奥沼津アルプス 日守山(大嵐山)〜大平山

2012年2月11日
高橋


沼津アルプス遠望  中央の最高峰が鷲頭山、その右手の高い山が大平山  2010.04.29



コースタイム
日守山公園登山口9:42−日守山10:02−新城/大平山の分岐10:53−大平山11:31−多比口峠11:38−多比口12:00



 天気が良さそうだったので、伊豆中央道の江間トンネルの上に位置する日守山へ登り、そのあと大平山へ縦走した。ここは、先週歩いた「沼津アルプス」の東に位置する。今では「奥沼津アルプス」と呼ばれているようだ。アルプスと呼ぶにはちょっと気恥ずかしいような里山だが、冬のトレーニングには良い。「沼津アルプス」をwebで検索すると多量の情報が検索される。これは、岩崎元郎さんが、「新日本百名山」のひとつとして選定したためだというが、仔細は分らない。槍ヶ岳や赤石岳などとともに選定されているのには、なにか違和感がある。
 最近は「沼津アルプス」ばかりでなく、「奥沼津アルプス」の情報もかなり多い。以前、「奥」は、あまりメジャーではなかったように思うが、ここのところ、結構な人気のようだ。「新日本百名山」が影響しているのかも知れない。旅行会社の奥沼津アルプス・ツアーもあるようだから、おどろきである。参加料14,800円などというものもあるので、本当に良いのかな、と思ってしまう。勢いというのは怖いものである。沼津アルプスは、なかなかの山だと思うが、奥沼津アルプスは、遠方からやって来てわざわざ登る山ではないと思う。このような里山は、日本中いたるところにあると思われるからだ。沼津アルプスと繋げて登るなら分かるが、「奥」だけをツアーするというのは、よしたほうが良いだろう。

 さて、アルプスという勇ましい名前に振り回されてしまったが、日守山〜大平山の話しに戻ろう。日守山は、ちょうど伊豆中央道の北の入り口にあたる江間トンネルの上にある。200m足らずの山だが、なかなか良い山だ。地形図では大嵐山となっているが、地元では日守山と呼んでいる。30分と掛からずに登れてしまう小さな山だが、登山口には駐車場やトイレが整備されている。登山道も、地元の人が手入れをしているらしく、きっちりと整えられている。地元の人の遊ぶ裏山として整備されているようである。頂上付近は広い草地になっている。そう言えば、頂上には大きな滑り台もあった。子供たちが遊ぶのだろう。登山の途中には富士山を展望できる場所がある。眼下には、蛇行する狩野川(かのがわ)を見下ろすことができる。頂上からの展望もなかなか素晴らしい。だが、海側の展望は無い。これは、大平山へ至るまで同じである。沼津アルプスは、駿河湾を望みながらの特別の登山になるが、「奥」には、それが全く欠けている。大平山から日守山へ向かう稜線は、内陸に向かって入り込んでいるからである。これが、遠くから来て登る山でないと思うおもな理由である。

日守山に登る途中から富士山方面を望む 雲がかかっている


沼津方面を望む 今日は富士山は見えない 三島方面を望む 前方は箱根の山だろう 田方平野


 日守山の頂上付近はしっかりした柵で囲われている。大平山への縦走は、南側の柵を乗り越えて踏み跡に入る。標高100mのコルまで急な斜面を南西に一気に下る。しっかりした踏み跡がある。ここも手入れがされている。コルには、石を切り出した跡地があった。いつごろなのだろうか、そう古いことではないだろう。石の切り出し面がきれいに残っている。このコルからは、しばらく緩やかな上りになる。いやにアオキが目立つ。冬枯れのヤブの中で青い葉を見せるのは、ことごとくアオキのようにみえる。ちょうど時期なのだろう。赤い実をいっぱい付けている。ときどきヤブの間から、伊豆中央道や狩野川が見え、生活の音が足元から聞こえてくる。登山道の背後には、ときに田方平野が開けて見える時がある。

標高100mのコルから 緩やかな登りを歩く 緑の枝はたいがいアオキ


アオキが多い 赤い実をつけている


 登山道を整備したのだろう。気になるのは、道沿いに生えていたはずの潅木が、やたらと切断されていることである。道の真中に太い切り株もある。人の通る邪魔になるとの判断だろうが、人が回れば済むことである。切り株の具合から見て、最近のようだ。地元の山の愛好家がここまでやるかな、という感じである。チェーンソーを持った旅行社の整備係の姿をそこに見てしまうのは、私だけだろうか。登山道を整備してくれるのはありがたいが、どこまで整備するかというのは、かなりむずかしい。行き過ぎた手入れの跡を見てしまうと、そこは登るに足りない山に思えてしまう。これは、途中のどうみても不要と思われる固定ロープの類もそうである。

枝が切られた樹木 必ずしも要らない枝落としが

 緩やかな登りをこなした後の219mピークからは、植生が変わる。なぜなのかは分からない。あえて言えば、斜面がそれまでの東向きの斜面が西向きに変わるということだが。それまで、登山道の周辺を占領していたアオキの姿が消え、葉を落としたクヌギの類や葉の小さな照葉樹が多くなる。登山道がいっぺんに明るくなった。219mピークを下がり、少し登り返すと標高200mで分岐になる。北の尾根を下がると「新城」とある。大平山へは西へ向かう。

219mピークからは植生が変わる 木の葉の落ちたクヌギなどが現れる


標高200mの分岐 分岐にはこんな親切な標識が 分岐から大平山のピークが見える


 5分ほど歩くとおにぎりのような形をした大きな岩がたくさん現れてくる。ここから、大平山手前のコル(標高300m)までの短い区間が、「奥沼津アルプス」の核心部である。だが、残念なことに、この「奥」をバリエーションルートからツアー向け登山道にするために過剰な整備がされている。りっぱなアルミのはしごが、幾つも立てかけてある。手軽にこの核心部を通過するにはアルミのはしごはありがたい。だが、このルートの魅力を失わせているのもアルミのはしごである。どこまで整備するかというのは、かなりむずかしい。ツアー向け「登山」には、はしごが必要だが、バリエーションを楽しもうとする者には、はしごは不要である。これは、もうどちらとも言えない。どちらに基準を置くかによって、判断は変わってくる。だが、少なくても現在は、ツアー派が勝利しているということだろう。と、はしごを利用した者が言うことではないだろうが。まあ、この辺りを、固定ロープやはしごを使わないで歩くのも面白いと思う。落ちても知らないけど。

おにぎりの様な岩が現れてくる 岩場となり要所にアルミばしごが付いている 難しい下りや登りにはトラロープが


次々に現れるおにぎり岩 おにぎり岩を縫って 左手に断崖もあったが


核心部を抜けるとこれから登る大平山が見える この岩の上は一休みするのにちょうど良い


 「沼津アルプス」は、駿河湾から直に山が迫り上がっているという風である。その内陸部の大平地区は、米どころだ。まだ沼津アルプスなどという洒落た名前のついていない頃、峠という峠には、海と陸の集落を結ぶ峠道があったようである。互いの交易路としたのだろう。今では使われなくなった多くの交易路が、登山道として使われている。この峠道を使えば、この片田舎のアルプスも自由自在にルート取りができる。ただし、この峠道を使うのは、登山ツアーの人々ではなく、地元の愛好家だけだろう。
 「奥沼津アルプス」の核心部を過ぎて、大平山の急登が始まる手前には、山口の集落へ降りる峠道がある。大平山を降りた先の多比口峠には、内陸部の多比口と海岸の多比を結ぶ峠道がある。大平山への急登を息を切らせて登った後は、この多比口峠を内陸側に降りて今日の登山を終了した。天気予報では、良い天気のはずだったが、雲の多い曇りがちの天気であった。やっと晴れ間が出てきたのは、山を降りたあとだった。とはいえ、風も少なく、暖かい日だった。まずは満足な「奥沼津アルプス」の初登であった。
 日守山の登山口に車を置いて、日守山登山口〜日守山〜大平山〜多比口峠〜多比口〜日守山登山口を周回するのに、3〜4時間ぐらいだろう。



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