このところ強い冬型の気候でかなり寒い。17日の夜、片山左京さんのパーティーが富士山の六合目で遭難した。そのときは、富士山の南にある我が家の近辺は、夜通し台風並みの強風が吹き荒れた。富士山の気温は−25℃とも報道されていたので、相当過酷な登山であったことが推察できる。森林のない六合目の風速は想像を絶する強風だったろう。
 今日は、これ以上無いと思われる完璧の晴れの日だ。風も無い。三島市から御殿場市、河口湖を車で走る間、全く雲の姿が見えなかった。この経路は、沢のシーズン中、奥多摩や奥秩父へ向うときには必ず通る道だが、こんなに晴れ渡る日はそう無い。今年のさわねの行事を締め括る日としては絶好の日和であった。だが、気温は低い。登りはじめの麓の朝10時の気温は−4℃、下山後の気温は+1℃であった。
 下野さんの世話人で、西嶋さん、クマチさん、ジョーさん、新人のタケさん、高橋、合計6名の参加だ。みんなは中央線の鈍行で石和温泉駅へ着き、バスを乗り継いで十郎橋へ着いた。バス停から神座山川の右岸の細い道路を上がるとバイパスをまたぐコンクリート橋になる。。橋を渡ってすぐ左へ曲り、またすぐ右の舗装農道へはいる。畑では桃の木の剪定が行われていた。道なりにいくと左手にシシ止めの柵が出てくる。この柵を越えて左の尾根に入るのだが、柵の出入口はまだ先にある。柵の出入口は、二本の送電線が並行する北側の送電線の下にある。出入口そばに送電線の鉄塔が立っているのでわかりやすい。この出入口を開けて入ると新しい林道が走っている。林道は次の鉄塔を右へ巻いてカーブしている。ここで、左に見える小尾根がきょう登る日尻山の北尾根であった。この尾根は、934mピークを越えて1474mの日尻山の頂上へ至る尾根である。
 日尻山は釈迦ヶ岳の北、1.5kmのピークだ。日尻山は、地元の人の言葉では、「ババノテラ」と言うそうである。テラとは頂上のことのようだ。ババとは、馬場のことだろうか。頂上へ着いて思ったことだが、日尻山の頂上がだだっ広く、馬を放せるような地形であるためではないかと思う。この北尾根を、途中まで右ににシシ止めの網柵を見ながら進む。しばらくすると、この網柵は尾根を離れて下がる。そのまま尾根を辿り続けるとややヤブっぽくなる。葉が落ちた季節なので、そううるさいヤブではない。比較的急で単調な尾根を登ってゆくと、標高1100mを過ぎた辺りから岩稜となる。ここはやや緊張するところも出てくる。だが、通過困難なところは無い。岩稜帯からは西に南アルプスの鳳凰三山、北西に八ヶ岳、北に奥秩父の山々が、青空の下にくっきりと見えた。眼下に御坂の集落を帯状に望むことができる。この岩稜帯は、標高1250mまで続き単調な尾根歩きに変化を与えくれた。これが、世話人下野さんのねらいだったらしい。岩稜帯のやせ尾根を越えていた時、とつぜん下方20mぐらいのところで獣が暴れ、疾走する音が聞こえた。音からして二頭だと思う。熊かイノシシと思ったが、疾走する速さと騒がしさかしてイノシシではないかと思う。
 岩稜帯を過ぎ急な登りを稼ぐと傾斜がゆるくなる。頂上は近い。登ってきた北尾根が、下山路に使う北西尾根と合わさる箇所を確認しておいて頂上へ向う。頂上は、踏み跡沿いに生える樹木に手製の小さな看板が下げられているだけであった。見逃してしまいそうな大きさだ。頂上は相変らずの好天で充分すぎる陽光が射していたが、一向に体が温まらない。昼食を食べている間には、手足が冷たく、体もすっかり冷えてしまった。気温は零度近いだろう。登って来るあいだも土の斜面は凍って固く、歩きにくかった。落ち葉を返すと裏が白く、霜の結晶がまだ溶けないで残っていた。
 下りは休まずに降りた。北西尾根に入る尾根の分岐を地形図とコンパスで確認した。11月末の合同ハイキングでの過ちを繰り返さないためである。このときは、ろくに地図を見ずに行動し、二箇所で道を間違えた。北西尾根をしばらく下ってから、1173m付近で東寄りの尾根に移る。じきに岩稜となり、尾根伝いには降りられなくなった。ここは尾根を右の窪へ降りしばらく尾根沿いに側面をトラバースした。この下にもう一箇所顕著な岩稜があり降下できない所がある。ここを回避してから尾根に戻り、あとは尾根伝いに降りた。右に小さな尾根の分岐が出てくるが、いずれも左の尾根がルートだ。まぎらわしいところはなかった。尾根を下るとシシ止めの柵にぶつかったので、柵沿いに右へ進んだ。数分で登りのときに通過したシシ止め柵の出入口に着いた。
 クマチさんは秋の足の故障後、初めての会の山行となった。復帰第一戦である。登りでの下野さんの容赦しない高速歩行のシゴキにも耐え、どうやら良好な回復状態らしい。タケさんは、檜洞でのゲスト参加に変わり、入会以来初めての山行となった。昨日も奥多摩の山を歩いて来たらしい。頼もしい新人である。


コースタイム
十郎橋9:47−シシ止め柵入口10:14−北側送電線鉄塔下10:22−南側送電線鉄塔下10:32−岩稜帯10:20−岩稜帯終わる11:51−日尻山(1474m)12:30〜13:05−1173m尾根分岐13:42(右へ)−岩稜13:50−シシ止め柵入口14:42−十郎橋15:05



 岩稜帯から望むことができる南アルプス(左奥)


 岩稜を乗り越す。


 岩稜を歩く。岩稜の向こうに甲府盆地がみえる。中央奥が八ヶ岳のピーク。


 岩稜を上がる。この辺りで尾根の下で獣の騒ぎが起こる。イノシシだろう。


 御坂の集落が帯状に見える。


 北、遠方に奥秩父の山々が見える。頂はすでに白い。


 日尻山1474mの広い頂上 眩しいぐらい陽が射しているが気温は低い。零度近いだろう。


 陽の射す北西尾根を下る。


 標高1173mから東側尾根を降りる。やがて出てくる岩稜は下降できないところが出てくる。


 大きな岩稜の右を巻いてトラバース。二箇所の岩稜を回避してから尾根に戻る。


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御坂山塊 日尻山(1474m)

2009年12月20日 
沢登り同好会さわね
西嶋さん、下野さん、クマチさん、小松さん、
タケさん、高橋

 ババノテラ(馬場のテラと呼ばれる日尻山の頂上)

遡行図