御坂 大幡川四十八滝沢
2009年10月4日 
高橋 単独

遡行図

 トリカブト 標高1500m付近

プロローグ
 10月3、4日は、さわねの行事でガクさんと南アルプスの尾白川黄蓮谷に遊びに行く予定だった。だが、3日が雨、次の日がくもりの予報だったので中止した。この沢は難しいスラブの遡行が多い。雨降りのスラブでは苦戦が予想されたため、やむを得なかった。しかし、3日の午後から天候が急に回復して、4日、日曜日は全国的に晴れ模様の天気になるとのこと。晴れの日、せっかくのチャンスを逃すのはもったいない。前日の夜に考え、急遽、四十八滝沢へ出掛けることにした。
 四十八滝沢は、千段ノ滝沢とも呼ばれる滝の多い沢らしい。この沢の名称は、1971年発行の「丹沢・道志山塊・三ツ峠」(山と渓谷)によれば千段ノ滝沢、1996年発行の「富士周辺、駿遠の山」(山と渓谷)によれば、四十八滝沢となっている。登ってみた感じからすると、千段ノ滝沢の方がしっくりする名称だと思った。なぜなら、この沢は、滝が沢山あるだけではなく、標高1250mから1450mぐらいまでの沢が、ひとつの滝のような様相を示しているからである。急傾斜の沢全体が200mの滝になっている落ち込んでいる。こんな印象に人々は、千段ノ滝沢と呼び慣わしてきたのだろう。この印象は、遡行後の北口登山道の下りで、遠目にこの沢を望んで確信に変わった。沢が巨大な滝、天に昇る白竜のように見える。自分で、こんな大きな急峻な沢を登った覚えは無い。たぶん隣の沢だろうと判断したぐらいだ。だが、地形図ではまさにそこが「千段ノ滝」のはずだ。どうにもそこを登ったという確信が持てず、七福の滝下へ降りてみた。そこで、あー確かに、ここはさっき登った滝だ、沢だと納得した。

登山口から入渓点
 北口登山道は、都留市の国道から西へ入り、大幡川沿いに御座石方面へ入った林道の先にある。標識と登山届けのボックスがある入口から林道を離れ左へ伸びている。早朝、自宅を出たときには、ぴかぴかの快晴だったが、御殿場を過ぎ富士周遊道路を走る頃には、すっかり曇りに変わっていた。快晴の下に滝々を登るイメージを膨らまして来ただけに、ちょっとがっかり。久しぶりの単独行で緊張気味でもある。入渓点は、北口登山道を一時間ほど歩いたところだ。初滝10mを右の沢に見て登山道をさらに登り、登山道が右岸から左岸へ変わる地点にある。ここは、三段の滝の一段目の滝の上を通っている。丈夫なロープが下がり、対岸には梯子とロープが見えるので分かり易かった。

入渓点から10m滝上
 入渓してすぐ、三段の滝の二段目、5m滝が待ち受けていた。登れるのは水流右しかないがハング気味で、初っぱなから実力を試されるような滝だ。だいたい沢に入ってすぐというのは、身体が登攀になじんでいない。だが、こんなところで、ためらっていたら先が思いやられるだろうな。ここは、単独行の慎重さで、左岸に移った登山道を少し上り、滝上に巻いた。その上の6m、3mの滝で徐々に身体が温まってきた。3m滝の先で緩やかに左へ曲った沢の先には、20m大滝が見える。その手前左から、ガレが押し出されている。この滝は登れそうに無いので、このガレを上がってから支尾根を越えて落ち口へ出る。支尾根を越えるところは、よく見ていけば分かる。落ち口への下りも難しくは無い。
 20m大滝の上から「千段ノ滝」が始まる。手始めの5m垂直の滝の下から先の沢を仰げば、遥か上流から流れ落ちる水流が途切れ途切れに白く見える。いったいどんな滝が待ち受けているのだろうか。登れなかったら戻れば良いや、そんな気持ちでひとつひとつの滝に当たる他無いだろう。この沢は、冬季に氷瀑が登られているようだが、沢の遡行は少ないようだ。遡行図も見当たらない状況だ。この5m滝はどう見ても濡れる。この先の滝も水流沿いを登らなければならない滝が結構あるので実際よく濡れる。合羽を着て水流沿いを越えた。次の滝8mは水流沿いは難しいので、右端の凹角を上がる。落ち葉を払いながらの慎重な登攀になる。その次の滝は、かなり大きく傾斜が強い。下が10mその上は4mぐらいだろう。
 10m滝が七福の滝と言われる滝だろう。この滝は左に斜上するバンドがある。登るとしたらこのバンドを使って、中盤で左へ流れを越えそのまま登るしかない。だが、落ち口は難しくないだろうか。幸い、水量は多くない。水量が多かったらここはあきらめたかもしれない。この滝は、バンドを伝って水流を左へ移ったあと一二歩登るところがバランスが取りにくい。ハンドホールドが細かくなり、コケですべる所がある。幸いスタンスは堅いので数分の逡巡のあと突破できた。その上は安定したバンドに立てるが、落ち口までの作戦がすぐには立たない。やや外傾したバンド伝いに水流沿いを目指すのも、高度感があり決断が着かない。ここは、左端からバンドを巻き気味に越えようと左上を探ったが、その外傾具合を見ただけであきらめた。あきらめて振り返ると、目の前に絶好のルートが追えた。順層のバンドを伝ってホールド豊富な落ち口下へ取り付くことができる。バンドを伝い、水流沿いに落ち口へ上がったときには、緊張が過ぎて口の中がカラカラに渇いていた。水を飲んだ。続く4m滝の上で左から水量の少ない沢が入る。


10m滝上から二俣
 10m滝上からは、急傾斜の沢に3〜5mの滝が間断無く延々と続く。記録した滝を示すと、3m、3m、4m、2mトイ状、5m、4m、5トイ状、4m、3mトイ状、3m、4m、3m、二段6m、4mであった。これらの滝は特に難しいところは無かったが、岩が脆いので要注意だ。この先の緩やかなスラブの滝8mはホールドが細かく岩の脆さも有って、ルートをなかなか探せずに苦労した。水流右をトライしたがあと二歩の確信が持てず敗退。結局、滝左の細い流れを慎重にホールドを拾いながら登攀した。こんな小さな滝に15分もかかってしまった。この滝の上で、右岸が岸壁になる。この大岸壁は、「大岩戸」と言われるようだが、この下は5mナメ滝、傾斜のゆるい7m滝、垂直5m滝が連続する17m滝になる。これは白竜の滝と呼ばれいているらしい。そう言えば確かにそのようにも見える。最上部の5m滝は左の窪を登ってから落ち口へ巻いた。ここは難しくない。、この上の傾斜のゆるい6m滝は、一見どうと言うこともない滝だったが、滑りやすく、水流沿いを慎重に登らねばならなかった。この先で、初めて二俣らしい二俣になる。左俣の水量は多いが、右俣はかなり少ない。ここは5mトイ状滝で出合う左俣へ入る。その上の8m逆くノ字滝を越えると、すぐに奥の二俣になる。本流はどう見ても沢床が低く沢幅も広い左俣に思えるが、水流は無く、その先はガレに埋まっている。その奥は開けているのかと思い少し左俣へ入り覗いて見たが、その先もガレている。迷った末に、水量豊富なボサの被った右俣へ入った。先で沢幅は広がり安心した。倒木のかかる4m滝、二条に分かれて水が落ちる8m滝を苦労して登ると、その先で突然水は山腹へ消えた。ここが湧水の水源だった。

詰め、下山
 水源の右に水の無い沢形が続くがボサが被っている。ここを登る気がせず、水源の左へ獣道に倣って支尾根に上がる。結果的にはこれが正解だった。この支尾根を忠実に、標高差150〜200mを攻めると30分ほどで稜線の登山道へ出た。この詰めは、藪のないところを選んで歩けるので、ヤブ漕ぎはしないで済んだ。
 下山は、御巣鷹山頂上へ登る手前にある北口登山道へ下がる分岐を右へ入った。1時間半少々で登山口へ着く。この北口登山道は登山口に熟達者向けと書かれているように、踏み跡が分かりにくいところがある。特に葉が落ちる秋は要注意だろう。標高1450m付近で主尾根を外れ、右下の沢をめがけて支尾根を下っている。途中、登山道の踏み跡が分散して不明瞭になるところがあった。ここは、支尾根を真っ直ぐ下がるのではなく、右の窪へ一旦下がる。その窪の右側に沿って下ると、沢が見えるところで「大岩戸」の看板がある。このすぐ下は、大きな倒木に沿って踏み跡が付けられている。所々に張られたロープを掴んで今登ったばかりの急峻な「千段ノ滝」を振り返りながら沢沿いを下りた。あんなところ登ったとは思えない。標高1270m付近で「七福の滝」の看板のところから沢へ下りられる。そこで千段ノ滝をみれば、やはりさっき水流に体を濡らせながら登った滝に違いなかった。



 初滝10m 見るだけ


 登山道渡渉点 ここが入渓点 三段の滝 下から5m、5m、6m


 三段の滝二段目 5m滝 水流右を登りたいがハングしていて難しい。登山道から巻いた。この上に6m滝がある。


 20m大滝 登れないので左のガレを登って巻く


 5m滝下から沢を仰ぐ。遠方にも滝が見える。 ここは水流沿いを登った。その上は8m滝。


 8m滝 写真には見えない右端の凹角を登った。


 七福の滝10m 水が七段に落ちる。左に斜上するバンドを伝い水流左へ。上のバンドから水流伝いに登る。


 10m滝の上は3〜5mの滝が続く


 5m滝、その先4m滝 どこも岩が脆いので注意が必要。


 5mトイ状滝 右のカンテを登った。


 小さな滝が途切れなく続く


 8mスラブナメ滝 ホールドが細かく難しい。左の細流の細かいホールドを拾って慎重に登る。


 白竜の滝 この下の5mナメ滝、この滝7m、上部に見える5m滝を合わせた17mが白竜の滝


 白竜の滝 上部5m滝 ここは写真には見えない左の窪から巻いた。難しくない。


 奥の二俣先の最後の滝8m  この先で忽然と水が山腹へ消える。そこが水源だった。水源左の支尾根に上がり詰める。


 千段ノ滝 下山道から  急峻な谷に水流が白く見える。


 千段ノ滝 その下 下山道から  急峻な谷は、遠目にはとても登れそうに無い。


コースタイム
北口登山道入口9:00−初滝9:45−入渓点(渡渉点)9:56−20m大滝10:16〜26−10m七福ノ滝10:45〜11:02−8mスラブナメ滝11:24〜40−白竜ノ滝11:40〜53−二俣12:00〜10ー奥の二俣12:17〜23−8m滝上、水源12:39ー登山道13:12−開運山13:17〜13:30−北口登山道降り口13:36−大岩戸14:07−入渓点14:34−北口登山道入口 15:08



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