伊豆の山にも雪が降ったが、今日は良い天気だ



中ノ沢
 仁科川大滝川
2011年3月26 晴れ
単独

遡行図


コースタイム
大滝林道入口(駐車)1025−大滝歩道入口1039−大滝川110005−二俣A1113−二俣B112312m滝11531221〜7mくの字ナメ滝122256−二俣133612mナメ滝140610m滝1438−橋下7m滝1507−滝見橋1515−大滝林道入口1520


プロローグ
 伊豆半島を北と南に分けているのが天城連山である。天城峠から東へ伸びる山稜は古くから登山者によく歩かれている。だが、西へ伸びる「伊豆山稜」は交通の便が悪く、今でも歩く人は少ない。伊豆山稜の最高峰である猫越岳に源を発する河川が仁科川である。駿河湾へ流れ込む仁科川は、その上流域で東へ向かう本谷と、北へ向かう大滝川に分かれる。その大滝川の上流で、さらに小さな沢に分岐する。東から三階滝沢、中ノ沢、板ヶ沢である。これらの沢はどれも1km程度の短い沢であるが、地形図で見れば等高線が緻密な深い谷を示している。





中ノ沢とその渓相
 中ノ沢は、3月13日に歩いた三階滝沢の西隣に並行して流れる沢だ。県道59号線に車を置き、「大滝歩道」を利用して大滝川へ降り、右岸の作業道跡を歩き三階滝沢と板ヶ沢の二俣に出る。この二俣、板ヶ沢には5mほどの立派な滝がかかっている。その上流側に、朽ちかけた橋がかかっている。橋は怖いので、一度河原に降りて三階滝沢沿いの山道へ入る。じきに右手に石垣が現れる。作業小屋が見えそのすぐ先でトロッコ線が現れる。それは、中ノ沢を渡ってその突端が廃坑の坑口に呑み込まれている。昔、ここで何を掘ったのだろう。近くでは土肥金山が有名だがここにも金鉱が有ったのだろうか。ここは、三階滝沢と中ノ沢の二俣のすぐ上で、二俣には滝が見える。これは三階滝沢に懸かる5m滝である。
 中ノ沢は平凡な流れで左岸に山道がある。ほとんど歩かれていないようだ。山道は急な左岸を登るように上がる。ほどなく「三階滝沢歩道」の小さな標識が現れる。右へ行くと支尾根を巻いて三階滝沢へ降りられる。左は中ノ沢沿いに続いている。ここから中ノ沢へ降りる。中ノ沢は大岩の散在するゴーロで歩きにくい。
 中ノ沢は、前回歩いた三階滝沢に比べるとなかなか厳しい遡行になる。三階滝沢の女性的な美しさに比べ、この沢は男性的な荒々しさがある。この沢は、岩床の谷である。折々に巨石やスラブが現れ、この沢を特徴付けている。沢床や水に濡れた岩には苔が生えていて良く滑る。遡行の途中岩床が持ち上がり、随所で10m前後の大きな滝を懸けている。どこも大きな釜を従えている。遡行者は、この幾つもの大きな滝に阻まれ高巻きを強いられる。直登できると思われる滝はあるが、褐色の苔が付いているので滑りやすく、水量が多いので全身濡れるのを覚悟しなければならない。岩が脆いところもあり、滝の両岸が崩落している場所も見られる。そんな訳で、あらかたの滝を巻いた。春先の気候としては気温が低い日が続いていた。この二日、天城の主稜には雪が舞い降りている。車で走っているときに、北斜面が白くなっていた。なお、ナメやナメ小滝の連続は随所に見られる。途中の美しい大ナメもこの沢の魅力になっている。
 遡行者は、ほとんど入っていないとみられる。高巻きのルートは踏まれておらず、残置ロープや支点は無い。ルートの判断は遡行者に求められる。深いV字谷を形成しているため、両岸険しいが、多くは土壁なのでブッシュを使い、ゆるい足元を作りながら巻くことはできる。ルートの選定に間違いがなければ、そう危険なところはないだろう。最初に現れる大きな滝とその上の「くの字ナメ滝7m」以外は、比較的簡単にルートが探せる。
 最初に現れた大滝12は、左岸を巻いた。左岸の山道へ上がって巻くものと思ったが、山道は見つからなかった。おそらく、ここまでは山道が伸びていないのだろう。ここは、滝の岩床から伸びる支尾根の岩稜を越さなければならない。安全に岩稜を越えられるルートを探すのに時間を取られた。滝の高さの二倍以上土壁を上がり、岩稜の弱点を抜けた。落ち口への下りは、ブッシュ伝いに降りれば特に危険なところはなかった。だが、「この踏み跡のない広い高巻きルートで遭難すれば、だれも遭難者を発見出来ないだろうな」などと変なことを考えながら、登っていた。この上の滝「くの字7mナメ滝」は、落ち口への一歩が出ず敗退、一度下がって右を巻いた。ここは足元が不安定で緊張した。
 シーズン初めの体で、沢の感覚に慣れていないため、なかなか体が固く沢になじまない。最後まで、しっくりしないまま遡行が終わってしまった。残念なのは、標高600mを越えた辺りから、人工物が目につくようになることだ。県道からの投げ捨てによるものだろう。自然のなかで人間に関わりのあるものを見ると、何故そんなに汚いものとして見てしまうのだろう。たとえ、それがいつも見ているペットボトルであったとしても。
 今日の中ノ沢の水量は、他の資料写真と比べると水量はかなり多いようである。通常はもうすこし少ないのかも知れない。この一週間、天候が悪く雨の日が多かったせいだろう。おそらく初めてのものと思われる中ノ沢の遡行図を示す。

二つ目の二俣手前 右に石垣が現れる


トロッコ線路と放置されたトロッコ この向こうに廃坑がある
最近まで使われていたように見える


「三階滝沢歩道」の標識から中ノ沢に降り立つと大岩と
きれいな水
 水量は多い


ゴーロを歩くと12m滝が遠方に見える 手前は前衛の滝


12m滝 とても登れるようには見えない。右を巻いた。25m
以上土壁を登り、滝から伸びる支尾根の岩稜を越えた。

み跡は無い。


くの字滝7m 上部落ち口の一歩がどうしても出ず。敗退。
右を巻いた。この巻も足元不安定で緊張する。


くの字滝7m 落ち口 左から登るもフリクションを使う一歩
が難しくあきらめる


くの字滝7mの上 穏やかな渓相 この辺りで昼食


三条の小滝 苔が生えていて滑る


6m滝 釜が深く長い 滝に取り付けない。右から巻いた。


6m滝の向こうにも大きな滝が見える。滝が連続して現れる。


10m滝 豪快に水を落としている。右から小さく巻き、滝の
上部バンドから滝に取りき、滑りやすい滝を登った。ホー
ルドはある。



10m滝上部 バンドを伝い落ち口へ上がる 右からも巻ける










亀の甲羅のようなナメもあって


ゴルジュ6m滝 左は岩壁、右は巨岩 右を巻いた


12mナメ滝 簡単そうに見えるが滑るので登れない
右を小さく巻いて落ち口へ出る





12mナメ滝 高巻きの途中から見る








大ナメ 標高600m付近 40mほど続く 


前方に大きな10m滝が見える


10m滝 虹が懸かっている 右を巻いた


12mハング滝 滝手前左右の岩壁が崩落 右の岩を登り
巻いた
ブッシュを掴んで岩を登り落ち口へ上がる。この
ルートはよく見ないと見逃してしまう。




沢が左へ曲がると滝見橋が見える 標高670m付近









滝見橋手前の7m滝 左から巻いて県道に出て遡行終了































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