那珂川 湯川井戸沢

2009年6月20日 晴れ
W-Climbers
 黒川さん、大橋さん、伊佐野さん、山崎さん、高橋

遡行図

桃色のウツギがいたるところに咲いていた。

 那須塩原駅、朝6時に待ち合せた。山崎さん、黒川さんとはつい最近、6月7日に奥多摩・大雲取谷を一緒に歩いた。大橋さんとは、昨年9月末の東黒沢〜ウツボギ沢以来の再開、伊佐野さんとは初めて一緒に登る。今日は参加しなかったが、メンバーのtobiuoさんが手作りした饅頭を頂いた。沢を歩く前に食べてしまったが、とてもおいしかった。ありがとう。

 那須の井戸沢は、短いがなかなかダイナミックな沢だ。下から15m、20m大滝、16mの豪快な滝を持ち、そのほか5m以上の滝を10箇所以上従えている。南向きの斜面であるためだろう。日が射すと水に濡れた滝が明るく輝いて見える。滝や沢床は一様に白い花崗岩でできていて美しいスラブの滝が多い。岩が水に濡れているところは、褐色の苔が付いて良く滑る。

 井戸沢の出合は、伏流で冴えないが数分歩くと水が徐々に増してくる。やがて無粋な新しい堰堤が現れる。ここは、左を越えたが降りるときに注意がいる。なぜ、こんなところに砂防ダムが必要なのか、どういう効用があるというのだろうか、全く分からない。この先で、4m滝を越えると屈強な15m滝が現れる。まだ、沢慣れていない身体には大きすぎる。白いスラブの滝は、流れが二つに分かれている。ここは、右の岩を登りさらに右のブッシュに逃げて落ち口へ巻いた。根曲り竹がうるさいが、掴んで登れるので却って安心だ。比較的小さく巻いて落口上のナメに出られる。ここは、右の岩をそのまま登り、垂直に近い壁を残置スリングを掴んで越える方法もあるようだが、万年初心者の自分には難しいだろう。
 ヒョングリを打つ傾斜の緩い6m滝そして4m滝、大岩の4m滝を越えると、5mナメのすぐ上が5m滝になっている二段10m滝になる。ここは滑りやすい左の岩にホールドを求め丁寧に登る。その上は、豪快な大滝20mだ。流れが幾筋かに分岐して落ちるその滝を見ていると圧倒される。ここは、大橋さんがリードし、30mロープで左岸のブッシュに支点を取りながら高度を稼ぐ。上部は傾斜がやや緩いとはいえ、見ているほうが緊張する。後続は、プルージックで順番に登った。要所にしっかりとしたホールドがあり、見た目より緊張せずに登れた。ラストは山崎さんが、支点を回収しながら登る。全員が登ってほっとしている間もなく、すぐスラブの8m滝だ。手掛かりが無く左の岩を登って落ち口を小さくトラバース。ここは、やや注意を要する。この上も沢は花崗岩のスラブが続き、幅広で大きなナメ滝を形成している。高さは12mぐらいだが、傾斜は緩い。だが滑るので慎重にホールドを選ぶ。
 10分ほど歩くと、前方に巨大な滝が見える。さっきの20m大滝よりもさらに大きいようだ。下部はやや傾斜が緩いが上部は切り立っている。岩には苔が付いてるのだろう、滝全体が褐色に見える。滝に近づいてみると思ったより滝は小さく、それでも16mぐらいはあるだろう。ここは、それぞれルートを自由に取って登った。左のルートを取る者、右のルートを取る者、それぞれルートの弱点を突いて登攀する。高橋は、やや難しいと思われる右のルートを選択した、十分にホールドがあると踏んだのだが、切り立った上部は登るにつれてホールドが乏しくなった。落ち口下は、ホールドが細かく万年初心者の自分には難しい。ここは、先に上った山崎さんにロープで確保してもらい、自分の全ての力を出し切って難しい一歩をクリアした。少し無理したように思う。
 16m滝の上も、4〜6mの手ごろな滝が休むことなく続く。二俣まで7箇所ほどの滝がある。どの滝も、ルートを選べばそう苦労せずに登れるが、どの滝も滑るので油断は出来ない。1400m付近の二俣は、明確に沢が分かれている。水量は1:2ぐらいで、本流右俣の水量が多い。ここで一休みして、稜線をめざす。入渓してから二俣まで2時間半で、思ったより早い。ここは、右俣へ入る。

 二俣を過ぎ小滝とナメの続く沢を10分弱登ると「上の二俣」になり、ここも右へ入る。この後も、小滝とナメが続いた後、6m、5m、15mトイ状滝を越えると、次第に沢床が岩になり、長い岩登りのようになる。標高1600m付近で水が涸れ、沢床に土が混じるようになると不安定な石を落とさないように登らなければならない。右から沢が入るところに小さな雪渓が残っていた。さらに、右から入る沢を二本見送っていずれも左へ進む。沢幅が1mほどに狭くなるので、笹を掴みながら這い上がる。やがて腰下ぐらいの笹原に入ると10分弱で稜線に出た。
 上の二俣を過ぎる辺りから傾斜が急になり疲れが倍増する。誰かが、空気が薄いと言ったが、確かにそのようにも感じる。長く続く岩登りのあと足元不安定な登りになり、さらにエネルギーを消耗した。水が涸れた標高1600m付近から稜線までの登りは、傾斜の強さと体力の消耗によってさらに厳しかった。伊佐野さんは、経験浅いとのことだったが、最後まで我々と同じペースで登り切った。

 稜線の上は、相変わらずの晴天で四方が見渡せる。低い笹原の続く稜線を流石山へ向かい、頂上で昼食にした。ビールを呑む者、うどんやラーメンを作る者、それぞれに満腹になって流石山を後にした。流石山からは、気持ちの良い笹原の踏み跡を大峠へ降りた。そこから三斗小屋温泉方面へ下ると20分ほどで峠沢を渡る。その先の分岐で右の旧道に入る。ここは、踏み跡はかすかにあるが、笹が覆いかぶさり道の様子を呈していない。笹を掻き分け踏み跡をはずさないように歩くと、分岐から20分で中ノ沢に出る。ここで一休みして、中ノ沢を下ることにした。中ノ沢は沢床のほぼ全てが岩で、ゴーロのところは少ない。明るい井戸沢に比べてやや暗く、岩には緑の苔が生し、日本的な情緒のある沢であった。2〜3mの滝はあるが下降が難しいところは無いので、のんびり沢を下ることができる。だが、滑るところがあるので要注意だ。45分ほどで井戸沢の出合に出る。
 帰り道、安くて広々とした幸乃湯温泉の露天風呂で今日の汗を流した。




傾斜の緩い6m滝 どこからでも登れる。
15m滝 直登は難しい。右の岩を登り、藪に入り巻いた。


4m滝 水流右にホールドがある。
20m大滝 井戸沢では最も高い滝

20m大滝 ルートを探って大橋さんがリードする 8mスラブ滝 左の岩を登り、落ち口をトラバース


12m滝 傾斜は緩いが、滑らないようにルートを選択
16m滝 上部が切り立っている。水流右を何とか登ったが、万年初心者には難しい。


16m滝を登る山崎さん、その上は伊佐野さん
16m滝 近づくとホールドが見える

16m滝 中盤を登る山崎さん 16m滝 水流右。難しい落ち口の一歩を登る大橋さん

6mナメ  5m滝を登る黒川さん

二俣下で稜線が見えるようになる 「上の二俣」の上の6m滝

途中で見つけたイワカガミ 桜が咲いていた。標高1550m付近

水が涸れると沢全体が長い涸滝になる 稜線までもう一息。東の支尾根が見える。

足取り重く、流石山をめざす。
W-Climbersの面々 流石山の頂上で。運強く梅雨の合間の晴れ。


コースタイム
井戸沢出合・入渓7:35−15m滝7:58−20m滝8:27〜8:54−16m滝9:15〜9:26−二俣9:51〜9:59−上の二俣10:06−右から枝沢10:37−右から枝沢10:50−右から枝沢10:54−稜線・登山道11:16−流石山11:35〜12:22−大峠12:55〜13:06−峠沢13:25−分岐・旧道へ13:29−中ノ沢13:47〜13:59−(中ノ沢下降)−大峠沢出合14:05−井戸沢出合14:45



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