伊豆
金冠山〜奥山〜真城峠〜沢海集落


2010年3月14日 
高橋(単独)

日当たりの良い場所ではアセビの花が盛り

 この半月ほど天気が悪かったので、どこへも出かけなかったが、やっと週末に好天が巡ってきた。今日は、伊豆、修善寺町の西にある金冠山へ向った。なお、修善寺町は近年の合併により伊豆市になったらしい。修善寺という歴史的に由緒のある名が有りながら、簡単に自分たちのアイデンティティーを捨ててしまう町の議員のセンスを私は好きではない。しかもあろうことか、伊豆市などと腑抜けた名前にしてしまったのである。議論の末のことだとは思うが、おろかなことだと思う。
 金冠山(816m)から伊豆西海岸の戸田港までバリエーションルートを辿った。金冠山から達磨山は、『岳人』などでも紹介された好ルートだが、今日は踏み跡薄い尾根を歩いた。達磨山高原レストハウスに車を置いて、まず金冠山へ登る。その頂上から北の踏み跡へ入り、三角点のある奥山(761.4m)を経由して真城峠(さなぎとうげ)へ出る。真城峠からは、521.6mピークの無線中継施設を経由して、そのすぐ先に有るはずの分岐から、南尾根を太平洋の波打ち寄せる沢海(たくみ)集落へ降りるというルートだ。およそ、10kmのコースである。

10:18 達磨山高原レストハウス駐車場 クラシックカーが勢ぞろい
 レストハウスの駐車場から金冠山までは、登山道というよりは防火帯のような広く明るい芝生を踏んで歩く。気持ちの良いところだ。この日は誰も登山者が居らず、静かな歩行が楽しめた。途中、鶯が啼いた。まだ啼き慣れていないらしく、たどたどしい声だった。戸田峠から来る登山道と合流する分岐で15人ほどの団体と遭遇し、思いがけず金冠山の頂上は騒がしくなってしまった。金冠山の頂上は、北に駿河湾と富士山、西に外海・太平洋が一望できる絶好のスポットである。南には低い笹原の山肌をみせる達磨山が大きく見える。早々に金冠山の頂上を後にして北へ向った。このルートは初めてだったが、金冠山の下から望む海と山の景色は、比類のないほどに美しい。しかもそこは独り占めの世界だった。

10:24 こんな広い登山道を歩いて金冠山へ向う
 10:40 金冠山が見えてくる。頂上のアンテナが無粋だが。

 10:55 金冠山頂上の石碑 

 10:55 金冠山から北を望むと駿河湾と沼津アルプスの山々が見える

10:56 金冠山から北を望むと富士山が静かに 右手は沼津市街 あいにく春霞がかかっている

10:56 金冠山の眼下に戸田港が見える

 11:07 金冠山を下る途中から これから歩く踏み跡と下る尾根が左に見える

11:08 金冠山下から北を望む 丈の低い笹のため展望が開ける

11:43 馬酔木(アセビ)のトンネル

 この好展望のあとは、761.4mの奥山を経由し真城峠(さなぎとうげ492m)へ降りるまではあまり展望は開けない。奥山周辺は、標高もまあ有るので、沼津アルプス近辺に多く見られる照葉樹も少なく、緑といえば馬酔木(アセビ)と笹ぐらいのものだ。アセビは日当たりの良い場所では、にぎやかに花を付け、独特の美しさを見せていた。天城山でよく知られたアセビのトンネルがこのルートにも見られる。アセビの他には葉を付けた樹が少ないので、折からの日差で木漏れ日が美しい。ルートは下草が刈られているが、歩く人は少ないようだ。先週の雨と雪で流れた地面に足跡はない。鹿も少ないのだろう。糞を見かけない。真城峠(さなぎとうげ)は立派な舗装道路が横断しているので興ざめだ。峠からは真城山の山頂が見えるが、登山道がないので峠側からは登れない。

11:45 761.4mピークの木に「奥山」の看板が下がっていた
12:06 真城峠へ向うルートは明瞭だが展望はない

12:15 途中の607mピーク 獣の遊び場になっている
 12:19 真城峠への最後の下り 急に山道が開ける

 峠でお昼をゆっくり食べた。その後、舗装した林道を辿って521.6m三角点付近の無線中継所を目指す。立派な道路だが人も車も通らない。不思議な道路だ。中継所へ入る前にはゲートがあり、「中継所の先は行き止まり」とある。だが、地形図にはその先にも点線がある。いくらなんでも、踏み跡ぐらいは有るだろうなどと考えながら、稜線に芽吹き始めた木々の梢を仰ぎながら歩いた。山はもう春であることを告げていた。中継所の金網の南側に沿って踏み跡がある、この先へ歩く者もいるようだ。中継所の先は檜となり踏み跡は薄く、心もとなくなってくる。50mぐらい先でどうやら踏み跡は二手に分かれる。これは予定通りである。両方ともたよりないテープがある。今日は南側の尾根を下る予定なので、左(南)へ進路を取る。
 進路といっても踏み跡をたどるのは難しい。尾根に入ると踏み跡は無くなる。この尾根で良いのだろうか。ところどころ空き缶が落ちていたり、ごみが落ちていたりで、安心するが確かだろうか。地形図と高度計で現在地を確かめながら、目指す主尾根を外さないように歩く。時々不安になる。だが、時に小さなケルンが現れて安心する。とはいっても、大石に一個の小石が載る小さなケルンに過ぎない。それでも目印は心強いものだ。尾根は展望が開けるところもなく現在地の確認が難しい。高度計と地形図の等高線の密度によって確かめてゆく。こういう時は、一人歩きは心細いものだ。尾根を辿る分には、まず進路をはずす心配はない。だが、この下降ルートは、地形図によれば340m付近で、尾根をはずれ西側に下がっている。踏み跡がない以上、下降点を特定するのは難しいだろう。案の上、下降点は見つからなかった。ただ、尾根上に少しだけ立派な三段のケルンがあった。標高からして、この辺りが下降点ではなかろうか。このまま尾根を歩けば完全にルートを外れる。だが、下降点は探せない。

13:44 無線中継所の先から南の尾根へ入る 踏み跡は無い



13:55 尾根が狭くなる 標高350m付近

 樹間から沢形を挟んだ対岸に大きな尾根が見えた。地形図の下降ルートは、その尾根に並行する沢に沿って下っている。迷っても、沢を下れば沢海(たくみ)集落へ辿り着けるだろう。まだ午後二時だし時間は有る。尾根を戻るよりは、下へ突っ込むことを選んだ。地形図と高度計でおよその現在地を確かめながら山腹を慎重にトラバースした。踏み跡はいつまでも見つからない。方角を失わないように、コンパスを振った。トラバースと下降を繰り返し、かなり下がってから孟宗竹の林に小さな廃小屋が見えた。もう沢音が近い。竹林はイノシシの餌場のようだ。いたる所、根が掘り返してある。獣の気配がする。手入れのされていない竹林の通過に、長い時間がかかったように思った。竹林を抜けると、やっとのことで微かな踏み跡があった。沢沿いに導かれ、堰堤を左岸から二つ越えると沢海(たくみ)集落へ出た。

 14:50 沢海(たくみ)集落から逆光の戸田港を見下ろす



 14:59 戸田港 波は静かだ まだまだ明るい

 15:12 イカ釣り船 集魚灯が見える のんびりした漁港


コースタイム
達磨山レストハウス1018−金冠山1055−奥山(761.4m)1144−真城峠12271255NTT真城無線中継所1333−分岐,南尾根へ1338−尾根を西へ下がる(350m1403−沢海集落1447−戸田港1513


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