遡行を終わると、山桜が満開だった


猫越川支流遡行
 伊豆猫越川
2011年4月24日 快晴

単独


遡行図  


コースタイム
桑ノ木沢橋8:30−440m支流出合9:14−520m二俣9:47−620m二俣10:55−700m二俣11:18−林道11:43−510m出合支流ノ沢下降11:58−猫越川の橋12:51〜13:15−桑ノ木橋13:30

プロローグ
 猫越川の支流を遡行した。標高440mに出合う大きな支流である。とはいえ、水平距離1.2km、標高差350mほどの沢に過ぎない。この流れは、以前遡行した河原小屋沢の東隣に並行する沢だ。地形図でみると、猫越川の支流の中では、等高線が緻密に描かれている沢である。河原小屋沢のような変化に富んだ沢であることを期待して登ってみることにした。ただ、全く情報のない沢なので、期待はずれの沢である可能性も残されていた。


遡行と滝
 出合いの先には、堰堤が二基現れたので、これはまずいと思った。だが、幸いその上には堰堤が現れなかった。等高線の密度に反して、ゴーロの多い沢だった。ただ、水量が多いせいで、急流のゴーロを迸る水の姿がなかなかに美しい。水量は昨日の雨が影響していると思われるが、普段でも水は多いものとみえる。また、随所にみごとな滝を見せるのも、この沢の特徴だろう。滝の好きな人には、うれしい沢だ。標高520mの二俣では、右俣に20m程の大きな滝が見え、岩の摂理に沿ってスダレ状の瀑布を落としている。水は多くない。見る限りでは険しく、滝を登れそうにない。岩も摂理に従って剥落してるようにみえる。脆いだろう。この右俣を遡行しようとしたら、左俣の4m滝を登った後に中間尾根を超えることになるだろう。ただ、この右俣の流程は短い。
 水が絞られて落ちる左俣の4m滝は轟々と音を立てている。風格のある滝だ。水流右は外傾したホールドを見せ、難しそうに見えたが直登してみることにした。中間部ホールドが乏しいところが出る。ここは水流から離れる方向に良いホールドがあった。標高550m付近には、直瀑のみごとな滝がある。この沢の大滝と見て良い。両岸に伸びる岩壁を穿った16mの滝である。右岸に小さな崩れがあり、要所にブッシュも生えている。小さく落ち口を越えるルートを見ることができる。ただ、落ち口の辺りは観察できない。この落ち口の乗越は、小さなブッシュの生えるスラブで、傾斜も急なので緊張する。この沢で唯一ロープを出した。この滝の左岸は、苔の付いた岩溝があるが登攀には苦労しそうだ。
 620mに二俣がある。右俣には、わさび田跡が続いている。その先には大きな堰堤が見えるので遡行には向かない。左俣にはみごとな美瀑がある。岩々に美しい緑苔の付いた12mぐらいの滝だ。この滝は水流が二分され、左は細流、右は豊富な水が迸る瀑布を形成している。この細流は、下部が立っているがその上はなんとか登れそうな感じである。だが、ここは右を簡単に巻くことができた。なお、この12m滝のある二俣のすぐ下には、右岸から8m滝が落ちている。この流れは面白そうな雰囲気だが、地形図をみるとその先は短い。12m滝上は、遡行終了点の林道まで、わさび田が延々と続く。林道近くは、わさびが植えられているが、林道から遠い下流部は放棄されている。

自然の恵みと返礼
 遡行した猫越川支流は、水量が豊富な美しい沢であったのだろうと想像できる。林道やわさび田といった人の手が入らない時代は、美しい原始の森の姿を留めていたのだろう。だが、現在は至る所人間の痕跡が残されている。とくにわさびを栽培した跡地には、軌道のレールやトタン板がそのまま遺棄されている。わさび田を造成した石垣は、年を経るに従い風格が現れ、自然の中に溶けこんでゆく。だが、沢に残された鉄材やカラートタンの残渣はいつまで経っても自然が受け入れてくれない。

 わさびは、清澄な水にしか育たないとされる。伊豆天城は、水で栽培するわさびの名所とされているが、このていたらくは何だろう。わさびは、流れる水とその地方の気候によって育てられるものである。植え付けこそ人の手で行われるが、わさびを造り上げるのは人間ではなく、自然の力である。これは、他の野菜と同じ。人間は何も作っていない。作るのは、土であり光である。値が高くなると一帯の沢を造成してわさび田をところ構わず作り、値が下がったり大水で流されると、そのまま放棄する。「収奪」という言葉を思い出す。自然の恵みにあやかりながら、自然には何の返礼もしない人の姿をそこに見ることができる。せめて、恩恵を受けた自然に対して、人の痕跡を片付けて去るというのが、礼儀というものではないか。


入渓点猫越川本流 昨日の雨で水量が多い 自然の姿に感動

猫越川支流 標高440mに出合う 水量が多い












二つ目の堰堤が見える 二段3m滝 傘のように広がる滝もあった


520m二俣 右俣の滝20m 登れそうにない



520m二俣 左俣の4m滝 水量が多い
水流右を登った ややホールドが乏しい

ゴロタの滝4m 前方に大きな滝が見える



大滝16m どこにも紹介されたことのない?名瀑。とても直登はできない。左を巻いた。落ち口のスラブ乗越が緊張する。踏み跡は無い。

16m滝 巻の途中から ホールドは全く無い










16m落ち口上の小滝 なかなかの雰囲気

右岸にわさび田跡 軌道のレールが残されている


左岸のわさび田跡 放置されてある

わさび田跡付近の4m滝 580m付近付



615m右岸から支流 8m滝で落下

620m二俣 左俣の12m滝 苔のついた岩を瀑布が落ち
る。美しい滝だ 左の細流沿いを登れそうだが 右を小
さく巻いた


左俣へ入るとわさび田跡 軌道レールが残る小滝 右の石垣がわさび田跡
700m二俣を右へ 左はわさ
び田跡 沢床はコンクリー













林道からわさび田を展望


<下降>
猫越川510m出合い沢(隣の沢)を下降 すぐにわさび田が わさび田横を遠慮がちに下る
わさびが栽培されていた わさびの白い花が美しい


桜が山肌に煙る


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