丹沢山塊 神ノ川エビラ沢

2010年5月3日 晴れ
沢登り同好会 さわね
ガクさん、高橋

 えびらとは、竹で編んだ籠(かご)やスノコのようなものを指すようである。この地方では、魚を取る細長い籠、魚が中に入ると抜け出せないように作った竹籠のことらしい。エビラ沢出合の立て看板には、その竹かごで山椒魚を捕って生業にしたとある。山椒魚はどうやら食用として高く売れたようだ。
 エビラ沢である。疲れたというのが第一の印象だ。市販されているガイドによれば、遡行時間5時間とあるが、稜線に上がり出るまでに9.5時間ほど掛かってしまった。。標高1100m付近から現れた雪渓とその雪解け水による水量の多さのせいもあると思うが、自分たちの体力と力量によるものだろう。エビラ沢は滝の多い沢である。文字通り数え切れないほどの滝がある。遡行図に示した滝は大きなものだけである。ウェブ情報では、丹沢の主「マシラ」を始めとするエビラ沢の遡行記録がある。だが、われわれは、これらの情報には必ずしも載っていない「簡単な」滝の遡行や巻きに苦労したところもある。最初のゴルジュでは、早速、ガクさんの肩を借りなければ乗越せないチョックストンが現れたり、その先の5mスラブ滝の側壁のトラバースでは、高橋が落ち口の上で進退きわまって、早くもハーケンを打ち込んで下降する、という予想外の展開もあった。この辺りは、ガイドやウェブ情報には記載されていない、「簡単な通過点」過ぎないのだが。
 そんな訳で、10mを越える大きな滝はあらかた巻いた。F5白滝25mとF8・15mから始まる連瀑帯の巻きは、木の根元を掴んでの急登になるが、命を懸ける場面は現れない。連瀑帯の高巻きは、沢に沿った支尾根をブッシュを選んで登った。あまりの急登なので、何度か太い木の根元に腰掛けて小休止しなければならなかった。降り口の見当が付かなかったが、「70〜80m登って沢に下りる」という情報を参考に、滝下から70m登ってから(高度計で測定)、もう水の音が聞こえなくなっていた沢の方角へトラバースを開始し、沢音がしてくると水の無い窪に出た。ロープを掴んで50mほどその窪を下がり、沢へ降り立った。この高巻きに1時間ほど費やしたことになる。先には、連瀑帯最後の滝、F12・10mが見えた。その手前左岸からは水のある沢が5mの滝になって落ちている。垂直の滝F12は、薄い白布のような水の幕が懸かっていた。水が多い。これは1100m付近から現れるかなりの量の雪渓の融雪による、と後で知ることになる。
 エビラ沢は、ゴーロの多い沢である。要所で難しい滝が出てくるので、さほどゴーロが長いとは感じない。途中、標高500mと600m地点にテン場となる平坦地があるので、水量の多い美しいゴーロのそばにテントを張り、一泊でゆったりこの沢を歩くのも良いだろう。
 疲れた体に立ちはだかる幾つもの涸れ滝を越え、やっとのことで袖平山の北西尾根に出たのは、5時過ぎであった。日暮れまで、あと1時間ほどしかない。間違いやすい尾根の分岐が何箇所かある。踏み跡の薄い尾根を疾風のように下った。何度か踏み跡を外したが、都度修正して下降した。1050m付近の尾根の分岐も何とかクリアして、680m鞍部の分岐に着いたころには夕闇が植林帯を支配していた。その先は幸い分かりやすい踏み跡が続いたので、ヘッドランプでもそれを追うことができた。エビラ沢沿いの作業道を経由してエビラ沢出合へ降り立ったのは、もう日がとっぷり暮れた7時20分だった。およそ12時間を歩いていたことになる。ガクさんも高橋も、自分の力を出し切った満足感で、がっちりと握手したのであった。

エビラ沢出合7:46−CS5m滝9:3925m白滝11:06−連瀑帯最初の15m滝13:3710m滝(連瀑帯最後の滝)下15:20−二俣(1170m)16:15−袖平山北西尾根1320m地点17:16722mピーク前分岐18:32−エビラ沢出合19:20


F1〜F3を高巻いて堰堤の上に降り立つと平凡な渓相に



ゴルジュの中の滝

5mCS左に支点が見えるが難しいだろう 右を巻いた



5mCSの上に深い釜のある7mトイ状滝 上から

5m三条の滝 登るつもりだった一番左の流れにも多量の水が落ちる

ゴルジュの段々滝をゆっくりと登って

こんな滝もあって 釜が深い (白滝手前)





白滝25m  巻きは、手前2m滝落ち口の左岸のカンテを登るというがとても登れない。このカンテにつながる支尾根を眼で追い、やや下流の位置から這い上がる。 木の根元を掴みながら70m上がってから本流へ向けてトラバース。涸れた窪を降りた

二段10m滝  左から中段へ上がり、右の壁を上がる

こんなナメも時々はあって救われる





15m滝 水量が多い。これも登れないで左から巻いた


連瀑帯始めの滝15m  ここから五つほど滝が続く。右の支尾根を大きく高巻いた





連瀑帯最後の滝10m 左岸手前に落ちる支沢5m滝を登って小さく巻いた

二段8m滝















1150m付近深い谷、北斜面には雪渓が  奥の二俣の左俣(南斜面)へ出るまで雪渓に悩まされる。そして涸れ滝がうんざりするほど現れる


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エビラ沢F1・20m 水が多い
遡行図