西黒沢 湯檜曽川

標高1000m付近 紅葉の森

2011年10月17日
ウェルネス・クライマーズ
大橋さん、山崎さん、高橋


遡行図






コースタイム
西黒沢橋8:10−四段の滝9:25−天神沢出合10:05−熊穴沢出合10:45−10m滝11:20〜12:01−逆層10m滝12:37〜14:10−枝沢出合14:35−稜線登山道16:27−西黒沢橋18:30

プロローグ
 西黒沢を歩いた。湯檜曽川の右岸支流で、東黒沢と対称の位置にある。西黒尾根と天神尾根の間を流れる大きな谷である。ロープウェー駅近くの出合から大きく弧を描いて谷川岳の肩に向かっている。源頭は1750m付近である。前から気になっていた沢だが、自分の技量では完登が難しいだろうと思われた。しかし、せっかく近くの白毛門沢を遡行するので、様子だけでも見てみよう、という気持ちになった。ただ、1400m付近は難しいゴルジュがあるようだ。「その空の下で。。。」のひろたさんの遡行図に詳しい。今回は、1250mで本流と別れ、南西へ向かう枝沢に入り避難小屋を目指そうという作戦である。これで、難しいゴルジュをカットして西黒沢を楽しむ「新ルート」が開拓できる。そう考えたのだったが・・・。

天神沢出合まで
 ロープウェー駅に大橋さんの車を置いて、西黒沢橋から歩道を歩く。
2.5万図とは反対の左岸に舗装道路がある。じきに、大石の敷き詰められた広い道路になる。冬は、天神平から降りる滑降コースになるらしい。この道は、2.5万図の登山道とは異なる。頭上にゴンドラを見ながら歩き、標高820m付近から西黒沢に入渓した。田尻沢出合手前の白鷺滝をまず見ようと思った。白鷺滝は、遠目からも大きな滝だ。正面から滝を見ると、白鷺が羽を広げて飛び立つように見える。8mぐらいはあるだろう。水線沿いは難しいが、左の端に弱点がある。落ち口に立派な支点が造られていた。水線を登ったのだろう。

 田尻沢が左から入る。本流は右だ。緩やかなゴーロを歩いていても、なにか今日は疲れる。昨日の白毛門沢の疲れが残っているのだろう。右から涸沢の入る920m付近でスケールの大きな四段滝が現れる。なかなか立派な滝だ。4m滝が四段、12mの滝だ。幅広の大きな滝の弱点を縫って軽快に上がる。なにか爽快な気分になる。この四段滝から上流は、天神沢出合まで500mほどに渡って、スラブの沢床が延々と続く。両岸の紅葉を見ながら、ゆっくりと歩く。なかなか素晴らしいところだ。四段滝と合わせて下流部のハイライトであろう。

ロープウェーの下を歩いて 820m入渓地点 平凡 ゴルジュの奥に大きな滝が


白鷺滝8m 白鷺が羽を広げて飛び立つように見える
左が登れる


四段ノ滝12m 長いゴーロの先に幅広のダイナミックな滝




























四段の滝が過ぎると岩床になる ナメと紅葉の世界に浸る 歩きやすいスラブが続く


紅葉を見ながら ナメを歩く


スラブ帯が天神沢出合まで500mに渡って延々と続く


天神沢出合から10m逆層の滝まで
 天神沢出合を過ぎると、5mナメ滝が現れ、そのあと4m滝を二つほど登る。熊穴沢出合付近は複雑な地形になっている。よく見て行かないと本流を外れてしまうので注意だ。ザンゲ沢の源頭には大きな岩が見える。ザンゲ岩なのだろう。この辺りの水流の分岐状態は下図の通りである。時間を掛けて調べたわけではないので、間違いがないとは言えない。この記事を参考に歩く人がいたら、現地の地形をよく観察して欲しい。いずれ左寄りにルートを選んでいけば、本流を辿ることができる。
 この先からは、西黒沢の中間部のハイライトといえるだろう。大小の滝が連なる。登攀が楽しいところだ。ただ、水は少ない。4mトイ状滝を越え、ゴーロを歩くと大きな滝が前方に見えるようになる。10m滝だ。登るなら明らかに左だ。大きめの岩が階段状に繋がっている。だが、どの岩も微妙な角度で外傾している。落ち口の辺りはよくつかめない。大橋さんに確保をお願いして、左から弱点を縫って登った。途中、残置が二枚ある。効きが良くないが、無いよりはましだろう。ブッシュ一箇所と合わせて三箇所ビレイをとって落ち口をすり抜けた。
 10m滝上はすぐ6m滝だ。そして、登るのが面白い5mクラック滝、5m滝と続く。前方に大きな滝が見えてくる。すでに、正午になっていたので、ここで休憩。お昼にした。暖かい日だった。休憩していても寒くない。気掛かりなのは、次の滝だ。ひろたさんの記録では、W級+になっている。


      1070m付近の分岐

天神沢出合を過ぎ、5m滝が現れると 4m滝が二つ続く

1070m付近 複雑な分岐からザンゲ岩を見る 熊穴沢出合付近 本流の水も少なくなる 
少しゴーロが続く 



ゴーロの向こうに大きな滝が見え出す
10m滝 滝左を登るしか無いだろう


10m滝 やや逆層気味の岩を、左から落ち口へ向けて登る




5m滝のスラブを登る山崎さん
逆層10m滝 登るとしたら右だろうが、自信が持てない ここは、左岸をルンゼから巻いた


10m逆層の滝
 昼ごはんをそそくさと終え、10m滝と対面する。左は逆層で、どうやら右を登るしか無いが、万年初心者には取り付く勇気も起きない。滝を戻ると運良く左岸にルンゼがある。「ルンゼを上がって落ち口高さで草付きのバンドをトラバース」、というような都合の良いイメージを抱いて取り付く。少しだけ難しいルンゼを8mほど上がり、ブッシュで確保。この上はスラブの岩登りになる。二番手で上がった大橋さんがスラブを左へ逃げ、草付きをブッシュ帯まで上がった。10mほどの登りだ。下から見るとテラスに見えていた箇所が、ことごとく傾斜のある草付きである。ブッシュ帯に着いて一段落。高橋が、ブッシュ帯の急な取り付きを腕力であがると、徐々に傾斜が緩む。すでに落ち口を交わしてるはずである。本流方向へトラバースして本流が望めれば、ブッシュを支点に懸垂下降だ。と、こんな風に理路整然と文章化すれば、大した高巻ではない。だが、巻き始めてから全員が15mほどの草付きを懸垂するまでに、1時間半もかかっている。ルートが分かっていれば、この半分だろう。懸垂の支点部から望んだ本流は美しい。写真に撮らずにしまったが、10m逆層の滝、落ち口少し上から左へ折れた本流は、昇龍のようなナメを連ねていた。時間も押していた。いよいよ、稜線を目指さなければならない。

枝沢の詰め
 1250m付近の二俣から避難小屋へ向かう枝沢を詰める予定だった。だが、この付近の地形は複雑である。地形図上では、5つの窪がほぼ一点に集まっている。大きな窪は三つだ。右俣の本流は大きく右へ回り込み80m大滝を形成している。その左、西正面には、水流のある大連瀑が稜線をめがけ、上部で大きく左へ回っている。地形図では、その左手に、さらに三つの窪がある。そのうち、一番上の窪へ入って稜線を目指した。ここは、柱状節理の現れた5m、4m滝の上、右岸だ。(あとで分かったことだが、避難小屋へ詰めるのは、これらの滝の下に出合う沢のようだ。)だが、我々は、予定の沢のひとつ上流の沢を詰めたようである。正解と思われる沢の出合とは、水平距離で20mぐらいしか離れていない。果たして岩場のない穏やかな窪を詰められるのか、今ひとつ心配だった。だが、遠目に見える植生からは、大きな岩場はないだろうと判断した。地形図にもそれが示されていた。
 間違えたことに気付いたのは、1450mまで登っても稜線がまだかなり上にあったときである。予定の沢であれば、もう近くに稜線があるはずだ。沢形も次第に西寄りとなり、真西に向かうようになった。予定の沢であれば南西へ向かうはずである。標高1500mを過ぎて岩場にぶつかり、沢形が消えた。「まずい」と思ったが、左へ回れば、いずれ稜線に出るはずである。幸い、難しい場面に遭わずに、ひょっこりと登山道に出た。1540m付近であった。もう四時半だったので、ロープウェーには間に合わない。田尻尾根を下ることにしよう。
 間違えて入ったこの沢は、小滝が出ては来るが、行き詰る箇所はない。小さく巻いた箇所と、ショルダーを使ったところが一箇所ずつである。途中1400m付近に二俣がある。ここは、方角を見て左へ入った。沢形を忠実に詰め、1500mを超えて岩稜を見たら、左手へ回れば、じきに登山道である。沢形は多少藪がかかるところもあるが、総じて歩きやすい。

 今一度挑戦して、予定のルートを詰めてみたいものである。


             1250m付近の分岐の状態

標高1250m付近、沢が集中する  手前正面:本流柱状節理の滝  手前左岩:避難小屋へ
至る沢の出合 
前方正面の細い窪:今回遡行した沢  右へ向かうスラブ:本流とy沢



枝沢の出合 この沢を辿って稜線へ向かった 避難小屋へ続く枝沢だと思って入ったが
複雑な分岐の右俣は本流大滝80m ここもいずれ登ってみたい



枝沢を上がる途中から見た大スラブ帯 支尾根の手前が本流
本流大滝を望む 支尾根の向こう右手に大スラブ帯




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