尾白川黄蓮谷 南アルプス
2010年9月19、20日
沢登り同好会 さわね
本多さん、ガクさん、高橋

高嶺びらんじ  噴水滝の手前、礫地で

遡行図

コースタイム
9月19日

尾白川林道ゲート930−林道終点1058−入渓1143−遠見滝13021415−噴水滝1509−黄蓮谷出合二俣1621(泊)
920
テン場717−千丈滝一段、二段833906−千丈滝上92129−坊主滝94247−千丈滝上100025−五合目小屋跡12471315−竹宇駒ヶ岳神社1715

プロローグ
 尾白川の遡行を考えたのは、昨年だった。今度の遡行は二年越しの夢がかなったものだ。昨年は、天候が万全でなく中止、今年は願ってもないベストの沢日和であった。メンバーは、昨年から夢を抱き続けたガクさん、そして今年さわねに入会した健脚、本多さんだ。本多さんは、本当に運の良い人だと思った。この好天に、ダイナミックな美渓、尾白川黄蓮谷を歩けるのだから。しかも、本多さんは沢登りの体験が、三度目だという。うーん、運の強い人はいるものだ。
 ところで、黄蓮谷は尾白川の支流で、右俣の遡行が良く知られている。長いこと沢を歩き経験を経た人がリードできる上級者の沢のようだ。沢登りは、無事下山してしまえば全て万歳だが、その遡行の過程では危険な場面が多くあるものだ。万年初心者の高橋は、この黄蓮谷右俣をリードできるほどの実力は持っていない。だが、尾白川のあのスケールの大きな美しい谷をいつかは登ってみたいと思っていた。幸い、尾白川黄蓮谷の美しさは、その下流域に良く見出される。そこで、深く大きな釜をもつダイナミックな滝が続く、その下流域の沢歩きを考えた。尾白川左岸に伸びる林道の終点から入渓して、尾白川を遡行して黄蓮谷へ入り、黄蓮谷の坊主滝まで歩く。その後は、少し戻って千丈の滝上から五合目の稜線へあがるルートである。このルートであれば、自分たちでも歩くことができる。そう思ったのである。
 このルートの滝の多くは、花崗岩の磨かれたスラブで、容易に登攀を許してはくれない。その代わり、難しい滝には、その滝を越そうとして研究し尽くされた巻き道ができている。我々の歩いたこのルートは、比較的簡単である。とはいえ、初心者が手軽に歩ける谷ではない。どの滝も深くとぐろを巻く釜があり、磨かれたスラブ滝特有な登攀の難しさがある。今までも、幾つもの不幸な事故が起きている。


遡行 9月19日
 尾白川左岸の林道は、日向山登山口の100mほど先にゲートがある。そこに車を置いて林道終点まで歩いた。約1時間半だ。帰りのことを考えて、下山路の駒ケ岳神社の下にも車を置いた。日向山は人気の山のようで、登山口の前は車でいっぱいだった。幸い奥のゲート前にスペースがあったのでそこへ車を止めた。
 尾白川の谷の特徴といえば、花崗岩のスラブのダイナミックな滝にあるというのは異論がないところだろう。だが、その中でも、水の色が格別である。深い釜で水の色は強調され、エメラルドグリーンに輝いて見える。青味がかった水の色は様々な場面で眼にしてきたが、この色は初めての体験である。大概の滝は大きな釜を持っているので、遡行している間は、終始このエメラルドグリーンの輝きを目にすることができる。

入渓点には先客が どうやらキャ
ニオニングが
こんなところまで

最初の滝4m  

10m滝 深い釜を持つ


10m滝 左を登れそうだったが 無理せず右を巻いた本多
さんの履いていたラバーソールなら行けたかもしれない。

の後、乾いた岩では、ラバーソールの威力を見せ付けられる。


7m滝 10m滝上を左岸から右岸へ移って、この滝を左から
登った
水の多いときは滝上の渡渉ができないだろう。

梯子滝 ワイヤーがさがっている。簡単そうに見えるが流れ
の速い釜を泳ぐか、滝下を左岸から右岸へ飛び越える勇気
がいる。そんな勇気のない我々は左を軽く巻いた。


梯子滝を上から  思ったよりは落ち口が苦戦しそうだ。昭
和42年に私と同じ生年の慶大生が滑落死したようだ。

バンドのある5m滝  バンドから細かいホールドをひろって
上がる。ラバーソールの新人、本多さんは軽く登って我々を
引き上げてくれた。

遠見滝 多段10m(奥の滝)  釜が深く取り付けない。上段の滝も登れそうにない。滝を少
し戻って左から巻いた。踏み跡があるがどれが正道か不明。支尾根をトラバースしようと、
上へ追い上げられた。しかし、意外にもトラバース地点は低い位置にあった。滝上10mぐら
いだろうか。ここは登り過ぎてはいけない。トラバースの先でブッシュを掴みながらスラブを
下降した。
反対側の左岸落ち口にロープが下がっていた。ここは、左岸を小さく巻くルートも
あるようだ。左岸を大高巻きしている情報もあるが、その必要はない。

遠見滝の釜  尾白川の釜はどれも透明度の高い神秘的な
エメラルドグリーンである


スダレ状6m滝  登れる滝がないなー。ここも左を巻く。

大釜の滝12m  スダレ状6m滝を巻いている途中、突然
見事な滝が現われた。底の見えない深い釜を従えている。

ここも左を巻いた。落ち口高さの低い巻き道は際どいトラ
バースになるので、それから2〜3m高い踏み跡を追う。
12m滝上の左から落ちる支沢に行きに当り、この沢を下る
と簡単に落ち口に出る
支沢の水の味は格別だった。













大釜の滝12mの前でひと休み





噴水滝10×15m その上6m、20mの三段滝  この20m滝の上で左から支沢が出合う

噴水滝の上の滝  6m、20m  左のブッシュ沿いを歩く

快適にナメを歩く  行程がはかどる









転んだ! のではない。尺岩魚との戦いである




8m、5m二段滝  初めて滝らしい滝を登った  爽快  ガクさんリード

獅子岩 上を見ていないと見逃す


獅子岩下の小滝

二俣下の6m滝 右を小さく巻く


6m滝、巻き道から  ここもエメラルドグリーンの鏡面が

あー、登山て何だろう。手を差し伸べて。今日の泊り場
二俣は近い























 黄蓮谷出合二俣  右岸にベストの
 テン場がある
今日の沢の感動に
 花が咲く


遡行 9月20日
 右に尾白川本流を見送り黄蓮谷に入る。水量は半減して沢幅が狭くなる。しかし、ダイナミックな渓相は変わらない。すぐ現われる8m滝は要注意だ。

8m滝  写真に写っていない左端の窪に残置ロープがある。
ただ、その上の落ち口方面へのトラバースが草付で難しい。
剥がれやすい草と小さなブッシュを頼りに本多さんが先行。
次回、ここはボルト持参で工作したい。



いっとき渓相が変わるが、それは仮の姿に過ぎない

4m滝  遠方に巨大な滝が見える


千丈滝  二段、三段目が見える

千丈滝 傾斜の緩い一段目を登り、二段目のルート探索
首尾よく二段目も滝左をじりじりと登攀、クリア。三段目30
m、四段目16mは、右岸のブッシュ帯の踏み跡を巻いた。


千丈滝 四段目16m  とても直登できる滝ではない。右岸のブッシュ帯の踏み跡を巻いた。この滝の落ち口高さに、五合目稜線に上がるしっかりした踏み跡があった。

坊主滝30m  千丈滝の落ち口左岸から10m滝を巻くと
その途中に良好なテン場がある。渓に降りさらにゴーロを
進むと、左岸から涸沢が入った先の本流には、巨大な坊
主滝が現われる。黄蓮谷の核心はこの先だが、我々はこ
の滝を拝んで千丈滝の上へ引き返す。


稜線五合目への登り
 五合目までの登りの踏み跡は、千丈滝の上、右岸にある。千丈滝を巻いてきた踏み跡から分岐する。なお、千丈滝の上には、すぐ五丈沢が出合う。踏み跡は明瞭だが油断すると外してしまう。踏み跡は分岐している所もあるが、その先で合流する。黄や赤テープに従って歩く。最初、五丈沢の右岸近くを歩くと右下に大きな岩小屋を見て、さらに歩くと踏み跡沿いに小さな岩小屋があった。岩小屋を過ぎて急登が続く。途中フィックスロープで岩を上がった。踏み跡に従って急登すると、次第に五丈沢を離れていた。1980m付近で踏み跡を外したことに気付いた。いつの間にか左手の枝尾根に上がっていた。右手はヤブになっていて、沢筋は見えない。ここは、五丈沢からはかなり離れているだろう。ただ、踏み跡を外してから時間は経っていないはずだ。
 尾根を少し登ると、右手のヤブが消えた。右手に下がるとすぐ踏み跡に合流した。この上で白砂のザレのトラバースを経て明瞭な踏み跡になった。ここからは、延々と山腹をトラバースする。どのぐらい歩いただろうか、とにかく長いトラバース道だった。これは間違えて、別の踏み跡に入ってしまったと思ったが、とにかく前に進んだ。その先でトラロープで踏み跡が遮断されてあった。あー、やっぱり間違えていたんだと一瞬思ったが、これは、五合目方面からこの踏み跡へ入ってしまった登山者を遮るロープだった。このトラロープを潜って進めば、五合目はすぐ先だった。

 標高1980m付近で枝尾根に出たこと、その後五合目まで延々とトラバースしたことから考えると、次のように考えられた。五丈沢出合付近から始まった踏み跡は次第に五丈沢から離れ、いったん左手の尾根に上がり、白砂のザレの高さから水平に五合目小屋跡へ向った。
 五合目までの登りは、かなり荒れていて危険なところもあるようなネット情報が多かったが、我々の歩いた中では、唯一白砂のザレの箇所が危険箇所だった。ただ、ここも巻くような踏み跡があったので、もしかしたら巻けるのかも知れない。いずれ、このルートには、そう難しい所は無いというのが我々の結論である。

五合目への踏み跡を辿る途中で見た坊主山手前のピーク。
五丈沢出合で会った川崎の山岳会パーティーは、坊主岩
へ行ってきたと言ったが
それは何処なのだろう。






















   尾白川の清流  竹宇駒ケ岳神社前の吊橋から
    尾白川に感謝して帰路に着いた


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