ジンスケクボ

奥多摩 後山川塩沢甚助窪

2009年10月24〜25日 
沢登り同好会さわね
下野さん、西嶋さん、Tさん、Kさん、高橋

遡行図

 遡行の途中で見つけたナメコ

プロローグ
 渓は、折からの紅葉の季節、様々な木の葉が見事な彩を見せていた。途中、大量に収穫したナメコはその晩に茹でてたらふく食べた。西嶋さんの手になる特製ラーメンにもナメコが入り、贅沢な夕食になったのも予想外の喜びだった。今年のさわねの行事としては、久々に人が集まった。近場で、しかも沢中一泊という余裕のある行程だったためかも知れない。少人数の沢も良し、大人数の沢もまた良しである。人数が多ければそれにつれて話題も増え、会話も弾む。今度の沢は、現地前夜泊で日帰りもできるという奥多摩の塩沢甚助窪(ジンスケクボ)になった。下野さんの世話人によるものである。
 甚助窪は、大きな滝は無いが随所に登攀力を試される滝がある。滝には大きな釜を従えたものが多いため、小さな滝でも直登できないものがある。標高1000m以下の下流部では、残置ロープがあるので何とかなる。だが、上流部の滝は自力で越えなければならない。簡単に巻けない滝もあるので思いのほか時間がかかったというのが印象である。特に、標高1500m地点にある7m滝は結構難しい。日帰り行程の場合は、終盤のこの滝の通過時間を考慮する必要があると感じた。

10月24日
 一日目のテン場、標高1030m付近までで手強い滝は、二段7m滝、大釜を持った4m滝と三段5m滝だ。二段7m滝は弱点を探ってい行くと、左岸の急な凹角に導かれる。ここには残置ロープが下がっているので、これを使って登った。一泊の装備の入った重いザックで最初の緊張の汗をかく。右岸に現れる標高870m付近のワサビ田跡の上にある4m滝は、高さこそ無いが両岸迫るV字谷に懸かる立派な滝だ。高さにはふさわしくないほどの大釜を持っている。この滝の直登は難しく、巻くことにした。ここには、右岸の岩壁、滝上15mにトラバース用のロープが残置されてあった。もう一箇所、ここから右岸を20mほど下流に戻った箇所の高所にロープが残されていた。高橋は、先行したTさんの指導よろしく、右岸の岩壁を登り、前者の残置ロープを使い滝上高所のトラバースをクリアした。ここは、高度差が体感されるので結構緊張した。この滝のすぐ上、三段5m滝も同様に直登は難しい。ここは、滝右の岩を越え、その先の左岸に張り渡された残置ロープを掴んで、足元滑りやすいスラブをトラバースした。
 1030m付近に左岸から支沢の入る辺りにテントを張って、早速薪集めにかかった。この辺りを泊り場にする者は無いらしく、薪は豊富だった。しばらく晴天が続いていたため、乾いた薪はすぐに立派な炎を上げた。だが、酒が進み楽しい会話が佳境に入ろうとする頃、生憎の雨が落ちてきた。若干抵抗の姿勢を取ったが、降る雨の勢いにはかなわず、思いを引きずりながら八時には焚き火の会をお開きとした。

10月25日
 二日目の朝、小雨。この小雨が終日降りかかった。テントを畳んで沢を歩き始めるとすぐ大きな滝になった。ここは奥甚助窪出合の手前だ。遠目に8mは有るかに見えた滝は、近付いてみると5mほどだった。水に濡れないで登るには滝の左端しか無い。だが、ホールドは細かく岩肌は滑る。重い荷物をまず上げ、空荷で登ることにした。ここでは、下野さんにロープで確保してもらった。この上の釜のある二条6m滝もなかなか手強い滝だ。5人それぞれ好きにルートを取った。まず、Tさんがフリーで先行。ここは、水は被るが右の水流沿いにホールドが多い。高橋は、西嶋さんに確保してもらい、そこを直登した。難しい滝は、中甚助窪出合の先にある6m、6mCS滝だ。下の6m滝はホールドを拾えば何とかなるが、垂直に近いCS6m滝は、チョックストンのためルートが限られ、その上ホールドが乏しい。この直登は、クライマーTさんにも難しい。もとより、万年初心者の高橋にとっては、ロープを垂らしてもらっても、自分の体重を持ち上げることができないだろう。ここは、先行したTさんに続いて左岸のザレをそれぞれに登って落ち口をトラバースした。足元滑りやすい所はスリングをブッシュに掛けて突破した。
 標高1350mの二俣は、左俣へルートを取った。この左俣に甚助窪の名前の由来があると思われた。甚助窪が、甚助沢や甚助谷ではなく、なぜ甚助窪なのか。左俣へ入るとすぐに傾斜はきつくなる。二俣1350mから1500mあたりまでルンゼ(窪)の中に4m前後の滝が休みなしに現れる。十箇所以上はある。言わば沢全体がひとつの滝のようになっている。これが、甚助「窪」の由来ではないだろうか。ここは一気に高度が稼げるところだが、心臓は苦しい。この小滝の連続も垂直の壁、7m滝の前で遮られる。ここは、両岸岩壁で、巻くとすればかなりの大高巻きになるだろう。ホールドの乏しい垂直の壁7mを攀じ登るか、右岸の岩を登り落ち口上のわずかな弱点をトラバースして本流に戻る、この二つしか方法は無いだろう。Tさんは相変わらず果敢に挑戦して、正面の滝を突破。Kさん、西嶋さんがそれに続いた。自分でルートを追えない高橋は左の岩のトラバースに賭けた。下野さんも続いた。途中Tさんからロープを降ろしてもらい、トラバースの最終章は安全で容易になった。だが、トラバース地点は落ち口よりはるかに高い。滝下からは15mほどは有るだろう。生身がこの高度差に晒されるので緊張した。7m滝の上は、4m、3m、3m滝が続くので、ここは、四段17mの滝といえる。
 この四段滝の上で次第に水は涸れ、4m前後の涸れ滝が連続する。1350mの二俣から続く「甚助窪」は稜線直下まで変わらずに続いた。稜線近くは、笹が被るがヤブは薄い。

コースタイム
10月24日
塩沢橋10:59−左から支沢(ワサビ田跡)12:05−諸左衛門沢出合13:25−ワサビ谷13:57−テン場(標高1030m)14:44
10月25日
テン場8:22−奥甚助窪出合09:03−中甚助窪出合9:14−6mCS9:50〜10:20−二俣(1200m)10:37−二俣(130m)11:14−7m滝11:58〜13:15−稜線13:48−七ッ石小屋14:20〜35−鴨沢16:40


10月24日

 塩沢橋で出発の準備


 二段7m滝の登り


 三段5m 右を越え、左岸のスラブを残置ロープを掴んでトラバースした


 大岩のゴロタ滝3m


 ゴロタ滝4m


 4m滝 ワサビ谷出合上


 大きな岩のあるゴーロを行く


 この先でナメコ発見


 倒木の架かる4m滝


10月25日

 前方に大きな滝が見える。5m滝


 5m滝 ホールドが細かい。まずザックを上げる


 6m二条滝 結構難しい。右水流沿いにホールドが多い。


 手前6m滝、向こう6mCS滝  6mCS滝は直登が難しい。左岸のブッシュから岩を上がりザレを登って巻いた。


 10m滝 水流右を登った。滑る。


 二俣上の3m滝 岩には落ち葉が。この二俣の右岸には廃屋がある。


 「甚助窪」1350m二俣上、左俣は4m前後の滝が10箇所以上


 垂直に近い7m滝に行く手を遮られる。この滝は難しい。ホールドの乏しい正面の滝を越えるか、右岸の高度感十分なトラバースの二者択一。Tさん、Kさん、西嶋さんは正面突破。高橋と下野さんは、恐怖の右岸高所をトラバース。


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