二日目のテン場 三俣近くの左俣に幕を張る


金山沢大荒川谷
 奥秩父入川
2011年7月16〜18日
高貫さん、Kさん、横山さん、
タケさん、高橋

遡行図

コースタイム
7月16日 入川キャンプ場10:10−赤沢谷出合−1180m尾根越え12:25〜46−金山沢出合降り口13:41−金山沢出合14:04〜27−1130mテン場16:10
7月17日 テン場7:32−ゴンザの滝12m8:27〜9:15−同地休憩9:15〜31−小荒川谷出合10:20−二俣13:45−三俣テン場15:42
7月18日 三俣テン場7:16−ガレ水涸れ7:53−2170m稜線9:35〜10:06−雁坂嶺10:43−雁坂峠11:21−1700m支沢12:10〜50−雁坂トンネル料金所前駐車場14:38



あこがれの大荒川谷へ
 大荒川谷は、もうずいぶん前から歩いてみたいと思っていた谷だ。この谷は、水平距離も標高差も大きいため、なかなか一泊二日では歩き通すことができない。いつも、そのハードな行程を見てあきらめ、他の沢に眼が向いていた。だからこの大荒川谷は、いつもシーズンの終りに未踏の沢として自分の手帳に残されていたのだった。今度、この大荒川谷へ向かわせた契機は、同好会の中にも同じような思いの者が何人か居るのを知ったことだった。ただ、そればかりではない。いま歩かねばもう歩けなくなるのではないか、という危機感のようなものが自分を押したのだった。60歳を過ぎた頃から、いつまで沢を歩けるのだろうかと、ぼんやり考えることがある。もちろん体力のことだ。沢の遡行は、気力があったとしても、体力がなければ、到底かなえられるものではない。

 昨年までは感じることのなかった、体力の衰えを感じるようになったのは、このシーズンからである。両親から受け継いだ、強靭な下半身のお陰で、何のトレーニングもせずに、沢を歩いてきた。今までは、何とか人に付いて歩くことができた。だが、その感じが急激に失われようとしている。そんな予兆がある。「沢は今年で最後かもしれない」、そう思うようになった。そう思う心が、大荒川谷へ向かわせたのだった。

金山沢と大荒川谷

 大荒川谷は、とりたてて難しいルートが有るわけではない。といって簡単な訳でもない。この谷の下流部、金山沢は、昨年行った同じ入川の支流、股ノ沢や5月に遡行したヒダナ沢と同じように、滝が小さくてもツルンとした難しい滝が多い。たいがい深い釜があるのも直登を難しくしている理由だろう。金山沢の滝は小さくても登れないものが多い。だが、小荒川谷を左に分けると、滝の様相が変わる。小さなツルンとした滝が無くなり、凹凸の多い滝や階段状の滝が多くなる。10〜15mぐらいの滝がいくつも出てくるが、どの滝も弱点があり、たいがいは登れる。それが楽しい。大荒川谷は、中級者にとって、難しくもなく簡単過ぎることもない、まったく適度に緊張が訪れる楽しい沢であった。
 ところで、今回の大荒川谷では、二泊三日の行程にした。言うまでもなく、前述した理由のためである。1150m付近と三俣1800m付近で二泊すれば、当日出発の二泊三日でこの大荒川谷を自分でも歩けるだろうと考えた。同行者のことも頭にはあった。この場合、二日目、三日目の行程はそれぞれ6時間程度になるはずだった。実際には、もう少しゆったりとした歩行となり、時間はかかったが、ゆとりのある歩行となった。急かされて登るのが多い遡行で、このゆったり感は何ものにも代え難い。それでも、下肢の疲れによってバランスを崩すことが度々有った。それは、自分ばかりではない。大方の者がそうだったのだ。

懲りない面々
 考えても見ると良い。気がついてみれば、今回の参加者は60〜66歳の還暦を過ぎた者ばかりであった。沢を歩くことを無上の喜びとする沢狂いの面々である。最高齢の高貫さんは、まだ「若い」われわれに伍して歩く。大荒川谷からトップを引いた高貫さんは、次々と高滝をリードした。とは言ってもわれわれは驚かない。いつも、滝を見ると興奮して登らずにはいられない猛者なのである。Kさんは実力派でありながら慎重だ。先駆けてリードをしようとしない奥ゆかしさを持っている。無理しない。その滝の弱点をついて登って行く、その心構えは学ぶべきものがある。万年初心者の高橋もロープを出してもらった滝は、楽しみながら登った。だが、三俣手前の12m滝は、確保してもらっても落ち口が怖かった。躊躇せず、お助け紐をさいそくした。リードしたタケさん、フリーで登ってしまった高貫さんは、このヌルヌルツルンの落ち口をよくフリーで登ったものだ。個人的には命知らずだと思う。まだ沢歴浅い横山さんも、たいがいの滝は登った。17日出発早々に現れた4mCS滝は、実力派のKさんのずぶ濡れの苦戦を見て、やる気満々の横山さんには巻き道を指示した。ここは無理だ。

滝の特徴

 金山沢大荒川谷の特徴は、1〜2mぐらいの滝が次々に現れることである。遡行者にとっては、この小さな滝を超えて行くのが楽しい。どの滝も、ひとつひとつ形が違う。釜はあくまでも碧く深い。すでに書いたが金山沢は、滝と両岸がツルツルのものが多い。長めの淵は、わずかなスタンスを見つけて足を置いてへつる。どの岩も薄い褐色の苔をつけ、良く滑る。小荒川谷の出合までの大きな滝は、ゴンザの滝12mである。この滝は、沢を戻り左岸から巻いた。泥壁を20mほど上がると踏み跡があった。ゴンザの滝上の大きな滝を過ぎてから下降した。小荒川谷出合手前のゴルジュは、二つ目の滝6mがとても登れそうにない。このゴルジュも左岸を上がりトラバースして巻いた。
 大荒川谷は、標高1800mの三俣まで広い谷だ。その広い谷を緑の樹木が覆っている。折からの晴天で木洩れ日がキラキラと輝く。倒木は多いが、谷を登る楽しさが優っていて、気にならない。倒木も谷のひとつの景色になっている。大荒川谷に入ると大きな滝が現れるようになり、遡行者にとっては、その登攀の楽しさが加わる。沢慣れた者なら、たいがいの滝はロープ無しで登れるだろう。ただし、苔が付いているため、あなどってはならない。標高が増すごとに、岩に付く緑の苔の輝きが増し、美しい滝を見せてくれる。標高1500m付近の二段12mの滝は、緑におおわれた感動的な滝である。この滝も、楽しみながらが登ることができる。なお、この滝は「二段20m滝」と記されているガイドもあるが、そんなに高くない。大きな滝は、たいがい水の流れが二筋三筋と分かれ、にぎやかな水の舞踏を見ることができる。奥秩父の水の豊かさを感じる一瞬である。三俣手前の幅広の12m滝は、タケさんリードでロープを出してもらった。ホールドが豊富に見えるが、上部にかけて難しくなり、落ち口が滑る。ここは、弱点をよく見ぬいて滝右を登ったほうが良いだろう。

テン場
 初日のテン場は、標高1140m付近の、沢が開け左岸がゆるやかな斜面になった所にした。広々として明るい絶好のテン場だった。ここは、大きなタープ二張はできる。二泊目は、1800m三俣の左俣に入ってすぐの左岸に良いテン場があった。三俣の合流地点なので、ひらけている。ここも絶好のテン場だった。二段になっているが、大きなタープを張ることができた。

詰め

 三俣の左俣へ入った。入川キャンプ場で会った山田哲哉さんは、「中俣がいいですよ」と教えてくれた。だが、すでに調べてあった左俣を詰めた。標高の低い中ノ沢へ抜ける鞍部を目指したかったからである。
 岩と倒木で埋まったゴルジュを越えると、5mほどの美しい滝になる。ここで思い思いの写真を撮った。さらに歩くとガレになる。水も涸れる。本流の左に沢形が現れたところで、本流ガレ沢との中間尾根を歩いた。傾斜が増してきたところで、左の沢形を渡り枝尾根に入る。ここは2000m付近だろう。ここから東側上方を目指し、稜線へ繋がる支尾根へ向かった。支尾根の稜線の西寄りに踏み跡を見つけて歩いたが、時々見失ってしまう。タケさんの古い地図によれば、以前ここには登山道が有ったようである。虫がうるさい。休憩の時は、虫除けスプレーが欠かせない。
 針葉樹の幼樹の軽いヤブに入ると稜線は近い。樹木の向こうに見える空の明るさから稜線の高低差を読み取って、標高の低い右寄りに進むとピタリと目的の鞍部に出た。天候の変わり目の強い風が、南側から吹いていた。みんなは、自然にしっかりと握手をし合ったのだった。やっと果たせた思いが、胸の中にこみ上げてくるようだった。

金山沢へ入るとゴルジュ すぐ行く手が阻まれる 左を
巻いた
 残置ロープがある
3m滝 左岸を巻いた
足元すくわれないように登る 深い釜と小さい滝が続く 深い釜はへつる


5m滝は左岸を小さく巻いた












滑りやすい丸い岩が多い
















ゴンザノ滝12m 手前は前衛の滝 戻って左岸を巻いた




























小荒川谷手前のゴルジュ
戻って右を上がりトラバース
小荒川谷出合で休憩
(上流から撮影)
小荒川谷出合を出発


木洩れ日の中、小滝をかわす


二段6m 手前に淵がある 左を巻いた





























こんなところも歩き 15m滝が見える 15m滝の弱点を探す


15m滝 左端を登る ホールド豊富だが高度感がある 段々の小滝を越えて行く


へつって淵を越える 緑ノ滝 5+6m


緑ノ滝下段5m 細流沿いを登る 岩に付いた苔が美しい 緑ノ滝上段6m この一箇所のバランスが難しい


二条10m 難しそうだが、左の奥が簡単に登れる


15m滝 高貫さんがリード 緑の苔がきれい  15m滝 傾斜は急だがホールドはある


15m滝 Kさんが登る 8m滝 左を登った 


三俣手前の10m滝 左右どちらも登れる 

三俣手前12m滝 タケさんがリード 落ち口が滑る


三俣 正面が中俣、左が左俣 このすぐ上にタープを張った






























朝、三俣に煙が広がる 朝、三俣のテン場に焚き火が燃える


三俣から左俣を20分歩くと5mの美しい滝を見る



左の支尾根に入る ヤブはない 歩きやすい
5m滝上を15分歩くと本流がガレになる 左の枝尾根を歩く
支尾根を詰めて2170mの鞍部へ出た 風が強い 雁坂嶺でめずらしく記念写真 あとは下るだけ



Home