マスキ嵐沢 西丹沢大滝沢

紅葉の大滝沢沿いの山道を歩く

2011年11月21日
高橋



遡行図  なし







 あまりに天気が良いので、丹沢へ出掛けることにした。先週ジョーさんと歩いた西丹沢にした。自宅から西丹沢は比較的近い。西丹沢には中川川が流れているが、その流れには、沢登りの楽しめる多くの支流がある。だが、比較的難しい登攀的な沢が多いので、自分が歩いた沢は限られている。悪沢、マスキ嵐沢、鬼石沢、モロクボ沢(室窪沢)、水晶沢、そして先週歩いた下棚沢である。この他、魅力的に見える沢がいくつかある。イデイリ沢や箱根屋沢などである。丹沢の仙人、マシラの遡行記録によれば、中川川上流、白石沢の源流域には、なかなか面白そうな沢が幾つかあるようだ。いつか歩いてみたいと思っている。
 西丹沢の沢は、歩いてみた限りでは大方似かよった渓相をしている。白い花崗岩のスラブと白砂によってできた沢床、ゴーロには大小の白い岩が転がっている。滝は、花崗岩のスラブ滝が多く、陽の当たりにくい場所では、茶色い苔が付き良く滑る。水流に磨かれていないスラブの表面は、ザラメのような白砂がこぼれる。風化によって岩の表面が崩壊するのだろう。西丹沢で見られる花崗岩は、石英閃緑岩(せきえいせんりょくがん)と言うのが正確な名称のようだ。この岩は、侵食によってスラブになりやすいという。
 今回は突然の遡行なので、経験のあるマスキ嵐沢にした。マスキ嵐沢は、単独で沢を始めた頃に何度か行っている。この沢は、中川川の支流としても大きな大滝沢の枝沢である。この沢は、初級とも中級とも言われる微妙な沢だが、登攀的要素のある沢なので、初級者は結構緊張して歩くことになるだろう。事実自分もそうだったのである。今回は、数日前の大雨のお陰でやや難度は増していた。だが、普段のマスキ嵐沢では見られない水量あふれる豪快な滝と見事なナメの歩行を体験することができた。これは収穫だった。この沢の大滝12m、その先の6m滝も今まで見たこともない多量の水を落とし、みごとだった。
 マスキ嵐沢は、何度も歩いた沢だが、歩くたびにその魅力は増すように思われる。なぜ、この小さな沢にそんな魅力が備わっているのか、不思議な気もする。だが、事実そう思うのだから仕方が無い。最大の理由は、この沢が変化に富んだ沢のためだろう。入渓早々に現れる4m滝と優しいナメの伸長。このナメの先では緩傾斜のスラブ滝が急激に左折し、釜のある小滝が二つ続く。その先で、沢幅いっぱいに三段6mスラブ滝が懸り、奔放に水を落としている。ここで沢は右へ旋回する。出だしからこの沢は変化に富んでいる。決して難しい登りではないが、頭をフルに回転して、ルートを選択しなければならない。今回は、たまたま水量が多いためにその魅力が際立ったということがあるだろうが。中流部に現れる穏やかなナメやゴーロも心洗われる風景である。遠近法を駆使した絵画のように、直線に伸びるゴーロの情景に、色付いた黄葉がアクセントを添えている。それにしてもこの暖かさは何なのだろう。11月の末にしては、異常に暖かい。
 水量が多いために難度の上がった滝を記しておこう。まず、大滝12mの少し手前にある5mトイ状滝である。この滝は浅いV字滝中央のトイに水が流れている。いつもは、この水流に足を入れて簡単に登れるのだが、今日はヒョングリを打つほどに水勢が強い。やむを得ず滑りやすい水流右を登った。右手のブッシュまで右斜面を登り、そのあとブッシュを掴んで一旦水流際へ降りた。ここはややバランスが難しい。そこからホールドを拾って落ち口を越えることができた。よく見ると、水流左も登れそうだった。(この滝の写真は撮らないでしまった。)大滝12m先の6m滝も水勢強く、やや難しいルートをとらなければならなかった。
  なお、今回は880mの二俣を左へ入ってみた。ガイドで紹介しているルートは右俣であるが、少しだけ冒険しようという訳である。おそらくそう歩いた者は無いだろう。踏み跡も見つからなかった。沢を歩くということは、もともと標識のない道のないルートを手探りで歩くことだろう。だが、今では、遡行図やweb情報を頼りに歩くと相場が決まっている。決められたルートを決められたように歩く。うーん、情けないな。と思った。左俣は、小ぶりだが美しいV字谷があった。緑の岩苔に色付いた葉の落ちる谷は、なかなかに情緒がある。905mの二俣を右へ入り、忠実に本流を詰めると、6m、4mの涸滝を経て、稜線直下でスラブのルンゼになる。6m涸滝は右を巻いた。




大滝沢沿いの山道を歩くと大滝が見えてくる



入渓早々前方に4m滝が現れる

ナメの先に緩傾斜の4m滝 滑る
緩傾斜4m滝の前方に3m滝 変化に富んでいる


幅広の滝が三段 先には紅葉 長いナメの先に高い滝(6m)が見える


マスキ嵐沢の盟主12m 前衛の滝3m、2m(写真手前)を従えている。初段は右手に上がるバンドを登る。滑り易い。さらに水流へ向かってバンドを上がり、弱点を二段上がれば落ち口に立てる。滝手前、左のルンゼを登った形跡があるが、下から見るよりもルンゼの傾斜は強い難しいだろう。


大滝12m先にある6m滝 水量が多いので水流沿いが登れない 水流右をまっすぐに登った 取り付きのホールドが細かい 左記6m滝の先 小滝の先に大きな滝が見える


この大きな滝は6m 右手から上がった 4m滝 バンドを使って落ち口へ 800m付近


4m滝上はナメが広がる 840m二俣上のゴーロ 両岸が美しい 880m二俣手前


880mをあえて左俣へ 美しいV字谷が V字谷の岩床 広がるナメのところもあって


905mの二俣を右へ入り沢形を詰める
と6mスラブ涸滝 右を巻いた
さらに詰めると凅滝4m 正面を上がった


最後までスラブ 主稜線が見える スラブのルンゼを登れるだけ登って左の枝尾根に逃げた




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