板ヶ沢は巨岩帯から始まる 岩の間を縫う流れ



板ヶ沢左俣 仁科川大滝川
2011年4月2 晴れ
単独

遡行図


コースタイム

林道入口駐車9:45−大滝歩道入口10:07−大滝川10:32−二俣10:37−ゴルジュ二段10m滝11:16−ゴルジュ12m滝−林道橋12:26−二俣(1:1)12:39〜55−16m大滝−59号線14:19




 沢を歩いていると、何か違和感を覚えることがある。水の創り出した沢筋の景観が妙に明るかったり、全体に埃っぽかったり、沢の水がかすかに濁っていたり、という具合である。以前、奥秩父の東沢を釜ノ沢へ入る辺りで、わずかに水が濁り、沢の岩を白くしていたのを思い出す。

 板ヶ沢を歩いた。この沢は歩いていて幾度か違和感を覚える沢だった。530m付近の大きな滝12mを左の乾いた岩を登って巻いた。この落ち口へ立った時、左側が明るく開けそこに林道が走っていた。しばらく歩くと、堰堤が現れた。その上は、地面がならされた明るい広地だった。人間が自然に手を加えると、長い時間かかって造られてきた自然の景観のバランスのどこかが崩れる。研ぎ澄まされた自然の美に緩みをもたらす。それが、違和感なのだろう。東沢の上流も堰堤の工事が進んでいるらしい。
 大滝川、標高400m付近の二俣を左に入れば、板ヶ沢である。二俣付近は、かつて人の住んでいたと思わせる跡がのこっている。石垣や階段がそれである。鉱山の採掘に携わる鉱夫などが住んでいたのだろうか。古い標識に「伊豆鉱山」の文字があった。ひとの住んでいた跡というのは、人工物の残渣でありながら周りの景観によく溶けこんで見えるのは何故なのだろう。それもひとつの美しさなのだ。石垣が自然の石によって造られているためだろうか。これが、コンクリートであったらどうなのだろう。
 板ヶ沢は、手付かずの自然のままであったなら、どんなに美しさを保っていただろうと思わせる沢である。板ヶ沢は、二俣すぐ上から始まる巨岩帯、その先はナメのあるゴーロ帯となる。ここまでの間がV字谷になっている。林道が板ヶ沢を横切る橋の上流は、、左岸が緩やかな丘陵地となり、やがて顕著な二俣(1:1)となる。ここは明るくてひと休みしたくなるところだ。右俣は平凡なゴーロだが、左俣はきれいな小滝が落ちている。その奥は暗いゴルジュになり再びV字谷になる。このゴルジュは変化に富んでいてなかなか面白い。橋の上流なので工事の影響がないので、沢の美しさも本物である。ここから650m付近にある16m大滝までがこの沢のハイライトだろう。16m滝上の流れもナメを混じえて美しいが、次第に59号線付近に造られた堰堤工事の影響を受けて、その美しさは鈍化する。県道59号線の上流も水量豊富だが、堰堤が何基か見えるのと地形図上からも平凡なゴーロ帯であることが伺えるので、遡行はここで終了である。

板ヶ沢に降りると巨大な岩が折り重なっているこんな
大量の巨岩が一体何処から来たのだろうか。
南向きの
ためか岩はどれも乾いている。岩に先行者の足跡があ
った。乾き始めていたので、二時間近く経っているだろ
う。先行者に追い付くことはなかった。


巨岩帯が続く 水は大岩の間を落ち小さな滝の連続になっている岩をかわすのに苦労する途中大岩を右岸に下がる残置ロープで越えるところがある。


小滝でも釜は深く、水流沿いを登るのは難しいルートを
見定めて巨岩をかわす。


ゴルジュ二段10m滝 両岸切り立ち釜が深い チョックスト
ンも見えるので登るのは難しいだろう
沢を少しもどると左
岸に赤ペンキマークが見える。この印に従って登ると岩稜
を越える立派な巻き道があり、沢へ戻ることが出来た。


ゴルジュ二段10m上を少し歩くと小さなナメ滝4mが現れる


静かな流れが続く


ゴルジュ12m滝 両岸岩壁なのでこの滝少し手前の左の
支沢の乾いた岩を登ってから巻く
10mほど登ってから
落ち口へトラバース。落ち口の上は開け、左手に林道が
見える。この先で堰堤が現れるので右岸に上がり林道を
歩く。林道はすぐに板ヶ沢を渡る。ここに橋がある。


林道の橋から見える6m滝 釜が浅いので左の岩に取り
付き登った
この上の左岸はヒノキの丘陵地で傾斜が
ゆるい


二俣(1:1)右は平凡なゴーロ この岩の上で昼ごはんに


二俣、左俣のきれいな滝 砂岩でできている 釜がある
この先はゴルジュ


ゴルジュCS2m 釜もあり手強そう 左を巻ける 奥にも滝


5m滝 左をへつり取り付く 滑らないので登れる


5m滝上部 この上ゴルジュにも小滝が現れる


小滝 前方に見えるのが二段6m


ゴルジュ出口の二段6m 直登は濡れるだろう 右の乾い
た岩を登ることにした。


二段6m滝 右の乾いた岩 僅かに水の落ちる線に沿って
攀じる。3級ぐらい。なかなか緊張する。


雰囲気のある沢をゆっくりと歩く


標高640m付近の16m大滝 この滝の左下に坑口がある。この手前が二俣になっている。ここを左へ入る。すぐまた二俣になるが、ここは水の少ない右俣を登る。前方に見える石垣堰堤の上に大滝へ向かう巻き道があった。荒れているので、踏み跡はわずかである。


模様のある岩のナメ 大滝16mの上は雰囲気のよい渓相
が続く。ナメが時折現れる。だが、次第に堰堤工事の痕跡
が見られるようになり、雰囲気が壊れていゆく。県道や堰
堤の工事がなかった時代は、さぞ素晴らしい沢であったと
想像できる。


県道の前で新しい堰堤が現れる。急流地でもなく、V字谷で
もなく土砂を貯めるには全く適さない穏やかな地形にできて
いる。所得分配機能としての空虚な工事。この上にも、空
虚な工事による堰堤が並ぶ。


この工事を進めた役所







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