2011.10.29 箱根散歩


 あまりに天気が良いので、箱根を散歩することにした。前にも書いたが、わが家は箱根に近い。今日はこんな天気だし、きっと混み合うのだろうなと思って、箱根峠、元箱根を過ぎて湖尻へ向かった。湖尻というのは芦ノ湖の北に位置するところである。なぜ湖の北側がお尻なのか、誰かに聞いてみたい気もするが、今のところはわからない。湖尻のさらに北の位置に桃源台がある。桃源台は、強羅方面から大涌谷を経由してケーブルカーが到着する駅である。
 今日の散歩コースは、湖尻から北東へ向かい、姥子温泉を経由して噴煙上がる大涌谷を目指すルートである。ところで、最近の箱根の道路は混雑しなくてうれしい。寂しいぐらいだ。「最近の」とは言っても、比較している年代は1970〜80年代である。今年の大震災前後の話をしているのではないので、誤解しないでほしい。1971年に沼津へ出てきて、そのうち三島に住んで伊豆や箱根へよく出掛けた。だが、あまりに車の混雑がひどいので、近くの人間は、伊豆や箱根へ出かけなくなってしまった。最近沼津ICから東駿河湾環状道路が開通したが、この道路の建設理由が、伊豆の道路の混雑緩和だった。混雑期から、もう30年以上も過ぎて、伊豆も箱根も混雑しなくなってしまった。あまりに遅くできた道路である。しかも、開通区間はまだ半分だという。
 ところで、伊豆や箱根が混雑しなくなった理由は何なんだろう、と思ってみると、思い浮かぶのは、海外旅行である。熱海、伊豆、箱根などというと、ちょいとした旅行のメッカだったのだろうが、いまは誰も振り向きもしない。それもそのはず、当時360円/ドルだった為替レートが、今や76円/ドルである。約5倍の円の価値だ。当時の海外旅行は、お金持ちかビジネスエリートの占有物だったのだが・・・。
 さて、昔話はこの辺までにしよう。昔話が分かるのは年寄りしかいないのだから。とにかく、おかげで静かな箱根を歩くことが出来るということだ。だが、確かに静かでいいのだが、少し寂しい。湖尻に車を置いて歩くとすぐ別荘地だ。箱根の別荘地と言えば昔は大したものだったろうが、いまや廃屋と草ぼうぼうの世界である。大手企業の保養所がかろうじて経営を維持している、といった具合だ。今なら、こんなうら寂しい所を買うのもいいな、そう思ってしまう。イノシシの出没する二束三文の荒地なのだから。
 昭文社の登山地図を持って歩いたが、その登山道がない。というよりか、道はかろうじてあるのだが、標識が全くない。今は誰も歩かないのだろう。歩道が全く手入れがされていない。荒れるに任せている。整備してもペイしないのだろう。見事に経済の原理が貫徹されている。地図の発行は、1994年のものだから、まだ20年経っていない。歴史が変わるのは思いのほか早い、ということだろうか。

 誰も歩かない歩道をあるいて、それでも何とか歩道を探しながら姥子温泉に着いた。ここまで誰にも遭わなかった。そういえば、途中、硫化水素の強い臭いがしていた。ここは、名前は聞いていたが、本当に小さな温泉宿が一軒あるだけだ。知る人ぞ知る温泉なのだろう。車が結構止まっている。小さな池の隅からも温泉が湧いているように見える。湯気が出ている。池に手を入れると温かい。足湯でも漬かりたい気分だったがやめた。
 姥子温泉の先で、湖尻からと桃源台からの歩道が一緒になり、大涌谷までやっとまともな歩道になった。とはいえ、階段なのでなかなか体力を使う。大涌谷の噴煙が見えるようになると、近くの沢からも硫化水素の匂いがきつくなる。大涌谷は、観光の名所だ。歩いてきた歩道とは全く違う世界が現れる。突然地方都市の繁華街へ出てしまったような雰囲気である。人人人、地獄谷の黒い卵を食べに全国からと言うよりは、世界から人が集まっている。誰も歩かない歩道とごった返す大涌谷周遊路、このコントラストは強烈だ。持って来たおにぎりを食べ始めると、インド人と思しき衣装の人達が現れた。向こうで写真をとっているカップルは、たぶん中国人だ。日本人とは、わずかに服装が違うのでそれと分かる。温泉で茹でた黒い卵をみんなが食べるので、休憩所は卵の殻でいっぱいだ。長居はよそう、そそくさと下山にかかることにした。

今は昔 草だらけの高級別荘地を歩く 少し歩くと歩道も荒れ放題


姥子温泉の池 湯気が立っているのが見える 天気が良いので緑も美しく見える


なかなかいい雰囲気の歩道を歩いて 大涌谷の噴煙が見えてきた その向こうは冠ヶ岳


歩道近くの河原もガスが出ている 硫化水素 ついつい撮ってしまう富士山



芦ノ湖の見える桃源台に着いた
また歩道を戻って


 家に着いたら、頼んでおいた12mロープとクイックドローが届いていた。ロープは、西黒沢の逆層10mの滝の高巻きで置いてきてしまった。ロープの使い方は、難しい。だが、命の代わりに置いてくるものだから、惜しくはない。命は買えないが、ロープならいくらでも買える。クイックドローの使い方も難しい。難しい滝を登っている時、この道具を理論通りに使っているかどうか、自信がない。繰り返し学び、使い慣れるしか無いのだろう。

補助ロープ7mm−12m クイックドロー(ブラックダイアモンド)




Home