2012.03.01 今シーズンの沢


 まだまだ、雪山やスキーのシーズンが続いている。だが、毎年この時季になると、どことなく春めいてくるので、今シーズンの沢の遡行を考えてみたくなる。毎年思うのだが、遡行する沢を選定するのは、なかなか難しい。歩いてみたい沢が無いというわけではない。日本登山大系などひもとくと、データの掲載された沢の記録はおびただしい。それを片端から見ていくと、多すぎて、気持が悪くなるぐらいである。あまりに数が多くて収集がつかなくなるからだろう。よくもまあこんなに、歩きに歩いたものだと思う。いずれにしても、市販のガイド本をたよりに遡行対象を探るよりは、はるかに広い世界が開けてくる。
  遡行する沢を選定するのが難しい理由は、自分に沢を歩く体力と技能が足りないからである。遡行に時間がかかったり、登れそうに無い滝が多くあると、遡行の対象から外さざるを得ない。何泊もかかって歩かなければならない沢や、大高巻が繰り返されるような沢は、自分には難しい。かといって、あまりに簡単に歩ける沢では、歩く面白さが無い。沢は、自分にとって難しすぎても簡単すぎてもいけない。適度な難しさを持っていながら、自分にも何とか歩き通せると思われる沢が、最も好ましい。これだけなら良いのだが、自分の沢の好みやアプローチや下山の長さなどを考えると、最終候補に残るのは、ほんの僅かである。
 雪の多い地域の沢はいつまでも雪渓が残るので、8月、9月辺りがシーズンになるだろう。このハイシーズンに歩こうとする沢の対象は、結構多く探すことができる。だが、ハイシーズンの期間は短い。実際に登れる沢の数は限られてしまう。月に二回遡行しても、せいぜい年に4本ぐらいだろう。候補はいくらでも探せるが、実施できる遡行は限られてしまう、というのがハイシーズンの渓である。
 遡行する沢を探す上で難しいのは、このハイシーズではなく、春と秋の沢である。とりわけ、シーズンの始まる4月、5月の沢が難しい。残雪の多い山々の谷を避けると、東京周辺で言えば、いきおい奥多摩や丹沢ということになる。だが、この地域の沢では、自分の好みの沢がとっくに歩かれている場合が多い。そして、4月、5月といえば、まだ水に濡れたくない時季なので、そういう制約も加わってしまう。仔細に調べても、なかなか思いの沢には至らないケースが多い。何度か歩いたコースを再び歩くか、思い切って難しい谷に挑戦するか。だが、シーズン初めとなれば、難しい沢を選ぶ気持もなかなか起きてこない。

 まあ、こんな贅沢な選び方をして、今シーズン歩きたい沢の候補に残ったのは、次のような沢である。必ずしもこれらの沢を歩くと決めたわけではないが、まずはこれらの沢を検討した上で、歩く沢を決めていきたいと思う。結局どこかで聞いたような沢が多くなってしまったが、自分の実力からして、それも仕方のないことだろう。選外は、いろいろ検討してみたが、結局候補から落とした沢である。
 米子沢や産女川は、ぜひ歩いてみるべき谷として改めて思ったが、どちらも災害によって魅力的な谷の一部が埋まっている。割引沢三ー沢、磐井川本流は、これらの沢の代わりに選定したが、磐井川本流は、やや魅力が薄いのでふるい落とした。恋ノ岐川の評判は高いが、思いのほか退屈な可能性がある。アプローチや下山を考えると、選定できなかった。南アの細沢、北沢は、間ノ岳に登る沢筋のバリエーションルートとして魅力はあるが、沢登りとしての面白さが足りない。大井川東俣をのんびり歩くのも面白そうだ。だが、やはり沢登りとしての面白さは少ないと考える。これは、考え方にもよるだろう。尿前沢は、魅力的な沢だが自分の力量では、とても登れる沢でない。小常木谷は、なかなか面白そうな沢だが、やはり自分には難しい。登攀力のしっかりした人がリードすれば歩ける沢だはと思う。

4〜5月:雷木沢(西丹沢室窪沢)、ヤビキ沢(西丹沢東沢)、女郎小屋沢(西丹沢玄倉川)、大常木谷、小田倉沢〜津室沢、ヤチキ沢(南ア濁川)
6〜7月:大岩沢(泙川)、豆焼沢、石筵川(安達太良)、笹木沢(船形連峰)、大蛇尾川
8〜10月:双六谷打込谷、赤木沢、赤薙沢袋沢( 南ア濁川 )、葛根田川北ノ又沢、割引沢三ー沢(巻機山)、小松原沢(二口山塊)
選外:細沢、北沢(南ア野呂川)、恋ノ岐川、米子沢、小常木谷、産女川、大井川東俣、尿前沢、磐井川本流など



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