1011.12.24 沢登りの道具**ロープとピンソール**


 沢登りの道具といっても、長いこと沢を歩いている人の道具は、いろいろらしい。宇都宮渓流会の瀬畑雄三さんは、ナイロンのタープを持たずに、ブルーシートを愛用しているらしい。そんな重くてかさばるものを何で、などと私は思う。瀬畑さんの沢を歩くスタイルを見ていると、今の自分のスタイルの来歴が分かる気がする。瀬畑さんは、ヘルメットも被らず、脚絆も付けていない。まして、ネオプレンのスパッツなど。そしてハーネスも付けていない。もちろん、彼が釣りのために渓へ入っていることは知っている。だが、沢を歩くわれわれとの共通点は多いはずなのだが。丹沢の仙人、マシラは、渓流シューズではなく、運動靴で歩いているらしい。彼の文章を見ていると、ロープを持っていないようだし、ザックも持っていないようである。とすれば、ハーネスも、もしかしたらカラビナも持っていないかも知れない。私は、マシラに会ったことが無いので、本当のことは分らないが。
 沢登りの道具について書きたいと思ったのだが、まずこのように、自分たちのスタイルと異なる先人を見れば、何がしかの参考にはなるだろう。人間は保守的だということである。自分の経験によって得た装備をそう簡単に変えようとしない。というより、必要に迫られない限り、変える必要もないということだろう。とすれば、自分の沢スタイルを見てみれば、その来歴が分かる、ということでもある。ヘルメットに、ハーネスにカラビナにロープ。そして、ときにはハーケン、ハンマーを持ち込むとすれば、どこから見てもこれは、西欧的なクライミングのスタイルではなかろうか。日本型の登山のスタイルと一時もてはやされた「沢登り」も、今では西欧的クライミングの亜流でしか無いことに気づかされるのである。まあ、それがどうだ、という訳ではないけれども。だが、例えば、丹沢の葛葉川本谷や、この間歩いたばかりの奥多摩の真名井沢などの初級の沢で、ヘルメットやハーネスやカラビナというガチガチのスタイルは、最近何だか大げさな気がするときがある。そう思はないひとがあるとすれば、そういう自分のスタイルに慣れてしまっているからだろう。
 初級から中級の沢しか歩かない私は、8mm−30mのロープと、7mm−12mの補助ロープを持ち歩くことが多い。補助ロープを持つようになってからは、30mロープを使うことは殆ど無い。たいがい12mロープで間に合ってしまう。5〜6mの滝の場合は、セカンドの確保ができるし、クライミングダウンするのが怖いような斜面は、12mのロープがあれば、ブッシュをつないでたいがいのところは降りられる。特に単独で歩く場合は、扱いに時間の懸かる30mロープはまず使わない。使うとすれば、高巻きの時の懸垂の時ぐらいだろう。それなら、補助ロープを二本持って歩けば足りる。最近はそう思っている。だがこれもどの程度の沢を歩くかによって、変わってくることだろう。10〜20mぐらいの滝を幾つも登る場合には、30mは必携だろう。とまあ、こんなことを考えながらも、万が一のために、重い30mロープを完全にやめるには至っていない。自分も人並みに保守的だということだろう。ちなみに、瀬畑氏はロープの代わりに10m、15m、20mのテープを使い分けているという。テープだとつなぐのも簡単だし。

ピンソール 靴の裏にセットして滑り止めに


 ピンソールという便利なものがある。渓流シューズは、もともと靴底が平らなフェルトなので、濡れた泥壁を登ったりするのは苦手だ。下山道が粘土質で濡れている時や乾いた落ち葉が積もる時にも滑りやすい。こういう時に、渓流シューズに取り付ける滑り止めが、ピンソールだ。タイヤのチェーンだと思えばいい。なかなか優れた性能を持っているらしい。われわれの仲間も、この沢登りの道具をもっているが、その値段が結構高い。8000円ほどするようだ。手にとって見ると、エッこれが、というようなものである。私のような年金生活者には、なかなか手が出ない。ところが最近、これに類するグッズを探し当てることができた。3500円で買えるようなので、一度効果を確かめてみたいと思う。
 古いもの好きな瀬畑氏も先のピンソールを持っているようだ。これは、ちょっと驚きである。それだけ効果があるということなのだろう。瀬畑氏の評によれば、「山道でピンソールを使うとフェルトの減りが少なくなる」とある。私も、渓流シューズは結構使う方だ。一年で渓流シューズ二足半は、履きつぶす。この効果が大きければ、十分元が取れる気がするがどうだろうか。どのみち、沢登りの道具などは、本来様々に工夫して我がものにしていくものだろう。前にもどこかで書いたと思うが、最近の日曜大工センターは、沢登りの道具を工夫する宝庫である。ひとつだけいえば、掌に滑り止めのついた作業用手袋は、指先を切り落としてほつれ対策をすれば、優れた渓流グローブになる。千円ぐらいで良いものができ、二シーズンぐらいは使える。



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