてくる 四ツ釜の上部 巻いた所も


灰青色のナメ床はここだけ 色が美しい
850m付近の灰青色のナメ床


詰めと下山
 樋ノ沢は流れが穏やかなせいで、通過の難しい滝はない。奥の二俣を過ぎ、稜線に近くなる辺りで6mほどの滝がある程度だ。ここは、右をへつり、流れをまたいで登ることができる。フリクションが利く。この滝から五分ほど歩くと、左から5m滝でわずかに水を落とす枝沢がある。ここを上がれば、最も早く稜線鞍部に出られるはずだ。
 滝の少し先から巻いてこの枝沢へ入り、詰める。この枝沢もすぐに笹が覆うようになるので、枝沢から外れてヤブの薄いところを求めて稜線をめざす。7分ほどのヤブこぎで稜線の登山道に出た。ヤブと入っても、密度が薄いので苦労はない。

 南面白山までは、急な上りだ。沢を歩いて来た脚にはつらい。稜線へ詰めたところから1時間ぐらいだ。高度を上げると、大東岳を望めるようになる。だが、今日はガスが懸っている。真近に稜線がわずかに見える。晴れていれば、頂上が見えるのだろう。南面白山の頂上は、そう広くない。元スキー場の方から登ってきた人々と我々で、すぐいっぱいになった。下山中にも登ってくる人がいたので、この山はよく登られているようだ。それにしても、何も見えないというのは残念。


奥の二俣の上にある6m滝 フリクションが利く
ブナが林立する静かな森 こんな上にも魚影が走る


標高920m上で稜線の北を目指す
6m滝 上から

細めのブナがすくっと立つ ヤブを抜けて稜線へ 稜線の登山道を南面白山へ


登山道の途中から見た大東岳 ガスがある
南面白山の頂上からブナの森を下る

こんな雰囲気もあるが、険しい礫岩の下りもある 結構大きな元スキー場のゲレンデを下る



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